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断章-薄明の邂逅(前)②
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「これはこれは……中々どうして、卑小な人間にしては大した感覚をお持ちだ」
魔性の声はさほど大きくはないにも関わらず、回廊全体に響き渡り二重三重に谺するという奇妙な現象を引き起こした。
サリスは目だけを動かして周囲の状況を確認する。いくら人気のない区画の無駄に長大な回廊内とはいえ、これだけ騒ぎになれば誰かしら駆けつけてもいいはずだ。しかし今のところ、サリスと目の前の魔性以外の気配は、人のものだろうが魔のものだろうが感じられない。どうやら一種の結界を張られたようだ、と判断せずにはいられなかった。
「さすがは、まがりなりにも"勇者"などと呼称されるだけのことはある……まあそれも、明日からは過去形で呼ばれることとなりましょうがな」
言葉が終わるより先に、変容が訪れた。神官の法衣はちぎれ飛び、人の皮膚は溶けくずれ、目の前にいた小柄な男の体躯が縦横それぞれに3倍ほどにも膨張した。やがて暗がりの回廊に、きわめておぞましい異形が現出した。二本足で立ち、長い2本の腕を無造作に垂らし、胴体の上には頭がある。全体の輪郭は一見人間に近く見えるが、頭には2本の角があり、口は頬を穿つように裂け、そして全身が紫色にぬめり光っていた。
魔人だ。吊り上がった両眼にはやはり狐の面影があることから、ひょっとしたら妖狐族の血も混じっているのかもしれない。いずれにせよ人語を介し、変容魔法を使用し、人界に溶けこむだけの智慧を有していることからして、魔族中でも相当高位の者だろう。
「わざわざ人間に化けて神殿に潜りこむとはご苦労なこったな。これまでうまいこと尻尾を隠していたらしいが、その努力もこれで水の泡ってわけだ」
「何、ここで貴方が死ねば、私の正体を知るものは誰もいなくなりましょう。既にお察しでしょうがこの場には結界をはらせてもらいました故、しばらくは近寄る者もいない。それにこれは予定通りの成り行きでもあります。貴方さえ始末してしまえば、私がここにいる目的の大半は果たせるのですよ。聖剣を扱える唯一の人間が、この世から消え去るのですからね!」
あごの付け根まで裂けた口を大きく広げてその時魔人が浮かべた表情は、どうやら嘲笑であるらしかった。
「そう、魔王様を討つなどという妄言は馬鹿馬鹿しいかぎりですが、たしかにあの”聖剣”とやらは人間には過ぎた代物ですからね。小さな危険でも、早めに摘みとっておくにこしたことはない」
魔人は己の右手を顔の前にかかげた。その腕は見る見るうちに細くなり、硬質な光沢をまとい始め、肘から先が長剣の剣身部へと変貌した。変容魔法を、己の身体に部分的にかけたのだ。
魔族は魔法を発動させる時、基本的には呪文や印などの術式を要さない。それらは本来魔力の扱いに適さない生態の人間が魔法発動のために用いる、精神を研ぎ澄まし術のイメージを深める手段、いわば自己暗示の儀式である。魔族の中には、たとえ知性の低い魔獣であっても本能で魔力をともなった炎や雷を生成し放出できるような種もいる。その意味でこと魔法の戦闘においては、人間の側がどうしても不利と言わざるをえないだろう。
それでも変容魔法で身体の一部だけを変形させる、などという真似は魔法の応用の中でも相当高度な部類に属するはずで、並の魔物にできることではない。それを瞬時に成してしまうのだから、目の前の魔人が魔力の行使に相当熟達した、容易ならぬ相手であることは疑いない。
「今の貴方は聖剣はおろか普段使用している剣をもここまで来る内にあずけてしまい、得物といえばその貧相な短剣ひとつ。それでどうして私に抗うことができるというのです。まったく、思い通りにことが運んでくれたものです。この神殿に足を踏みいれた時から、貴方は罠にかかっていたのですよ!」
「こっちが丸腰になる時を見越して殺そうとしたってわけか。せこい野郎だ。その程度の小物相手に恐れ入る理由はねえな」
サリスは笑った。自分の表情だから見ることができなかったが、その笑みは魔人の眼にはさぞ不敵に映ったようだった。紫色の顔面から嘲笑の色がうすれ、獰猛なうなり声が響いた。
「俺を罠にかけるつもりだったら、自分でここに短剣を持ちこんだのは失敗だったな。これ一本あれば、貴様ごとき屠るのに造作もねえぜ」
「ほざきなさい!」
怒号とともに、魔人が床を蹴った。こちらに向かって矢のごとく突進してきたかと思うと、勢いそのままに剣と化した右手を突き出してくる。心の臓にねらいを定めた突きを、サリスが無造作に身体を捻ってかわす。
魔人はよけたサリスを追って、間髪入れずに斬撃の雨を繰りだしてくるが、剣風が頬をなでるだけで、ただの一撃もサリスの皮膚にすら届かない。すべて、紙一重で見切っていた。
魔人が咆哮した。苛立ったように剣と化した己の右腕を天井に向けてかかげると、大きな動作で力まかせに振り下ろしてくる。うしろに跳んで難なくかわしたサリスは、隙が生じたのを見計らい回避から攻撃へと転じる決断をした。
しかし、それは魔人のさそいだった。サリスが魔人の懐へと飛びこんでいくその寸前、まだ体勢を立て直せずにいる魔人の顔だけがサリスの方を向き、その口が大きく開いた。口内に炎の球が生まれ、その形が崩れたかと思うと、炎は波濤となってサリスをおそった!
