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第66章:"光の聖女"が全力で俺の学園生活を闇に閉ざそうとしてきやがります(絶望)②
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「あ、そーだ、いつまでも成長しないにいちゃんの相手は後回しだったわ」
腹立たしい独り合点と共にきびすを返すと、光琉は俺に背中を見せて歩き出す。向かった先は、今回の元凶たる指抜きグローブ野郎の処だった。
小吉の前で立ち止まると、つつましい胸を張って大声で怒鳴った。
「ちょっと、あたしのスマホ返してよ。人のもの勝手にとったら、ドロボーのはじまりなんだよ!」
……というか、それはドロボーそのものではないか? まーた深く考えずに、ムズカシイコト(※光琉基準)を言おうとしやがったな。
詰め寄られた小吉はといえば毒気を抜かれた表情になり、懐から桜色のスマホ(普段光琉が使っているフォルムだ)を取り出すと無言で光琉に差し出した。
謝罪の言葉ひとつなかったが、その点に関しては妹は何も言わなかった。差し出されたスマホを左手で受け取ると、右手を小吉に向けてサムズアップしてみせる。「ぐっじょぶ!」じゃねえよ。
「わかればいいのよ。あたしはカンダイな女だからね、スマホを盗ったことは腹立つけど、ナイスな噂を流してくれた働きでソーサイしてあげる」
相殺すんな。
呆気にとられた小吉を映す光琉の眼が、直後、すうっと細められた。スマホの色よりも淡く遥かに美しい桜色の唇が、静かにうごく。
「でも、にいちゃんを襲ったことは許さないからね? もし今度同じことをしたら、この地球に生まれ落ちたことを後悔させてあげるわ」
小吉の顔に戦慄がはしった。光琉の体内で瞬時に収斂された、聖なる魔力を感じ取ったのだ。
こけおどしではない。光琉がその気になれば、今すぐ小吉を消し飛ばすことだって不可能ではないのだ。たとえ竜人モードの守備力を以ってしても、"光の聖女"が本気で放った攻撃魔法を耐えしのぐことは至難だろう。
もっとも、いくら強大な威力の魔法でも、相手がまともに喰らってくれるかはまた別の話だが。
依然表情をこわばらせたままの小吉を他所に、光琉はといえば返されたスマホの電源をいれて「あ、やっぱあたしのだ」などとしれっと呟いている。一応、本当に自分のものかどうか確認するだけの慎重さは持ち合わせているらしい。
「ははは、うちよりおっかない女の子に目をつけられてもうたなあ、しょーきち」
竜崎の笑い声が、結果的に場の緊張をほぐす役割を果たした。
「これに懲りたら、二度とアホな真似はせんことや。さて、随分時間を食ってもうたな。せっかくの再会やったけど、こんなとこで立ち話を続けるのもなんや。ここは一旦解散といかんか?」
「……そうね、一限目にはもう間に合わないけど、今教室に戻れば何とか二限目は最初から受けられるでしょうし」
真面目な風紀委員は、こんな時でも授業が気になるようだ。俺としてもこの場所には呼び出されてきただけだし、否やはない。
「ただ、"一旦"と保留をつけるのは気に入らないわね。これ以上、あなたたちと話すことなんて何もないと思うけど?」
「つれないわあ。同じ女神に使命を授けられた仲間やないか」
「それに関しては、まだ納得したわけじゃ、」
「それに前世を抜きにして、現代日本の退魔士としてだけでも、うちの話を聞いて損はないと思うで。最近の魔族の同行、気になっとったんやろ?」
竜崎の言葉をきいて、奥杜は絶句した。彼女の退魔士としての活動についてまで、相手は把握していたのだ!
