ネトラレクラスメイト

八ツ花千代

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50話

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 村の外で安全に作業するための措置として装甲車を二台製造した。
 キャンピングカーと乗用車をベースにして外装を強化。
 もはや車とは呼べないゴツイ外見に仕上がった。

 正門広場では、クラスメイトが代わるがわる車に乗り、運転を覚えている。
 操縦方法は製造者の菊池潤奈サイクラーが理解しているようだ。


 川には水力発電所が完成し、村に電気が流れるようになった。
 配線はすべて地下に埋設。
 加護の力ならば、電柱を作るよりも地下に埋設したほうが簡単らしい。


 浄水場も完成し、水使いの三門志寿漫画家がいなくても村に飲料水が供給できるようになった。



 議事堂にクラスメイトが集合している。

「クラス会議を始めるぞ~。議題は作業分担についてだ」

 司会進行は委員長代理の儀保裕之悪友だ。

「電気と水が使えるようになって加護に頼らなくてもいい環境が整いつつある。まずは調理。IHクッキングヒーターやオーブンレンジにより誰でも料理が作れる。そこで、食堂を休止することになった」
「え~~~~っ」

 クラスメイトがいっせいに文句を言い出した。

「横暴だぞ委員長代理!」
「リコールだリコール!」
「バーカ、バーカ」

「説明は翔矢しょうやに任せる」

 俺は椅子から立つと皆に向けて話を始める。

「家畜を購入するため遠征に出るのだが、あの大きなキャンピングカーでも三日くらいしか生活できない。問題は水と食料。そこで両津りょうつさん、三門みかどさんには遠征に同行してもらいたい」

 水使いの三門志寿漫画家と、料理の両津朱莉ママには事前に根回ししてある。
 二人とも遠征への同行に同意してくれた。

「浄水場が完成したので水問題は解決ずみ。食事はみんなの協力で解決できると考えている。今後、加護に頼らない生活にシフトしたほうが先々の不安を減らせる。なので食事はその一歩と考えて欲しい」

 クラスメイトたちは納得していない様子だ。
 けれど、誰も意見を言わず、何を考えているのかわからない。

 ――これはたしかに不安になるなぁ……。

「ヘイヘイ! 何を黙ってる? オマエらクチナシかよ。言いたいことがあるなら言えよ」

 不満をぶつけて怒るのではなく、明るい雰囲気でみんなをあおり、感情を引き出そうとする。
 やはりコイツはムードメーカーだ。

 いつにも増して議事堂が静かな理由。
 それは、石亀永江委員長瀧田賢インテリメガネに黙っていて欲しいと俺がお願いしたのだ。
 二人は家畜の購入で村を留守にする予定。
 クラスのけん引役がいなくても会議が進行してくれないと今後困るのだ。
 クラスメイトも、二人が何か言い出さないかチラチラと顔色をうかがっている。
 それじゃダメなんだよ。



 片倉澄夏OLが挙手し、いつものようにゆったりとしたテンポで話す。

「恥ずかしいんだけど、わたし料理できないの。一生コンビニ弁当でもいいかな~って思ってたし」

 ちょっと残念だ。彼女のもつ雰囲気から料理のできる人だと勝手に想像してた。

「俺も料理の経験はないぜ」

 嘉門剛平ソムリエ片倉澄夏OLを擁護するかのように発言する。

「料理は作るものじゃなく食べるものだ」と連城敏昭野球バカが発言した。

 儀保裕之悪友が腕を組み、ウンウンとうなずく。

「わかるぜ~、俺だって正直なところ料理なんてしたくね~。翔矢しょうやの野郎、なに言い出すんだって思ってる。けど、両津りょうつさんの不在をどうにか乗り切ろうって考えも理解できる。そうだろ?」

 クラスメイトが無言でうなずいた。
 誘導トーク、うまいなあ。

「俺みたいに料理なんて死んでも嫌な人、いまはできないけど興味がある人、腕に自信はないけど料理できる人、いるよなぁ?」

 クラスメイトが無言でうなずいた。

「できようと、できまいと、掃除当番みたいに順番に全員が担当する方式。これは単純だが強制力は高い。対して、やりたい人だけ担当する方式。これは不平不満が溜まる。なので、そこそこやりたい仕事を全員が担当しよう。食堂、農作業、銭湯の掃除、これらを分担してはどうかな?」

