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桃の章
1日がおわる
しおりを挟む「はー疲れた。もう夕方だよ。ちょっとゲームやって、あとは勉強して終わっちゃったよ!」
うぅ、せっかくのホテル…じゃない別荘が。
「そろそろ夜ご飯にしようか。何がいい?」
「夜ご飯、一仁が作るの? 僕も手伝う。」
「手伝ってくれるの?」
「うん、学校でやったからできる。」
「僕、唯の作ったご飯食べてみたいな。何が作れるの?」
「えーっとね……。」
オムライス、は酷かったし、あっ失敗しないチャーハン、もダメだな、光くんが吐いてた。あとは……。
「ないかな。」
「ん?」
「僕、作れるものないかも。」
「…そっか、じゃあ僕が作るから少しお手伝いはできる?」
「うん!、頑張る。」
結局僕はお手伝いに落ち着いた。僕はエプロンを身につけキッチンに立つ。一仁はハンバーグを作るって。僕は肉をこねる役目を貰った。上手になった包丁さばきを見せたかったけど持たせて貰えなかった。
肉に牛乳とパンをまぜてこねる。
「こねこねこねこね。これいつまでやるの?」
「次玉ねぎ入れるけど熱いから僕がやるね。」
手袋を交換する。
「唯、ここに卵一個割ってくれる?」
「まかせて。」
卵リベンジの機会がやってきた。慎重に、頑張ったけど。
グチャ
「「あ。」」
「おぉ!、前より殻が少ない。」
「…そっか、頑張ったね。えっと、もうあとは焼くだけだから唯は座ってていいよ。」
「そう?、じゃああっちで待ってるね。」
「うん、そうして。」
ふぅー、かなりいい感じにできた。僕は言われた通りソファでテレビを見て待つ。
「唯、できたよー。」
少しして一仁に声をかけられる。
「はーい。わぁ!、すごい。これ僕が手伝ったハンバーグ?」
「うん、そうだよ。綺麗にできたね。」
「璃来くんに自慢しよっと。」
写真をとって璃来くんに送る。ついでに光くんにも送る。
「それじゃ、いただきます。」
「召し上がれ。」
「一仁も召し上がれ。」
「ふふ、いただきます。」
初めて作ったハンバーグは素晴らしく美味しかった。ちなみに、二人に送ったハンバーグには二人ともから「嘘だ。」って来てた。酷い。
ご飯も食べ終わって帰る時間が迫ってきて寂しくなってた時。
「唯、先にお風呂入る?」
「お風呂?、お泊まりなの?」
「あ、うん。言ってなかった。最終日までここにいる予定だけど、何か予定あった?」
「ううん、ない。いっぱい居れるの嬉しい!」
今日は半分勉強で潰れたからまた明日もここでのんびりできるのが嬉しい。
「お風呂一仁が先に入っていいよ。」
「……一緒に入る?」
「いいね。昔よく一緒に入ってたね、懐かしい。行こ。」
お風呂もホテルみたいに広くて綺麗だった。
お泊まりとお風呂で僕の気分は最高だった。
「ふふ、お背中お流ししましょーか。」
「……ううん、唯はずっと湯船つかってて。」
「えー、ノリ悪いなぁ。いつもはみんなで……あ、ううん、なんでもない。」
危ない危ない、みんなと大浴場行くの一仁に駄目って言われてたんだった。
「それよりこのネックガード、いつもつけたままお風呂入ってるけどいいの?、溶けたりしない?、まぁ外せって言われても外せないんだけど。」
「あぁ、大丈夫だよ。ネックガードってそういうものだから。」
「へぇ、すごーい。」
一仁も体を洗い終えて湯船に入ってきて、向き合った状態になる。真ん中にはアヒルが浮いてる。
「…なんか一仁ちっちゃいね。狭い?もっと楽にしていいよ。」
「ううん、大丈夫。」
「そう?、僕達も大きくなったんだねー。」
成長をしみじみと感じながら暫く湯に浸かった。
「暑い、出る。」
「ちゃんと拭くんだよ。」
「はーい、一仁は?」
「僕はまだ入ってるよ。」
「わかった。」
先に出て、体を拭いているとお風呂からすっごい大きなため息が聞こえた。え、そんなに窮屈だったのかな。楽にしていいって言ったのに。少ししょんぼりして脱衣所を後にした。
一仁が出てくるのをソファでテレビを見ながら待つ。バラエティがいっぱいやってて面白い。でも瞼が重くなってきて、抗えなくて寝た。
「…唯、眠い?、ベッド行く?」
一仁に声をかけられる。お風呂から出たみたいだ。
「眠い、寝る。」
「わかった、ベッド行こうね。捕まって。」
寝たまま一仁に運ばれてる。
「おやすみ。」
「んん……。」
暖かくていい匂いにつつまれて気持ちよく眠った。
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