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桃の章

騒がしい入学式

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 入学式はどこも一緒でつまらないもの、、ではなかった。いや、やってることは一緒なんだけど生徒会長と、新入生代表で一仁が出てきた時の生徒たちの悲鳴がすごかった。

「なんだこれ。」

「生徒会長の藤宮先輩、人気者なの。」

 光くんが説明を入れてくれたけどちっともわからない。なぜ悲鳴をあげるのか、しかも黄色いやつ。そして会長サマはだいぶフェロモンを放っているのか顔もよく見えないくらい遠くなのに僕はむしろ気分が少し悪くなった。そして一仁が新入生代表だったなんて、知らなかった。そんなに頭良かったんだ、、、。一仁にも悲鳴が上がるってことは人気者なのか、まだ1日しか経ってないのに。すごいなぁ。その後も先生の話とか色々あって、ぼけーっとしてたら式は終わった。先生の時は静かだったな。


 その後教室に戻って授業などの説明があった。先生が「高校の授業は大変だから1度遅れたら追いつくのが大変だ」と一人一人目を見ながら言うので僕は先生と目があったら深く頷いた。「僕は少しでもお利口になってずっと一仁の傍にいるんだ!!」と熱意を持って。
 学校行事の説明もあった。文化祭や体育祭、楽しそうだ、へへ。そして明日は新入生の歓迎会があるんだって。全然授業やらないじゃん! 
   その後も色々説明して今日はお昼で終わった。
   

 一仁は少し用事があるみたいで一緒に帰れなかったから光くんと璃来くんと2人で寮に帰り食堂で昼食をとった。僕の今日のお昼は親子丼だ。

「そういえば陽向くんは?」

「陽向は委員会に入るからって先生に話に行ったよ。俺も入ろうか迷うなー。」

 高校の委員会は3年のうちに1回やればいいらしい。

「1年から委員会なんてすごいなー、僕は来年でいいや。」

「風紀でしょ、委員長一条先輩だし。」

「せいかーい。」

「陽向くんも人気者?目当てなの? 、意外だなー、大人しい子だと思ってた。」

「違うよ、一条先輩と陽向は両思いだよ。」

「え?」

 鶏が箸から転げ落ちた。

「つ、きあってる、の?」

「多分?」

「へぇ、大人だ、、、。」

「あ、でも陽向のネックガードは一条先輩からじゃなくて、藤宮先輩からのやつだよ。あ、生徒会長ね。それで、陽向のお兄さん。」

「藤宮様がちょーブラコンだから陽向も苦労してるんだよ。」

 ほへぇ。

 すごいなぁ、僕はαとお喋りすらできるか怪しいのに、付き合うなんて夢のまた夢だ。隣で璃来くんと光くんは陽向くんの恋愛事情を話し合ってるけど僕には早すぎる話題だからもそもそと親子丼をたべてた。

「ネックガードと言えば、唯のそれも凄かったなー。」

「ホントだよー、僕あんな目の前でプロポーズ見たの初めてなんだけど。」

「そうだ、僕一仁にネックガード貰ったんだ。どんな感じか見えないや、ちょっと鏡探してくる!」

 親子丼がまだ残っているけど一仁に貰ったネックガードが見たいから鏡を探して席を外した。



 近くのトイレに入り鏡で首元を確認する。僕の首には黒い首輪が巻かれていた。全体が黒なのに黒で少し模様が着いていた。

「綺麗…、えへへ、へへへへ。」

 嬉しすぎてキモイ笑いが止まらないや。一生の宝物を貰った。そういえば光くんがプロポーズが何とかって言ってたな。僕はあの時自分のことばっかで周りなんて見てなかったから見逃してしまった。一仁ってば少しタイミングが悪い。でも嬉しい。
 顔をにまにまさせて親子丼の元へ戻った。




「おかえり。どうだった? すごく綺麗だよね。」

「ただいま。うん、すっごい綺麗、嬉しい。」

 幸せな気持ちで親子丼の残りを食べる。

「いいなー、僕も素敵なネックガード欲しいー。」

 僕の首元を見ながら光くんが言った。

「自分で買うんじゃダメなの?」

「ダメダメ!、そんなダサいことないよ。ちゃんと、好きな人から、こう、ロマンチック?にさぁ。」

 ふーん、そういうものなのか。適当に納得して親子丼を食べ進める。

「そういえば、明日の新歓スタンプラリーだってさー。20コ、全部集めたら豪華景品付き。」

「20コ…多いね。でもみんなで頑張れば集まるよね!」

「唯は一仁とでしょー、僕達も適当なα探さなきゃー。」

「陽向も一緒だから一条様から適当なαが送られるでしょ。」

「それだ、」

「…? 僕たち別行動なの?」

「今年はどうか知らないけど、スタンプラリーったってどうせ謎解きで俺たちΩだけじゃ絶対全部集まらないからα様にやってもらうの。」

「唯は一仁に離して貰えないだろうからねー、頑張ってね。豪華景品なんだろー。」

 光くんと璃来くんは景品に思いを馳せ始めてしまった。みんなも一緒にやりたい人がいるって事なのかな、まぁ一仁と一緒にいられるなら別にいいんだけど。

 お昼の後は璃来くん達の部屋で4人で遊んだ。ボードゲームやトランプゲーム、テレビゲーム…半日はすぐに過ぎていった。




「唯、お風呂どうする? 今日も部屋で入るか、今日から大浴場開くけど。」

「大浴場! 行ってみたい」

 僕は温泉とか行ったことなくて初めてだった。すごく広くて舞い上がっちゃった。璃来くんと陽向くんも一緒で4人で背中を洗いあった。ただのお風呂だけどとても楽しかった。ところでこのネックガード取れないんだけど水に濡れてもいいのかな。
 今日も僕は明日のために早めに寝た。








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