 クラスメイトがざわざわと相談している。



 千坂隆久モヤシが挙手して質問を始めた。

「食堂は三食、農作業は一日仕事、銭湯の掃除は一日に一回。不公平だと思う。それに、店を経営してる人はどうするの」
「店を経営している人もどこか担当してもらう。制作の依頼が入ったら担当メンバーに話を通す。不公平感については作業量に応じて担当者の人数を調整する。食堂五人、銭湯二人、農作業は残り全員かな。休みのローテーションは担当内で相談」

 クラスメイトが相談を始めたが不満をいう人はいないようだ。

「まずは作業の分担案。これについて異議のある人いないか? ――いないみたいだな。それじゃあ担当を決める――」

 料理担当はこうなった。

 両津朱莉ママはリーダーとしてメンバーに料理を教える。
 料理研究部だし、もともと料理が大好きなのだ。

 俺が愛する鬼頭日香莉アイドル。得意ではないが料理はできるらしい。イメージ通りだ。
 両津朱莉ママが村を留守にするあいだは彼女がリーダー代行になる。
 いつか彼女の手料理を食べてみたい。もちろん、その他大勢としてではなく、俺のために作られた料理をだ。

 園芸部の上別府衿花ロリっ子。料理を覚えて彼氏である気仙修司パンダに振る舞いたいそうだ。
 母親のお手伝いくらいの経験はあるらしい。

 紙屋の亀ケ谷暁子エセ京都。好きな連城敏昭野球バカに食べさせたいようだ。
 もちろんこの理由はみんなには秘密だ。

 水泳部の片倉澄夏OL
 ほかの担当が嫌なので消去法らしい。


 銭湯は、水使いの三門志寿漫画家筒井卯月歌姫
 今までも担当していたので変化なし。


 俺は無難に農作業にしておいた。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 家畜を買いにいくメンバーを家畜購入部隊と呼ぶことになった。

 交渉上手の石亀永江委員長が部隊リーダーを努める。
 隊員は、うその看破を担当する瀧田賢インテリメガネ
 料理担当の両津朱莉ママは、加護収納に食材をたっぷり保管している。
 水担当は三門志寿漫画家だ。
 道路を舗装しながら進むので気仙修司パンダも同行する。


 車の水タンクへの給水は、車外からしかできなかったが危ないので車内からでも給水できるように改造した。
 怪我や病気にそなえて薬品も積み込んだ。

 装甲車の後ろには、四輪の荷車トレーラーが連結してある。
 それに家畜を積んで帰る予定だ。

 近隣の村に、装甲車で近寄ると驚かせてしまう。
 なので、森の端に到着したら荷車トレーラーだけで進む予定だ。
 そのときは制限解除した電動アシスト付き自転車で荷車トレーラーを引く。
 五百キログラムは載せて走れたので、牛なら一頭、豚なら四頭くらいなら大丈夫だ。

 装甲車のうえについている軽機関銃には布をかけてある。
 弾は装填ずみ。
 助手席から操作し、銃撃することができる。

 予行演習はすませた。
 村の近くに出没する魔物では装甲車に傷くらいしか付けられない。
 襲われても無視していいことが実証ずみなのだ。

 魔物よりも脅威と感じた敵にたいして軽機関銃を使うことにした。

 それと拳銃を気仙修司パンダにもたせている。
 あくまで自衛のためだ。
 村に帰ってきたら拳銃は軽機関銃の銃弾といっしょに儀保裕之悪友が回収する約束になっている。
 それは事件を誘発しないための措置だ。