人間の世で"焰浪"と呼ばれる、炎による攻撃魔法である。魔人が放つ炎は闇の成分が混じるせいかやや黒みがかっている。黒炎はサリスの視界を覆い、全身を包んだ。
「かかりましたね。私が使える魔法が変容魔法だけだとでも思いましたか、愚かな! 金剛石すらも瞬時に溶かす我が魔炎からのがれる術などもうありませんよ、灰ものこさずに蒸発し」
魔人の口上はそこで凍りついた。炎の波を突き破り、眼前へと飛び出した俺=サリスの姿を見て、魔人の細い眼が見開かれる。人間とは程遠い異相でもはっきりそれと分かる、驚愕の表情が顔面にあらわれた。
相手が衝撃で固まっている隙に、サリスは短剣を繰りだした。さすがにいつまでもじっとしていてはくれなかったが、それでも先ほどより鈍い動きでかわす魔人の表層に、一箇所二箇所、浅い傷を負わせることに成功した。
「ば、馬鹿な。何故燃えない、何故生きている! 魔力さえ持たない人間が、私の黒炎に耐えうるはずがない、貴様は一体!?」
「ぎゃあぎゃあうるせえよ。そんなに口を動かす暇があるのなら、とっとと死にやがれ」
サリスは大きく一歩踏み込み、渾身の突きを魔人の顔面めがけて放った。魔物はたとえ頭を破壊しても、”核”が無事である限り絶命するとは限らないが、せめて眼球を貫いて視界をうばおうという目算もあった。
短剣が届く直前に自失から回復した魔人は、すんでで突きをかわす。刃が頬をかすり、その傷口からどす黒い血が流れた。右手を薙ぎ払いサリスをけん制すると、後ろに大きく飛びのき、距離をとる。
「ち、往生際の悪いやつだ……」
サリスは悪態をついた。ふてぶてしさを装いつつも、内心は外面ほどの余裕はなかった。
先ほどは大言を吐いたが、確かに手の中の短剣だけで相手に致命傷をあたえるのは至難のようだ。目の前の魔人は魔法の技量のみならず、肉体を直接使った戦闘においても並大抵ではない実力を備えている。なかなかサリスに、必殺の間合いまで踏み込むことを許してくれない。現に今も、すでに虚を突かれた驚愕から立ち直り、隙のないかまえでこちらを睨んでいる。
人間と魔物では元来の膂力も持久力も違う。戦闘が長引けば、先に力尽きるのはこちらの方だろう。加えて、魔人の手が擬態した長剣を一撃でもまともに食らえば、サリスは絶命をまぬがれまい。
「人間風情が。私にこれほどの流血を強いた以上、相応の覚悟をしてもらいますよ。手足を切り落とされる程度で済むとは、思わぬことです……」
憎悪と嗜虐の入り混じった声音は、魔人が己の優位を確信している故だろう。そしてその認識は、この場合、口惜しいながらほぼ正鵠を射ていた。
「さて、どうすりゃいいかな」
サリスが内心で吐露した時。
「”聖縛”」
薄闇の回廊に、その声は毅然と響いた。耳に涼やかな、女性の声だった。
直後、魔人の足元から光が湧き出た。無秩序に散乱される光ではない。幾筋かの細長い光線が石畳の下から伸びてきて、しかもその光線はわい曲していた。いわば”光の紐”とでも呼ぶべきものたちが、意志を持つかのように魔人の身体に絡みつき、その動きを封じる。
「ぐわあっ!!!」
魔人が不自然な姿勢のまま、苦悶の声をあげる。よくみればその紐――いや、紐状に凝縮された純白の光に圧迫された身体の各所が溶けただれ、灰色の瘴気をあげている。
「魔の者よ、大神殿の中で、これ以上の狼藉は許しませんよ」
回廊の柱の陰から、小柄な姿が現れ出でた。それは華奢な身体に法衣をまとい、輝くような金髪を肩まで垂らした、美しい少女だった。薄闇の中で、翡翠色の瞳が意志的に輝いていた。
それが、サリスがメルティアの姿をみた最初だった。
魔性の声はさほど大きくはないにも関わらず、回廊全体に響き渡り二重三重に谺するという奇妙な現象を引き起こした。
サリスは目だけを動かして周囲の状況を確認する。いくら人気のない区画の無駄に長大な回廊内とはいえ、これだけ騒ぎになれば誰かしら駆けつけてもいいはずだ。しかし今のところ、サリスと目の前の魔性以外の気配は、人のものだろうが魔のものだろうが感じられない。どうやら一種の結界を張られたようだ、と判断せずにはいられなかった。
「さすがは、まがりなりにも"勇者"などと呼称されるだけのことはある……まあそれも、明日からは過去形で呼ばれることとなりましょうがな」