「奥杜楓、あんたが退魔士としてこの近辺に出没する魔族と戦っていることは、以前から知っとった。校内で魔力を発している生徒なんて珍しいからな、色々調査させてもらったわ。もっとも、その際カーシャの生まれ変わりとまでは突き止められんかったが」
どうやらこの陰の総番は、予想よりもはるかに大きな情報網を所有しているらしい。
「あんた、最近魔族の動きが組織立ったもんになってきたんやないかと疑っとったろ? 正解や、たしかに裏で糸を引いとる連中がおる」
「何故そんなことまで知って……やっぱりあなたも、そいつらの!?」
「別にうちはあの連中とつるんどるわけやない。ただなあ、立場上、自然と情報は集まってくるんや。面倒なことやけどな」
そう言って竜崎はうんざりしたようなため息をつくと、今度は視線を俺に向けてきた。
「これは光琉ちゃんの安全にも関わる情報やで? 連中が今後、"光の聖女"を狙ってくるのはまず間違いないやろからな」
そう聞かされては、無視するわけにはいかない。魔族がこれから光琉を襲ってくるだろうというのは、奥杜の予測とも合致する。
「……わかりました、話をうかがいましょう」
「あたしもいっしょに聞くからね! あたし自身に関わることなんだし」
横から大声で主張してきたのは、言わずもがなの我が妹である。その顔にはありありと、「あたしの見てない処でキレーな女の人と会わせてたまるもんですか!」と書いてある。どうにも緊張感が薄いんだよなあ、こいつ……
「よし、決まりやな! じゃあさっそく、今日の放課後顔を貸してくれへんか? あんたら3人を、うちの家に招待したいんやが」
前世では世界を救った英雄パーティでも、現世では暇人とぼっちの集まりでしかない(悲しいなあ……)。本日特に別の予定が入っている者もおらず、全員学校が終わったら竜崎宅へお呼ばれする流れになったのだった。
奥杜と小吉の2人は最後まで不服そうだったが、異論を差し挟んでくることはなかった。もう何を言っても無駄だ、と諦めていたのかもしれない。
「さ、話はついたわね。じゃ、各自自分のキョーシツにもどりましょー!」
光琉が元気よく拳を突き出しながら歩き出したが、俺は流されなかった。
「こら、なに高等部の方に向かおうとしてんだよ。お前の行き先は逆だろうが」
「ちっ、誤魔化されなかったか」
当たり前じゃ。
「まあいいわ、ここはジョーホしましょ。おジャ魔女、あたしの見てないとこでにいちゃんをユーワクすんじゃないわよ」
「誰がしますか、そんなことッ!」
奥杜ともはや恒例の感さえある漫才を一発かまして去って行こうとする妹に、一応釘をさしておく。
「おい、くれぐれもお前の日記(とは名ばかりの妄想)の内容を中等部で広める、なんつーアホな真似はするんじゃないぞ」
「分かってるわよ。ゴジツのたのしみに取っとくわ」
「取っておくな! 永久に封印してろ、あんな妄想」
もっとも、一度世に出回った情報を制御するのは(その真偽を問わず)不可能だ。妹がその軽すぎる口に閂をかけたとしても、俺の不名誉な噂が高等部から中等部へ、高地から低地へ流れる水のごとく浸透していくのは時間の問題かもしれない。
そこまで考えて、何だか一々気にするのも馬鹿らしくなってきた俺だった。
さて、光琉があわただしい足音をたてて中等部の方へ去っていき、残った4人もなるべく人目につかないよう高等部の校舎へと戻りはじめる。
「せや、この小吉が制服ボロボロにしてしもうたからな、後で新品を弁償させてもらうわ」
歩き出す前に、竜崎は俺にそれだけ告げた。身長や肩幅などのサイズを質問されることはなかった。それらの情報も、すでに把握しているということだろうか。何だかうすら寒さをおぼえるな……
まず竜崎と小吉が並んで前方を行き、やや距離を隔てて俺と奥杜がつづく、という形になった。
