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桃の章
連休の始まり
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5月になり、4月よりは暖かくなったがまだ朝は肌寒い。今日も頑張って学校に行った。そして明日からゴールデンウィークだ。
「明日、楽しみだね、光くん。」
「え、連休?、そうだね。」
一仁とのお出かけは明後日。明日家に帰ってから、一緒に行くんだって。僕も先ず母様と父様に会いたかったからよかった。
「じゃあまたねー。」
「またねー。」
夕方、光くんたちに一時的な別れを告げて家に帰った。
久しぶりの家、自分の家なのに呼び鈴を鳴らすなんて変な気分だ。
ピンポーン
「母様、ただいま。」
「唯ー、おかえり!」
母様が出迎えてくれた。父様はまだお仕事で帰ってないそうだ。
「おかえり、唯。高校ちゃんと行けてるみたいで安心した。αはどう?、大丈夫?、噛まれてない?」
母様がぺたぺたと触ってきてくすぐったい。
「大丈夫だよ。そんなにαと関わってないし、噛まれることなんてないから。」
「そう? あ、ちゃんと貰ったんだね、これ。」
母様が指さすのは一仁に貰ったネックガード。
「うん、一仁に。だから噛まれる心配ないよ。」
「うん、うん。でもちゃんと見極めなきゃダメだよ。悪いαに引っかからないようにね。」
「わ、わかったから。」
その後も母様から学校のことを質問攻めされて大変だった。父様が帰ってきてみんなで夜ご飯を食べている時に、僕の料理が絶望的だという話をしたら、今度母様と練習する約束もした。久しぶりの家はとっても暖かくて楽しかった。
今日は一仁達と出かける日。今日も朝から母様がうるさい。
「いい?唯、αはちゃんと見極めないとダメだからね?、Ωから噛んでって言う前に噛もうとするαは悪いαだからね。気をつけてね。」
「昨日もいっぱい聞いたし、わかったってば。」
今日は僕一人じゃなくてみんないるし、なんなら一仁だっているから平気なのに。
「でも…、」
ピンポーン
「あ、一仁来た。じゃあね、母様、父様、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「あぁ、唯ー。」
戸を閉める最後まで母様はうるさかった。父様は笑顔で一言で送り出してくれたよ。少しは見習って欲しい。
「おはよう、唯。行こうか。」
「おはよ、一仁。うん、れっつごー。」
一仁の家の車に乗せられる。車内で今日することを聞いたけどなかなか教えてくれない。目的地は軽井沢だと教えてくれた。
「へー、あそこ別荘ってイメージしかないな。」
「うん、別荘。そこでゆっくりしようかなって。」
「え、本当に? 凄い、別荘! 初めて。」
車でそこそこかかるからたくさん一仁とおしゃべりをした。主に学校のこと。授業が難しいとか、家庭科が難しいとか、体育は楽しいとか。一仁からも色々聞いたけど、友達の話は出てこなかったし、桃くんの話も出てこなかった。僕は気を紛らすために窓の眺めることにした。結構走って窓の景色が木一色になってきた。
「森だー。木がいっぱい。」
「ふふ、そうだね。」
我ながら子供みたいな感想しか出てこない。言わない方がよかったかも。
漸く車が目的地に着いた様だ。車を降り、運転手さんにお礼を言う。一仁が何かを言うと車は行ってしまった。また帰ってくるの大変だろうに。
「お邪魔しまーす。凄い!、広い!、綺麗!庭まである!、あ、プールついてる!」
凄く綺麗なリゾートホテルみたいなところに連れてこられて僕は大興奮だった。
「気に入って貰えたようでよかった。」
「うん!あ、そういえば、光くん達は?」
「あぁ、昨日みんなで夜まで水遊びしたら風邪ひいたんだって。今朝連絡が来てて。」