言葉が終わるより先に、変容が訪れた。神官の法衣はちぎれ飛び、人の皮膚は溶けくずれ、目の前にいた小柄な男の体躯が縦横それぞれに3倍ほどにも膨張した。やがて暗がりの回廊に、きわめておぞましい異形が現出した。二本足で立ち、長い2本の腕を無造作に垂らし、胴体の上には頭がある。全体の輪郭は一見人間に近く見えるが、頭には2本の角があり、口は頬を穿つように裂け、そして全身が紫色にぬめり光っていた。
魔人だ。吊り上がった両眼にはやはり狐の面影があることから、ひょっとしたら妖狐族の血も混じっているのかもしれない。いずれにせよ人語を介し、変容魔法を使用し、人界に溶けこむだけの智慧を有していることからして、魔族中でも相当高位の者だろう。
「わざわざ人間に化けて神殿に潜りこむとはご苦労なこったな。これまでうまいこと尻尾を隠していたらしいが、その努力もこれで水の泡ってわけだ」
「何、ここで貴方が死ねば、私の正体を知るものは誰もいなくなりましょう。既にお察しでしょうがこの場には結界をはらせてもらいました故、しばらくは近寄る者もいない。それにこれは予定通りの成り行きでもあります。貴方さえ始末してしまえば、私がここにいる目的の大半は果たせるのですよ。聖剣を扱える唯一の人間が、この世から消え去るのですからね!」
あごの付け根まで裂けた口を大きく広げてその時魔人が浮かべた表情は、どうやら嘲笑であるらしかった。
「そう、魔王様を討つなどという妄言は馬鹿馬鹿しいかぎりですが、たしかにあの”聖剣”とやらは人間には過ぎた代物ですからね。小さな危険でも、早めに摘みとっておくにこしたことはない」
魔人は己の右手を顔の前にかかげた。その腕は見る見るうちに細くなり、硬質な光沢をまとい始め、肘から先が長剣の剣身部へと変貌した。変容魔法を、己の身体に部分的にかけたのだ。
魔族は魔法を発動させる時、基本的には呪文や印などの術式を要さない。それらは本来魔力の扱いに適さない生態の人間が魔法発動のために用いる、精神を研ぎ澄まし術のイメージを深める手段、いわば自己暗示の儀式である。魔族の中には、たとえ知性の低い魔獣であっても本能で魔力をともなった炎や雷を生成し放出できるような種もいる。その意味でこと魔法の戦闘においては、人間の側がどうしても不利と言わざるをえないだろう。
それでも変容魔法で身体の一部だけを変形させる、などという真似は魔法の応用の中でも相当高度な部類に属するはずで、並の魔物にできることではない。それを瞬時に成してしまうのだから、目の前の魔人が魔力の行使に相当熟達した、容易ならぬ相手であることは疑いない。
「今の貴方は聖剣はおろか普段使用している剣をもここまで来る内にあずけてしまい、得物といえばその貧相な短剣ひとつ。それでどうして私に抗うことができるというのです。まったく、思い通りにことが運んでくれたものです。この神殿に足を踏みいれた時から、貴方は罠にかかっていたのですよ!」
「こっちが丸腰になる時を見越して殺そうとしたってわけか。せこい野郎だ。その程度の小物相手に恐れ入る理由はねえな」
サリスは笑った。自分の表情だから見ることができなかったが、その笑みは魔人の眼にはさぞ不敵に映ったようだった。紫色の顔面から嘲笑の色がうすれ、獰猛なうなり声が響いた。
「俺を罠にかけるつもりだったら、自分でここに短剣を持ちこんだのは失敗だったな。これ一本あれば、貴様ごとき屠るのに造作もねえぜ」
「ほざきなさい!」
怒号とともに、魔人が床を蹴った。こちらに向かって矢のごとく突進してきたかと思うと、勢いそのままに剣と化した右手を突き出してくる。心の臓にねらいを定めた突きを、サリスが無造作に身体を捻ってかわす。
魔人はよけたサリスを追って、間髪入れずに斬撃の雨を繰りだしてくるが、剣風が頬をなでるだけで、ただの一撃もサリスの皮膚にすら届かない。すべて、紙一重で見切っていた。
魔人が咆哮した。苛立ったように剣と化した己の右腕を天井に向けてかかげると、大きな動作で力まかせに振り下ろしてくる。うしろに跳んで難なくかわしたサリスは、隙が生じたのを見計らい回避から攻撃へと転じる決断をした。
しかし、それは魔人のさそいだった。サリスが魔人の懐へと飛びこんでいくその寸前、まだ体勢を立て直せずにいる魔人の顔だけがサリスの方を向き、その口が大きく開いた。口内に炎の球が生まれ、その形が崩れたかと思うと、炎は波濤となってサリスをおそった!