よくは聞き取れないが、歩きながらも竜崎は依然小吉にくどくど説教を続けているようだ。言われる小吉の方は拗ねたようにブツブツ不平を漏らすものの、やはり強い反論はできずにいる。
俺にあれ程激しい殺意を向けてきた男と同一人物とは思えない、殊勝な態度だ。前世で仕えた相手への忠誠心ゆえのことか、それとももっと別な感情が作用しているのだろうか。
そんな2人の様子を、というか竜崎の後ろ姿を漫然と眺めながら、俺の頭はしばしもの思いにからめ取られていた。
「ちょっと、天代くん、聞いてるの!?」
奥杜の叱責が横から飛んでくる。どうやら何か話しかけられていたらしい。
「いい、今日彼女の家に行くのは仕方ないとして、くれぐれも油断しちゃダメですからね。あなた、ちょっと気を許しすぎよ。あの女は前世で魔王軍の幹部だったのよ、いくら記憶があやふやだからって、もっと警戒心をもって、」
奥杜の説教は校舎にもどるまで止みそうになかったが、やはり俺は上の空だった。
記憶……そう、少し前から、前世の竜崎星良――星竜姫ヴィンゼガルドに関するひとつの記憶が、明確によみがえりつつあるのだった。魔王軍幹部の頃ではない、魔王が討伐された後の彼女についての記憶が。
女神エウレネが俺の記憶に制限をかけたのが本当だとしても、完全に消し去られたわけではないらしい。昨日から何度も体験していることだが、きっかけさえあれば少しずつでも脳裏によみがえってくるもののようだ。竜崎と直に接し、言葉を交わし、その前世を断片的に聞かされたことが、刺激となってサリスの記憶を揺り起こしたのだ。
俺は細い糸を手繰りよせるような感覚で、未だあやふやなままの記憶をはっきり再構築しようと試みる。全神経を集中する。
なぜ魔族を憎んでいたサリスが星竜姫を救ったのか、その動機までは思い出せない。だが、サリスが魔王討伐後、星竜姫をはじめとする魔王軍に与した竜人たちを保護し、人間たちの眼から逃れて生活するための住処を提供したことは、間違いのない事実だ。
そして俺――サリスは、竜人たちが隠れ住んでいたその山間の集落において、ヴィンゼガルドの最期を看取ったのだった。
そう、あれはたしか、魔王を討伐してから半年ほどが経過した頃のこと……
腹立たしい独り合点と共にきびすを返すと、光琉は俺に背中を見せて歩き出す。向かった先は、今回の元凶たる指抜きグローブ野郎の処だった。
小吉の前で立ち止まると、つつましい胸を張って大声で怒鳴った。
「ちょっと、あたしのスマホ返してよ。人のもの勝手にとったら、ドロボーのはじまりなんだよ!」
……というか、それはドロボーそのものではないか? まーた深く考えずに、ムズカシイコト(※光琉基準)を言おうとしやがったな。
詰め寄られた小吉はといえば毒気を抜かれた表情になり、懐から桜色のスマホ(普段光琉が使っているフォルムだ)を取り出すと無言で光琉に差し出した。
謝罪の言葉ひとつなかったが、その点に関しては妹は何も言わなかった。差し出されたスマホを左手で受け取ると、右手を小吉に向けてサムズアップしてみせる。「ぐっじょぶ!」じゃねえよ。
「わかればいいのよ。あたしはカンダイな女だからね、スマホを盗ったことは腹立つけど、ナイスな噂を流してくれた働きでソーサイしてあげる」
相殺すんな。
呆気にとられた小吉を映す光琉の眼が、直後、すうっと細められた。スマホの色よりも淡く遥かに美しい桜色の唇が、静かにうごく。
「でも、にいちゃんを襲ったことは許さないからね? もし今度同じことをしたら、この地球に生まれ落ちたことを後悔させてあげるわ」
小吉の顔に戦慄がはしった。光琉の体内で瞬時に収斂された、聖なる魔力を感じ取ったのだ。
こけおどしではない。光琉がその気になれば、今すぐ小吉を消し飛ばすことだって不可能ではないのだ。たとえ竜人モードの守備力を以ってしても、"光の聖女"が本気で放った攻撃魔法を耐えしのぐことは至難だろう。