「ふふ、何それ。まだ寒いのに、馬鹿だなぁ。ふふ。」
「結局二人きりになっちゃった、ごめんね。」
「ううん、一仁と二人きり嬉しいよ。ありがとう。いっぱい遊ぼうね。」
「そう言って貰えてよかった。」
前、僕がみんなもいた方がいいって言ったから不安になったのかな。かわいいやつめ。一仁と一緒にいてガッカリすることなんてあるわけないのに。
僕達は先ずゲームをした。ここには僕の好きなゲームが沢山あって、ずっと遊んでられる。昼ごはんも僕の好きなものしか出てこなくて幸せだった。でも楽しい時間はずっと続かなかった。
「よし、そろそろ勉強しようか。」
「…えっ。勉強するの? ゴールデンウィークだよ?」
「ゴールデンウィークでも課題はあるでしょ? 最終日までやらないつもり?」
「あっ、うっ。でも僕持ってきてないよ。」
「そこは大丈夫。僕が先生から同じの貰ってきたから。僕が予定を伝えなかったからね。用意は万端だよ。」
「えぇー、なんでこんなとこ来てまで。」
「教えるから、早く終わらせよう?」
「はーい。」
確かに一仁が教えてくれるなら早く終わるかも。それに、高校に入ってから僕はなんだかとっても頭が冴えてて授業で分からなくなったことが無かった。だから早く終わる、そう思ってたのに。
「……???、えーっと。ねぇ一仁、ここの答えなに?」
「それはこうやって、ここを…」
授業では理解してたはずなのに何故か解けない。そして一仁も新歓のときのようになかなか教えてくれない。答えを教えてくれればいいのに、解き方までで肝心の答えは教えてくれない。全然進まない、こうなったら。
「一仁、僕答えが知りたいな。教えて?」
必殺の可愛く(?)オネダリだ。
「…そんなことしてないで手動かしな。」
「ひぇっ。」
まさか効かないなんて。結局僕はちまちまと自分で解き、本当に分からないとこは精一杯のオネダリをして何とか今日の分の課題をやり終えた。オネダリが効かなかったらもう土下座するしかないと思ったね。
2人で遠くで過ごさせたいと思って軽井沢にしたけど、5月の軽井沢なんてすごく寒いしすることないし失敗したなって思いました。
「明日、楽しみだね、光くん。」
「え、連休?、そうだね。」
一仁とのお出かけは明後日。明日家に帰ってから、一緒に行くんだって。僕も先ず母様と父様に会いたかったからよかった。
「じゃあまたねー。」
「またねー。」
夕方、光くんたちに一時的な別れを告げて家に帰った。
久しぶりの家、自分の家なのに呼び鈴を鳴らすなんて変な気分だ。
ピンポーン
「母様、ただいま。」
「唯ー、おかえり!」
母様が出迎えてくれた。父様はまだお仕事で帰ってないそうだ。
「おかえり、唯。高校ちゃんと行けてるみたいで安心した。αはどう?、大丈夫?、噛まれてない?」
母様がぺたぺたと触ってきてくすぐったい。
「大丈夫だよ。そんなにαと関わってないし、噛まれることなんてないから。」
「そう? あ、ちゃんと貰ったんだね、これ。」
母様が指さすのは一仁に貰ったネックガード。
「うん、一仁に。だから噛まれる心配ないよ。」
「うん、うん。でもちゃんと見極めなきゃダメだよ。悪いαに引っかからないようにね。」
「わ、わかったから。」
その後も母様から学校のことを質問攻めされて大変だった。父様が帰ってきてみんなで夜ご飯を食べている時に、僕の料理が絶望的だという話をしたら、今度母様と練習する約束もした。久しぶりの家はとっても暖かくて楽しかった。
今日は一仁達と出かける日。今日も朝から母様がうるさい。
「いい?唯、αはちゃんと見極めないとダメだからね?、Ωから噛んでって言う前に噛もうとするαは悪いαだからね。気をつけてね。」
「昨日もいっぱい聞いたし、わかったってば。」
今日は僕一人じゃなくてみんないるし、なんなら一仁だっているから平気なのに。
「でも…、」