人間の世で"焰浪"と呼ばれる、炎による攻撃魔法である。魔人が放つ炎は闇の成分が混じるせいかやや黒みがかっている。黒炎はサリスの視界を覆い、全身を包んだ。
「かかりましたね。私が使える魔法が変容魔法だけだとでも思いましたか、愚かな! 金剛石すらも瞬時に溶かす我が魔炎からのがれる術などもうありませんよ、灰ものこさずに蒸発し」
魔人の口上はそこで凍りついた。炎の波を突き破り、眼前へと飛び出した俺=サリスの姿を見て、魔人の細い眼が見開かれる。人間とは程遠い異相でもはっきりそれと分かる、驚愕の表情が顔面にあらわれた。
相手が衝撃で固まっている隙に、サリスは短剣を繰りだした。さすがにいつまでもじっとしていてはくれなかったが、それでも先ほどより鈍い動きでかわす魔人の表層に、一箇所二箇所、浅い傷を負わせることに成功した。
「ば、馬鹿な。何故燃えない、何故生きている! 魔力さえ持たない人間が、私の黒炎に耐えうるはずがない、貴様は一体!?」
「ぎゃあぎゃあうるせえよ。そんなに口を動かす暇があるのなら、とっとと死にやがれ」
サリスは大きく一歩踏み込み、渾身の突きを魔人の顔面めがけて放った。魔物はたとえ頭を破壊しても、”核”が無事である限り絶命するとは限らないが、せめて眼球を貫いて視界をうばおうという目算もあった。
短剣が届く直前に自失から回復した魔人は、すんでで突きをかわす。刃が頬をかすり、その傷口からどす黒い血が流れた。右手を薙ぎ払いサリスをけん制すると、後ろに大きく飛びのき、距離をとる。
「ち、往生際の悪いやつだ……」
サリスは悪態をついた。ふてぶてしさを装いつつも、内心は外面ほどの余裕はなかった。
先ほどは大言を吐いたが、確かに手の中の短剣だけで相手に致命傷をあたえるのは至難のようだ。目の前の魔人は魔法の技量のみならず、肉体を直接使った戦闘においても並大抵ではない実力を備えている。なかなかサリスに、必殺の間合いまで踏み込むことを許してくれない。現に今も、すでに虚を突かれた驚愕から立ち直り、隙のないかまえでこちらを睨んでいる。
人間と魔物では元来の膂力も持久力も違う。戦闘が長引けば、先に力尽きるのはこちらの方だろう。加えて、魔人の手が擬態した長剣を一撃でもまともに食らえば、サリスは絶命をまぬがれまい。
「人間風情が。私にこれほどの流血を強いた以上、相応の覚悟をしてもらいますよ。手足を切り落とされる程度で済むとは、思わぬことです……」
憎悪と嗜虐の入り混じった声音は、魔人が己の優位を確信している故だろう。そしてその認識は、この場合、口惜しいながらほぼ正鵠を射ていた。
「さて、どうすりゃいいかな」
サリスが内心で吐露した時。
「”聖縛”」
薄闇の回廊に、その声は毅然と響いた。耳に涼やかな、女性の声だった。
直後、魔人の足元から光が湧き出た。無秩序に散乱される光ではない。幾筋かの細長い光線が石畳の下から伸びてきて、しかもその光線はわい曲していた。いわば”光の紐”とでも呼ぶべきものたちが、意志を持つかのように魔人の身体に絡みつき、その動きを封じる。
「ぐわあっ!!!」
魔人が不自然な姿勢のまま、苦悶の声をあげる。よくみればその紐――いや、紐状に凝縮された純白の光に圧迫された身体の各所が溶けただれ、灰色の瘴気をあげている。
「魔の者よ、大神殿の中で、これ以上の狼藉は許しませんよ」
回廊の柱の陰から、小柄な姿が現れ出でた。それは華奢な身体に法衣をまとい、輝くような金髪を肩まで垂らした、美しい少女だった。薄闇の中で、翡翠色の瞳が意志的に輝いていた。
それが、サリスがメルティアの姿をみた最初だった。
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