もっとも、いくら強大な威力の魔法でも、相手がまともに喰らってくれるかはまた別の話だが。
依然表情をこわばらせたままの小吉を他所に、光琉はといえば返されたスマホの電源をいれて「あ、やっぱあたしのだ」などとしれっと呟いている。一応、本当に自分のものかどうか確認するだけの慎重さは持ち合わせているらしい。
「ははは、うちよりおっかない女の子に目をつけられてもうたなあ、しょーきち」
竜崎の笑い声が、結果的に場の緊張をほぐす役割を果たした。
「これに懲りたら、二度とアホな真似はせんことや。さて、随分時間を食ってもうたな。せっかくの再会やったけど、こんなとこで立ち話を続けるのもなんや。ここは一旦解散といかんか?」
「……そうね、一限目にはもう間に合わないけど、今教室に戻れば何とか二限目は最初から受けられるでしょうし」
真面目な風紀委員は、こんな時でも授業が気になるようだ。俺としてもこの場所には呼び出されてきただけだし、否やはない。
「ただ、"一旦"と保留をつけるのは気に入らないわね。これ以上、あなたたちと話すことなんて何もないと思うけど?」
「つれないわあ。同じ女神に使命を授けられた仲間やないか」
「それに関しては、まだ納得したわけじゃ、」
「それに前世を抜きにして、現代日本の退魔士としてだけでも、うちの話を聞いて損はないと思うで。最近の魔族の同行、気になっとったんやろ?」
竜崎の言葉をきいて、奥杜は絶句した。彼女の退魔士としての活動についてまで、相手は把握していたのだ!
「奥杜楓、あんたが退魔士としてこの近辺に出没する魔族と戦っていることは、以前から知っとった。校内で魔力を発している生徒なんて珍しいからな、色々調査させてもらったわ。もっとも、その際カーシャの生まれ変わりとまでは突き止められんかったが」
どうやらこの陰の総番は、予想よりもはるかに大きな情報網を所有しているらしい。
「あんた、最近魔族の動きが組織立ったもんになってきたんやないかと疑っとったろ? 正解や、たしかに裏で糸を引いとる連中がおる」
「何故そんなことまで知って……やっぱりあなたも、そいつらの!?」
「別にうちはあの連中とつるんどるわけやない。ただなあ、立場上、自然と情報は集まってくるんや。面倒なことやけどな」
そう言って竜崎はうんざりしたようなため息をつくと、今度は視線を俺に向けてきた。
「これは光琉ちゃんの安全にも関わる情報やで? 連中が今後、"光の聖女"を狙ってくるのはまず間違いないやろからな」
そう聞かされては、無視するわけにはいかない。魔族がこれから光琉を襲ってくるだろうというのは、奥杜の予測とも合致する。
「……わかりました、話をうかがいましょう」
「あたしもいっしょに聞くからね! あたし自身に関わることなんだし」
横から大声で主張してきたのは、言わずもがなの我が妹である。その顔にはありありと、「あたしの見てない処でキレーな女の人と会わせてたまるもんですか!」と書いてある。どうにも緊張感が薄いんだよなあ、こいつ……
「よし、決まりやな! じゃあさっそく、今日の放課後顔を貸してくれへんか? あんたら3人を、うちの家に招待したいんやが」
前世では世界を救った英雄パーティでも、現世では暇人とぼっちの集まりでしかない(悲しいなあ……)。本日特に別の予定が入っている者もおらず、全員学校が終わったら竜崎宅へお呼ばれする流れになったのだった。
奥杜と小吉の2人は最後まで不服そうだったが、異論を差し挟んでくることはなかった。もう何を言っても無駄だ、と諦めていたのかもしれない。
「さ、話はついたわね。じゃ、各自自分のキョーシツにもどりましょー!」
光琉が元気よく拳を突き出しながら歩き出したが、俺は流されなかった。
「こら、なに高等部の方に向かおうとしてんだよ。お前の行き先は逆だろうが」
「ちっ、誤魔化されなかったか」