ピンポーン
「あ、一仁来た。じゃあね、母様、父様、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「あぁ、唯ー。」
戸を閉める最後まで母様はうるさかった。父様は笑顔で一言で送り出してくれたよ。少しは見習って欲しい。
「おはよう、唯。行こうか。」
「おはよ、一仁。うん、れっつごー。」
一仁の家の車に乗せられる。車内で今日することを聞いたけどなかなか教えてくれない。目的地は軽井沢だと教えてくれた。
「へー、あそこ別荘ってイメージしかないな。」
「うん、別荘。そこでゆっくりしようかなって。」
「え、本当に? 凄い、別荘! 初めて。」
車でそこそこかかるからたくさん一仁とおしゃべりをした。主に学校のこと。授業が難しいとか、家庭科が難しいとか、体育は楽しいとか。一仁からも色々聞いたけど、友達の話は出てこなかったし、桃くんの話も出てこなかった。僕は気を紛らすために窓の眺めることにした。結構走って窓の景色が木一色になってきた。
「森だー。木がいっぱい。」
「ふふ、そうだね。」
我ながら子供みたいな感想しか出てこない。言わない方がよかったかも。
漸く車が目的地に着いた様だ。車を降り、運転手さんにお礼を言う。一仁が何かを言うと車は行ってしまった。また帰ってくるの大変だろうに。
「お邪魔しまーす。凄い!、広い!、綺麗!庭まである!、あ、プールついてる!」
凄く綺麗なリゾートホテルみたいなところに連れてこられて僕は大興奮だった。
「気に入って貰えたようでよかった。」
「うん!あ、そういえば、光くん達は?」
「あぁ、昨日みんなで夜まで水遊びしたら風邪ひいたんだって。今朝連絡が来てて。」
「ふふ、何それ。まだ寒いのに、馬鹿だなぁ。ふふ。」
「結局二人きりになっちゃった、ごめんね。」
「ううん、一仁と二人きり嬉しいよ。ありがとう。いっぱい遊ぼうね。」
「そう言って貰えてよかった。」
前、僕がみんなもいた方がいいって言ったから不安になったのかな。かわいいやつめ。一仁と一緒にいてガッカリすることなんてあるわけないのに。
僕達は先ずゲームをした。ここには僕の好きなゲームが沢山あって、ずっと遊んでられる。昼ごはんも僕の好きなものしか出てこなくて幸せだった。でも楽しい時間はずっと続かなかった。
「よし、そろそろ勉強しようか。」
「…えっ。勉強するの? ゴールデンウィークだよ?」
「ゴールデンウィークでも課題はあるでしょ? 最終日までやらないつもり?」
「あっ、うっ。でも僕持ってきてないよ。」
「そこは大丈夫。僕が先生から同じの貰ってきたから。僕が予定を伝えなかったからね。用意は万端だよ。」
「えぇー、なんでこんなとこ来てまで。」
「教えるから、早く終わらせよう?」
「はーい。」
確かに一仁が教えてくれるなら早く終わるかも。それに、高校に入ってから僕はなんだかとっても頭が冴えてて授業で分からなくなったことが無かった。だから早く終わる、そう思ってたのに。
「……???、えーっと。ねぇ一仁、ここの答えなに?」
「それはこうやって、ここを…」
授業では理解してたはずなのに何故か解けない。そして一仁も新歓のときのようになかなか教えてくれない。答えを教えてくれればいいのに、解き方までで肝心の答えは教えてくれない。全然進まない、こうなったら。
「一仁、僕答えが知りたいな。教えて?」
必殺の可愛く(?)オネダリだ。
「…そんなことしてないで手動かしな。」
「ひぇっ。」
まさか効かないなんて。結局僕はちまちまと自分で解き、本当に分からないとこは精一杯のオネダリをして何とか今日の分の課題をやり終えた。オネダリが効かなかったらもう土下座するしかないと思ったね。
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