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プロローグ
Ωであるということ
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僕達は中学生になった。
この辺りで僕に異変が起きた。
背はあまり伸びず体つきが華奢になった。体力が落ち、足が遅くなった。そして小学生の頃理解出来てた勉強の内容が分からなくなった。問題を読めばできそうなのに上手く思考が出来なくなった。昔はできてたことができなくなっていった。
僕は絶望した。やっぱりΩの僕じゃ一仁と夢を叶えられない、一仁のそばに居れない。家に帰ってからいつも泣いてた。
一仁はすごくかっこよくなった。多分僕達が通ってた中学でトップレベルにモテてたと思う。さすがαて感じ。他にもαはいたけど一仁は僕から見たら一番かっこよかった。一年生なのに生徒会にも誘われて入った。
僕の成績が落ち始めて一仁が生徒会に入って、一仁との距離も少し遠くなったかもしれない。一仁が忙しくしていたのと僕が一方的に無意識に距離をとっていたのかも。僕は自分が一仁に到底釣り合ってないと分かっていたから。
「僕はやっぱりΩで何も出来ない、僕じゃ一仁の隣にいる資格ないよ。」
一仁が家に来たのを無視して部屋に閉じこもってぽつりと呟いたのをきかれていたらしい。一仁は別にいいって僕がいればいいって変わらず僕に接してくれてた。少し気を使われるようになったけど離れないでくれたのはすごく嬉しかった。
そして事件が起こった。
僕達は二年生になった。
その日クラスの男子数人が家でゲームするっていうのに誘われた。β三人とαが一人いた。僕はあまり気が乗らなかったけど一仁が生徒会でいなくて暇だったのでOKしてしまった。
ゲームはβのやつの家で行われた。
僕はゲームは好きだった。運動は出来なくなったが手先は変わらず器用でゲームの腕は落ちなかった。だから少し楽しみだった。
けどその日行われたのはゲームではなかった。家主のβが兄からAVを借りたと言うから見ようってなった。僕はそういうのはどちらかと言うと苦手だった。クラスやその他の女子が一仁にアピールしているのをいつも見ていて少し嫌な気分になるくらいだった。
みんな夢中になって見ていた。僕は横でスマホ片手にジュースを飲んでいた。するとβの一人がふざけて僕の頬にキスしてきた。
「なぁ、一宮ってΩだよな。肌とかめっちゃ綺麗だし、顔も可愛い。俺これなら抱けるわ。」
鳥肌がたったなんてもんじゃなかった。酷い吐き気と嫌悪感が沸いた。必死に抵抗したけどαのやつもノってきて、酷い匂いがして何故か体が動かなくなった。
「うぇっ、んっ、んぅ、ぐっ」
顔中舐められて口内も犯されて涙が止まらなかった。
「うまっ、やっぱΩってすげー」
「えー、やっぱりαとΩってそういうのあるんだ。俺味とか全然わかんねーわ」
なんか喋っていたけど僕は気持ち悪くて意識を保つのもやっとでよく分からなかった。その時カチャカチャと音がしたから見たら目に入ったものに今度こそ気絶するかと思った。1人が自身のモノをとりだしていた。
僕は今度こそ気絶すると思ったがその時誰かが入ってきたようで玄関の扉の音がしてみんな止まった。
僕はその隙に机の上のジュースを彼らにかけて走って逃げた。
母親が帰ってきたらしく玄関を出る直前大声で挨拶して外にでた。
僕は走って家に帰ってそのままお風呂にはいった。身体中よく洗って、吐き気が止まるまでずっとシャワーを浴びた。
冷静になってわかった、僕は騙されたんだと。あいつらは初めからそのつもりで、ゲームで俺をつった。αのやつが来た瞬間体が動かなくなったのはフェロモンだ、と。
初めて感じたαのフェロモンに震えが止まらなかった。
αはみんなあんななのか、フェロモンを浴びたら動けなくなって絶対に犯される、α怖い、怖い、、、一仁も、、?
