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桃の章

誕生日プレゼント

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 時が経つのは早いもので、そろそろ4月も終わる頃。

 「もうすぐ一仁の誕生日だ、早く来ないかなー。」

 「唯ってば最近そればっか。」

 「だって、こんなにちゃんとした物用意したの初めてなんだよ。」

 休み時間、今この教室には無い一仁へのプレゼントを思い出してにやにやしてしまう。

 「今まではどうしてたの?」

 「寮じゃなかったから、普通に放課後とかに食べ歩き。全部僕が奢るの。」

 「いいなー、放課後デート。学生っぽい。」

 「デートじゃないって。光くんは放課後寄り道とかしなかったの?」

 「学園内じゃ寄るとこなんてないしね。」

 「そっか。懐かしいなー、そういえば一番酷かったのは小学生の時、何も用意してなかったからお昼ご飯のウインナーあげたやつだったな。すごい雑なプレゼントなのに一仁ってばすっごい喜んでくれて、本当にいい人だよ。」

 「はぁ、小学生の時からか。」

 「え?、あぁ、そうだね。幼稚園のときは誕生日のプレゼントなんて気が回らないよね。」

 「はいはい、次の授業始まるよ。」

 「えぇ、急に冷たい。」

 話もそこそこに僕達は次の授業の準備をし始めた。










 その日の放課後、僕が帰る準備をしていた時、教室に一仁が尋ねてきた。

 「唯、いまいい?」

 「うん、なに?」

 「ここじゃあれだから、こっち。」

 そう言って僕は中庭に連れてこられた。ベンチに、一仁の隣に座るが抱き寄せられて、……なんか匂いを嗅がれている。くすぐったい。一仁は結構匂い嗅ぐの好きだよね。頭とか首のところとか、もしかしてΩのフェロモンってやつかな。欲求不満なのかな、あんまり考えないようにしよう。最近は一仁が忙しいのか、朝は毎日あっているが昼ご飯と夜ご飯の時はほんとたまにしか合わない。前ほど一緒にいないから寂しいのかな。軽く頭を撫でる。

 「ふふ、くすぐったいよ。話ってなに?」

 「うん、もうすぐ連休でしょ。どこか遊びに行かない?」

 「二人で?」

 「、唯が友達と一緒がいいなら誘おうか?」

 「うん、皆とも仲良くなったし、人多い方が楽しいでしょ?」

 「……じゃあ、僕から声掛けておくよ。場所も僕に任せてくれる?」

 「うん、ありがとう。楽しみ。」

 その後も一仁の気の済むまで一緒にいた。帰ろうと思って光くんたちを探して教室を見回したがいない。窓から覗いてたはずなのに。クラスの人に聞いたら先に帰ったそうだ。なんて薄情な。帰って理由を聞いたら「胃もたれ。」って。何かエビフライとか食べたのかな。












 待ちに待った一仁の誕生日。朝はいつもの如く時間が無いから放課後にSクラスまで一仁に会いに行く。

 「え、着いてきてくれないの!?」

 「うん、一人で行ってきな。」

 「そんな、、αがいっぱいなんだよ?、怖いんだよ?」

 「いけないならプレゼントあげなくていいんじゃない?」

 「ここから見ててやるよ。がんばれー。」

 「そんな、、璃来くんまで、、。」

 当然のようにみんなで行くものだと思ってたから一人となると足が竦む。

 「僕が着いていこうか?、大丈夫だよ、αは怖くないよ。」

 「うっ、陽向くん、ありがとう。」


 陽向くんと一緒にSクラスの方へ向かう。陽向くんは教室を出る前に何かを腕につけた。

 「それ何?」

 「これはお守り。風紀の腕章なんだけど、つけてると喧嘩とかに巻き込まれないの。」

 「へぇ、いいなー。僕も来年風紀委員に入ろっと。そうすれば一人でも気軽に一仁に会いに行けるかも。」

 「うん、歓迎するよ。」

 陽向くんはにっこり笑って返してくれた。
 お喋りをしてたらβのクラスも抜けてαのクラスの前に着いた。凄く視線を感じて早く帰りたい。陽向くんにしがみつく。すると陽向くんはSクラスまで後ちょっとというところで足を止めた。

 「じゃあ、僕三年生の所に寄ってくるから。Sクラスはすぐそこだから大丈夫。じゃあね。」

 「へっ、」

 急に見放された。後ちょっとなのは分かるけどその分αもいっぱいで、陽向くんと離れた途端声をかけられる。

 「どうしたの?、恋人に会いに来たの?」

 「俺が案内してあげるよ。どっち、A?それともS?」

 「この子一仁のΩじゃないの?」

 一仁は名前が出てきて顔をあげる。正直もうプレゼントを諦めて帰りたいが頑張る。

 「あ、あの。僕一仁に会いに……うぅ。」

 情けないことに涙まで出てきた。でもそれだけ伝えると背中を押されてあっという間に一仁の元に来れた。

 「えっ、唯!?、何やってるのこんなところで。……お前ら何してるの。」

 「何もしてないです、失礼しましたー。」

 ここまで連れてきてくれたαさん達が走って去っていった。一仁の教室で、僕は膝の上に乗せられる。

 「ごめ、何もされてない。ちょっとだけ怖くて。大丈夫だから。」

 「うん、頑張ったね。僕に会いに来てくれたの?」

 一仁の優しい匂いが鼻をくすぐる。

 「あのね、これ。誕生日おめでとう。貰ってくれる?」

 入学前から用意してたプレゼントを渡す。

 「っっ、ありがとう!、開けていい?」

 「うん。」

 「わぁ、時計だ。」

 プレゼント選びは結構悩んだ。高校生にもなったし、今までの軽いものじゃなくてしっかりしたものを贈ろうと思った。一緒に勉強してて、一仁が時計をつけてなかったのは知ってたし、お父様もいつもつけてて必要なものだと思うし、ちょっとお高いけど僕には時間が有り余っていたからお金も貯めてこれを贈ろうと思った。

 「うん、休んでる間、母様のお手伝いを頑張ってお小遣い貰って買ったの。デザインは僕が選んだの。どう?」

 「うん、凄くいいね。気に入った。本当にありがとう。」

 一仁に抱きしめられた。凄く喜んでくれて、頑張ってここまで来た甲斐があった。少しハグが長い気がする、恥ずかしい。

 「か、一仁?、そろそろ……」

 「うん。そういえば唯、お手伝いって何したの?、家の掃除とか?」

 「ううん、肩もみ。と、お喋りの相手。一日五千円。母様一日凄い暇らしくて、一緒にテレビ見ておやつ食べてって一緒に過ごしてあげたの。」

 「……へぇ、頑張ったね?」

 「うん!」

 本当に大変だったのだ。僕は勉強しなきゃいけないのに母様ってばずっと僕といようとするから。でも、高校に入れたし、一仁への誕プレも買えたのでよし。

  「待ってて、一緒に帰ろう。」

  「うん。」

 帰りは一仁とだったから周りのαも気にならなくて、無事帰ることが出来た。








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