当たり前じゃ。
「まあいいわ、ここはジョーホしましょ。おジャ魔女、あたしの見てないとこでにいちゃんをユーワクすんじゃないわよ」
「誰がしますか、そんなことッ!」
奥杜ともはや恒例の感さえある漫才を一発かまして去って行こうとする妹に、一応釘をさしておく。
「おい、くれぐれもお前の日記(とは名ばかりの妄想)の内容を中等部で広める、なんつーアホな真似はするんじゃないぞ」
「分かってるわよ。ゴジツのたのしみに取っとくわ」
「取っておくな! 永久に封印してろ、あんな妄想」
もっとも、一度世に出回った情報を制御するのは(その真偽を問わず)不可能だ。妹がその軽すぎる口に閂をかけたとしても、俺の不名誉な噂が高等部から中等部へ、高地から低地へ流れる水のごとく浸透していくのは時間の問題かもしれない。
そこまで考えて、何だか一々気にするのも馬鹿らしくなってきた俺だった。
さて、光琉があわただしい足音をたてて中等部の方へ去っていき、残った4人もなるべく人目につかないよう高等部の校舎へと戻りはじめる。
「せや、この小吉が制服ボロボロにしてしもうたからな、後で新品を弁償させてもらうわ」
歩き出す前に、竜崎は俺にそれだけ告げた。身長や肩幅などのサイズを質問されることはなかった。それらの情報も、すでに把握しているということだろうか。何だかうすら寒さをおぼえるな……
まず竜崎と小吉が並んで前方を行き、やや距離を隔てて俺と奥杜がつづく、という形になった。
よくは聞き取れないが、歩きながらも竜崎は依然小吉にくどくど説教を続けているようだ。言われる小吉の方は拗ねたようにブツブツ不平を漏らすものの、やはり強い反論はできずにいる。
俺にあれ程激しい殺意を向けてきた男と同一人物とは思えない、殊勝な態度だ。前世で仕えた相手への忠誠心ゆえのことか、それとももっと別な感情が作用しているのだろうか。
そんな2人の様子を、というか竜崎の後ろ姿を漫然と眺めながら、俺の頭はしばしもの思いにからめ取られていた。
「ちょっと、天代くん、聞いてるの!?」
奥杜の叱責が横から飛んでくる。どうやら何か話しかけられていたらしい。
「いい、今日彼女の家に行くのは仕方ないとして、くれぐれも油断しちゃダメですからね。あなた、ちょっと気を許しすぎよ。あの女は前世で魔王軍の幹部だったのよ、いくら記憶があやふやだからって、もっと警戒心をもって、」
奥杜の説教は校舎にもどるまで止みそうになかったが、やはり俺は上の空だった。
記憶……そう、少し前から、前世の竜崎星良――星竜姫ヴィンゼガルドに関するひとつの記憶が、明確によみがえりつつあるのだった。魔王軍幹部の頃ではない、魔王が討伐された後の彼女についての記憶が。
女神エウレネが俺の記憶に制限をかけたのが本当だとしても、完全に消し去られたわけではないらしい。昨日から何度も体験していることだが、きっかけさえあれば少しずつでも脳裏によみがえってくるもののようだ。竜崎と直に接し、言葉を交わし、その前世を断片的に聞かされたことが、刺激となってサリスの記憶を揺り起こしたのだ。
俺は細い糸を手繰りよせるような感覚で、未だあやふやなままの記憶をはっきり再構築しようと試みる。全神経を集中する。
なぜ魔族を憎んでいたサリスが星竜姫を救ったのか、その動機までは思い出せない。だが、サリスが魔王討伐後、星竜姫をはじめとする魔王軍に与した竜人たちを保護し、人間たちの眼から逃れて生活するための住処を提供したことは、間違いのない事実だ。
そして俺――サリスは、竜人たちが隠れ住んでいたその山間の集落において、ヴィンゼガルドの最期を看取ったのだった。
そう、あれはたしか、魔王を討伐してから半年ほどが経過した頃のこと……
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