ずっと隣に

をよよ

文字の大きさ
上 下
4 / 47
桃の章

今日から寮生活

しおりを挟む


 一仁が毎日勉強を見てくれたおかげで高校に無事受かった。有名私立男子高だ。僕の家も一応そこそこ大きいからね。本当は中学から通う予定だったけど近いところがいいってつっぱねてた。クラスはEだった。意外と合格ギリギリだったのかも。一仁はSクラス、さすが。全寮制だから父様母様としばらくお別れ。寮は二人一部屋、同室の子とは上手くやれるだろうか。不安もいっぱいだが新しい学校生活は楽しみだ。


 入学式は明日、まずは入寮だ。一仁とは建物が違うから寮の前で別れた。Ω館とαβ館がある。Ωはヒートがあるからわけられてる。僕はまだヒートになったことがない。長らく引きこもりだった僕にはヒートを過ごすような相手はいない。相手がいないのにヒートになったらどうしよう。。。不安だ。

 寮に入って自分の部屋の前まで来た。ドアをノックして入る。

 「お邪魔します」

 同室の子は既に部屋の中にいた。

 「わぁ! こんにちは。僕は同室になった佐々木光です。よろしくね。」

 「こ、こんにちは、一宮唯です。よろしくお願いします。」

 同室の子はとっても可愛くてフレンドリーだった。

 「うん、唯って呼んでもいい? 同じ学年だから敬語じゃなくていいよ、光って呼んで?」

 「うん、わかった、光くん。」

 家族と一仁以外の人と久しぶりに話したけど光くんとなら上手くやっていけそうだ。

 僕達は荷解きをして寮の中を一緒に見て回った。部屋はそれぞれのベッドと机があってシャワートイレキッチン付きだ。ベッドが2つもあるのに部屋は全く狭く感じない。
 寮は5階建てで2階~5階が学生の部屋、1階にPCルーム大浴場団欒スペースとか色々ある。食堂でαβ館と繋がっていた。今は昼過ぎで人はまちまちだ。

 「見て唯ー、スイーツすごい充実してるよー。甘いもの好き?」

 「うん、好きだよ。勉強の合間にいつも甘いもの食べてた。」

 「だよねー癒されるよねー。ご飯も色々あるよ。オムライス美味しそう。」

 2人でメニューを眺めていたら一仁が来た。

 「唯。」

 「一仁っ、荷解き終わった? お部屋どうだった?」

 一仁が僕の隣に座ってくる。一仁の友達っぽい人もいて、光くんの隣にすわった。

 「うん、終わったよ。部屋は普通かな。こいつは僕の同室の長谷川、αだから唯はあまり近づかないようにね。」

 「長谷川涼です、よろしくね」

 「うん、よろしくお願いします長谷川くん。」
 「唯、そちらは?」

 「あっ、僕の幼なじみの鮫島一仁だよ。一仁、こちら僕の同室の光くん。」

 「よろしくね、鮫島君。」
 「よろしく。唯、同室と仲良くやっていけそうで良かったね。」

 うん、初日からお友達が出来て仲良く話が出来て僕はニコニコだ。
 その後しばらく4人で話をした。大浴場があったとか、自販機の飲み物は何があったとか、α館にはジムがあるんだって、いいな僕も行ってみたいや。





―光視点―

 僕達は1度部屋に戻った。唯に聞かなきゃ行けないことがあるから。

 「唯、一仁は唯の恋人?」

 「えっ、なんで!? ただの幼なじみだよ。」

 「だって涼に近づくなって言われてたじゃん、どうみたって牽制じゃん。」

 「違うよ。あれは、僕がαが苦手だから教えてくれただけだから。」

 嘘でしょ、、、すっごい視線とフェロモンが突き刺さって痛かったのに。あの空間、楽しくお喋りしてたの唯くんだけだよ。僕はいたたまれなかったよ。涼は可哀想だった。。唯が部屋に入ってきた時、とんでもない天使来たって思ったのに、本人は自覚がないのか周りの目を気にせず普段通りにおしゃべりしてるし。最高にレベル高いカップル入ってきたと思ったのに番でもなく、付き合ってすらいないなんて。衝撃だった。

 「唯は発情期は来た?」

 「まだだよ?」

 だからかな、フェロモンに鈍いのは。これは唯に近づくαも可哀想だけど一仁も可哀想だよ。唯はびっくりするくらい綺麗なんだからこれからも絶対狙われる。唯になるべく早くΩのハウトゥーを教えなければ。

  「そっか、変な事聞いてごめんね?」

 とりあえず今日は一仁のせいで気分がちょっと良くないからおやすみ。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

こじらせΩのふつうの婚活

深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。 彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。 しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。 裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。

処理中です...