途端に収まったと思った吐き気がまたして、トイレに駆け込んで吐いた。
収まったらまたシャワーを浴びて、、、
それを繰り返したからか僕は風邪を引いた。
次の日学校終わりに一仁が家に来た。でも僕はなんだか怖くなって風邪が酷くて辛いからって会わなかった。
風邪が治って週明けの月曜日、久しぶりに一仁に会った。一仁は毎日来てくれていたけど僕が毎日顔を合わせるのを拒んでいたから久しぶりだ。
家の前で久しぶりの一仁は笑って挨拶してくれた。
「おはよう唯、もう風邪は大丈夫?」
「ひっ」
一仁が手を僕のおでこにかざしてきて僕は小さく悲鳴をあげてしまった。ほんとに小さかったから聞こえてないと思ったけど途端に一仁の顔が曇ったので焦って僕は返事をした。
「おはよう一仁、もうすっかり元気」
上手く笑顔で返せたと思う、でも一仁の手が僕のおでこに触れることは無かった。
「そう、よかった。じゃあ学校行こう」
一仁が笑顔に戻ったのでホッとして横に並んで学校に向かった。
教室に入った途端この前のアイツらが目に入って、他のαも意識したら急に教室が酷く臭く感じてトイレに逃げた。
「はぁ、はぁ、やばい」
吐き気が止まらず思考も悪い方によっていく。
このまま卒業まであの匂いに耐えないと行けないのか
あの教室に入れるだろうか
一仁から急に離れてしまって不自然だった
嫌われないだろうか、まだ一緒にいられるだろうか
結局僕はその日早退した。
一仁が心配して家に来てくれたが全く会える状況じゃなかった。両親には全て話した。とても心配してくれた。そして高校から新しい環境で頑張ると約束して残りの中学生活は登校を止めた。
毎日一仁は来てくれていたようで、少しして会うことにした。
とても久しぶりで会えてとても嬉しかった。まだ僕と一緒にいてくれる。Ωでも僕は一仁といていいんだって思えて安心した。
ずっと話さないのも悪いと思って襲われそうになったことは隠して、αの匂いが分かるようになって苦しいという理由で学校に行けなくなったと話した。
そしたら一仁は真っ青になって僕から離れて
「僕も臭かった?、ごめんっ」
なんてすごい勢いで言うから笑った。
「一仁の匂いは大丈夫、全く気にならない」
自分で言っておいてなんだが不思議と一仁の匂いは大丈夫だった、寧ろそばにいると安心する気さえする。
「そう、よかった」
一仁は安心した顔をしてまた僕に近づく。
二人で床に座って一仁は僕を膝の間に入れて顔をむにむにしている。
「僕、他のαから唯を守るよ。だから2人で高校も同じところに行こう。僕は唯と高校生出来たら嬉しいな。」
「うん」
すっごく嬉しかったけどちょっと恥ずかしくなって僕はそれしかいえなかった。
まったりして一仁は帰って行った。玄関まで見送って部屋に戻ってきて少し寂しくなった。αだけど、一仁は大丈夫だった。ずっとそばにいたけど自然にできたし、なんなら安心さえした。僕は緊張が解け床にへたりながらも一仁と過ごした時間を思い返した。
一仁はそれからも毎日学校が終わったら家に来て僕に勉強を教えてくれた。一仁の教え方がものすごく上手くて、僕は高校受験はなんの心配もないと思っていたけど意外とギリギリだった。僕はわかった気でいただけだったのか。でも無事に合格し春からまた一仁と同じ高校に行くことになった。不安はいっぱいだけどなんだか頑張れそうな気がした。
この辺りで僕に異変が起きた。
背はあまり伸びず体つきが華奢になった。体力が落ち、足が遅くなった。そして小学生の頃理解出来てた勉強の内容が分からなくなった。問題を読めばできそうなのに上手く思考が出来なくなった。昔はできてたことができなくなっていった。
僕は絶望した。やっぱりΩの僕じゃ一仁と夢を叶えられない、一仁のそばに居れない。家に帰ってからいつも泣いてた。
一仁はすごくかっこよくなった。多分僕達が通ってた中学でトップレベルにモテてたと思う。さすがαて感じ。他にもαはいたけど一仁は僕から見たら一番かっこよかった。一年生なのに生徒会にも誘われて入った。
僕の成績が落ち始めて一仁が生徒会に入って、一仁との距離も少し遠くなったかもしれない。一仁が忙しくしていたのと僕が一方的に無意識に距離をとっていたのかも。僕は自分が一仁に到底釣り合ってないと分かっていたから。
「僕はやっぱりΩで何も出来ない、僕じゃ一仁の隣にいる資格ないよ。」
一仁が家に来たのを無視して部屋に閉じこもってぽつりと呟いたのをきかれていたらしい。一仁は別にいいって僕がいればいいって変わらず僕に接してくれてた。少し気を使われるようになったけど離れないでくれたのはすごく嬉しかった。
そして事件が起こった。
僕達は二年生になった。
その日クラスの男子数人が家でゲームするっていうのに誘われた。β三人とαが一人いた。僕はあまり気が乗らなかったけど一仁が生徒会でいなくて暇だったのでOKしてしまった。
ゲームはβのやつの家で行われた。
僕はゲームは好きだった。運動は出来なくなったが手先は変わらず器用でゲームの腕は落ちなかった。だから少し楽しみだった。
けどその日行われたのはゲームではなかった。家主のβが兄からAVを借りたと言うから見ようってなった。僕はそういうのはどちらかと言うと苦手だった。クラスやその他の女子が一仁にアピールしているのをいつも見ていて少し嫌な気分になるくらいだった。
みんな夢中になって見ていた。僕は横でスマホ片手にジュースを飲んでいた。するとβの一人がふざけて僕の頬にキスしてきた。
「なぁ、一宮ってΩだよな。肌とかめっちゃ綺麗だし、顔も可愛い。俺これなら抱けるわ。」
鳥肌がたったなんてもんじゃなかった。酷い吐き気と嫌悪感が沸いた。必死に抵抗したけどαのやつもノってきて、酷い匂いがして何故か体が動かなくなった。
「うぇっ、んっ、んぅ、ぐっ」
顔中舐められて口内も犯されて涙が止まらなかった。
「うまっ、やっぱΩってすげー」
「えー、やっぱりαとΩってそういうのあるんだ。俺味とか全然わかんねーわ」
なんか喋っていたけど僕は気持ち悪くて意識を保つのもやっとでよく分からなかった。その時カチャカチャと音がしたから見たら目に入ったものに今度こそ気絶するかと思った。1人が自身のモノをとりだしていた。
僕は今度こそ気絶すると思ったがその時誰かが入ってきたようで玄関の扉の音がしてみんな止まった。
僕はその隙に机の上のジュースを彼らにかけて走って逃げた。
母親が帰ってきたらしく玄関を出る直前大声で挨拶して外にでた。
僕は走って家に帰ってそのままお風呂にはいった。身体中よく洗って、吐き気が止まるまでずっとシャワーを浴びた。
冷静になってわかった、僕は騙されたんだと。あいつらは初めからそのつもりで、ゲームで俺をつった。αのやつが来た瞬間体が動かなくなったのはフェロモンだ、と。
初めて感じたαのフェロモンに震えが止まらなかった。
αはみんなあんななのか、フェロモンを浴びたら動けなくなって絶対に犯される、α怖い、怖い、、、一仁も、、?
途端に収まったと思った吐き気がまたして、トイレに駆け込んで吐いた。
収まったらまたシャワーを浴びて、、、
それを繰り返したからか僕は風邪を引いた。
次の日学校終わりに一仁が家に来た。でも僕はなんだか怖くなって風邪が酷くて辛いからって会わなかった。
風邪が治って週明けの月曜日、久しぶりに一仁に会った。一仁は毎日来てくれていたけど僕が毎日顔を合わせるのを拒んでいたから久しぶりだ。
家の前で久しぶりの一仁は笑って挨拶してくれた。
「おはよう唯、もう風邪は大丈夫?」
「ひっ」
一仁が手を僕のおでこにかざしてきて僕は小さく悲鳴をあげてしまった。ほんとに小さかったから聞こえてないと思ったけど途端に一仁の顔が曇ったので焦って僕は返事をした。
「おはよう一仁、もうすっかり元気」
上手く笑顔で返せたと思う、でも一仁の手が僕のおでこに触れることは無かった。
「そう、よかった。じゃあ学校行こう」
一仁が笑顔に戻ったのでホッとして横に並んで学校に向かった。
教室に入った途端この前のアイツらが目に入って、他のαも意識したら急に教室が酷く臭く感じてトイレに逃げた。
「はぁ、はぁ、やばい」
吐き気が止まらず思考も悪い方によっていく。
このまま卒業まであの匂いに耐えないと行けないのか
あの教室に入れるだろうか
一仁から急に離れてしまって不自然だった
嫌われないだろうか、まだ一緒にいられるだろうか
結局僕はその日早退した。
一仁が心配して家に来てくれたが全く会える状況じゃなかった。両親には全て話した。とても心配してくれた。そして高校から新しい環境で頑張ると約束して残りの中学生活は登校を止めた。
毎日一仁は来てくれていたようで、少しして会うことにした。
とても久しぶりで会えてとても嬉しかった。まだ僕と一緒にいてくれる。Ωでも僕は一仁といていいんだって思えて安心した。
ずっと話さないのも悪いと思って襲われそうになったことは隠して、αの匂いが分かるようになって苦しいという理由で学校に行けなくなったと話した。
そしたら一仁は真っ青になって僕から離れて
「僕も臭かった?、ごめんっ」
なんてすごい勢いで言うから笑った。
「一仁の匂いは大丈夫、全く気にならない」
自分で言っておいてなんだが不思議と一仁の匂いは大丈夫だった、寧ろそばにいると安心する気さえする。
「そう、よかった」
一仁は安心した顔をしてまた僕に近づく。
二人で床に座って一仁は僕を膝の間に入れて顔をむにむにしている。
「僕、他のαから唯を守るよ。だから2人で高校も同じところに行こう。僕は唯と高校生出来たら嬉しいな。」
「うん」
すっごく嬉しかったけどちょっと恥ずかしくなって僕はそれしかいえなかった。
まったりして一仁は帰って行った。玄関まで見送って部屋に戻ってきて少し寂しくなった。αだけど、一仁は大丈夫だった。ずっとそばにいたけど自然にできたし、なんなら安心さえした。僕は緊張が解け床にへたりながらも一仁と過ごした時間を思い返した。
一仁はそれからも毎日学校が終わったら家に来て僕に勉強を教えてくれた。一仁の教え方がものすごく上手くて、僕は高校受験はなんの心配もないと思っていたけど意外とギリギリだった。僕はわかった気でいただけだったのか。でも無事に合格し春からまた一仁と同じ高校に行くことになった。不安はいっぱいだけどなんだか頑張れそうな気がした。
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