 無線も積んであるので離れていても連絡可能。
 朝昼晩の三回。定時連絡を入れることに決めた。


 村から装甲車が出発する。
 また村の人口が五人減った。
 なにも起きなければいいのだが……。



△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼



 銭湯は午前十時から午後の六時まで休み。
 電気式湯沸かし器が設置されたので、営業中はいつでも暖かいお湯が沸いている。

 水使いの三門志寿漫画家が家畜購入部隊として村から離れた。
 なので銭湯の掃除担当がひとり減ったのだ。
 筒井卯月歌姫が穴埋め役として俺を指名したらしい。



 ここは銭湯の女湯。
 俺は半袖短パン姿で、デッキブラシを担いでいる。

「まずは床を磨くわよ」

 彼女はノーブラのうえにTシャツ、下半身は下着だ。
 Tシャツは大きめなので普通に立っていれば下着は見えない。

「あの筒井つついさん、その姿で作業するんですか?」
「そうだけど、見苦しい体かしら?」
「いやぁ、そんなことないですけど」
「ならいいじゃない、さあ早く」

 彼女は、プラスチックのボトルに入った洗剤を床にまく。
 動くたびにTシャツがふわっと広がり、下着がチラリと姿を見せる。

 俺はガシガシと力を込めて床を磨く。
 天然の石を切り出した乱形の模様がキレイな床だ。

「そんなに力を入れなくていいわ。財前ざいぜん君の作った特製の洗剤だから、優しくなでるだけで汚れが落ちるのよ」
「へぇ~っ」
「ヌメリも簡単に取れるから楽だわ」

 俺が床を擦ると、その前に彼女が移動してくる。
 方向をかえると、また俺の前にきた。

「あのぉ~、俺の前で作業すると見えるんだけど」
「なにが?」
「そのTシャツ、首元がゆるいだろ、だから、胸がさあ」
「嫌悪感を覚えるほど醜いのかしら?」
「いやぁ、そんなことないですけど」
「ならいいじゃない、作業、つづけるわよ」

 彼女がデッキブラシで床を擦ると、シャツのなかの胸が揺れた。
 ブラをしていない前かがみの胸は重力によって下に伸びるのだ。
 振り子のようにブラブラと揺れる胸を見ていると、ふと彼女と目があう。
 俺を見ながら嬉しそうにニッコリと笑う。





「洗い終わったようね。じゃあ水で洗剤を流しましょう。翔矢しょうや、ホースで水をまいて」
「あれ? いま名前で呼んだ?」
「そうよ。菊池きくちさんに名前呼びをゆるしたそうじゃない。ならわたしもいいでしょ?」

 菊池潤奈サイクラーがクラスの女子と話すなんて珍しい。
 それに俺を話題に出すほど仲良かったのか?

「かまわないけど」
「さあ、水をまいて」

 蛇口をひねり、ホースから水を出す。
 床にそっとかけていると。

「それじゃあ遅いわ。ホースのクチを薄く潰して広く遠くに飛ばすのよ」
「なるほど」

 扇状に水を遠くに飛ばす。
 そこに彼女がやってくる。

「水がかかっちゃうよ」
「そうね」

 方向をかえて水を飛ばす。
 すると、また彼女がやってきた。
 Tシャツと下着が水に濡れ、肌が透けて見える。

 ここまでくると、彼女がわざと俺を誘惑していると気づく。

翔矢しょうや、次は浴槽よ」

 浴槽は五人が足を延ばして入れるくらいのサイズだ。
 俺と彼女はデッキブラシをもって水を入れていない浴槽に入る。

「狭くない?」
「二人でやれば早いわ」

 彼女はお尻をこちらに向けて浴槽を磨き始める。
 白い下着は水に濡れ、薄い肌色に変色していた。

 手の届く場所で濡れたお尻が揺れる。
 つい、その動きに目を奪われてしまう。


 お尻の動きが止まる。
 彼女がこちらを見ているのに気づいた。

「どこを見ていたの?」
「お尻です、ごめん」
「謝らなくていいわ、見せているのだから」
「デスヨネー」
「感想は?」
「丸くてキレイなお尻です」
「ありがとう」

 機嫌が良いらしく、彼女は鼻歌を歌いながら浴槽を磨く。





「浴槽も洗えたわね。翔矢しょうや、また水を流して」

 蛇口をひねり、ホースから水を出す。

「そこにいると水をかぶるよ」
「いいわよ」

 なるべく彼女に当たらないように水を流すが、わざと水の当たる場所に移動する。

「洗剤も流せたわね」

 彼女は脱衣場に移動するとタオルを手に戻ってきた。

「このままじゃ風邪をひくわ。濡らしたのは翔矢しょうやだもの、拭いて」

 ――理不尽! けれど嫌じゃない。

 髪はそんなに濡れてない。さっと軽く拭く。

 腕はびっしょりだ。
 タオルで挟むように、丁寧に水を拭き取る。
 合唱部なので筋肉の少ないプニプニした女子の腕だ。

 足も水浸し。
 拭き残しがないように優しく拭き取る。

「さあ拭いたよ」
「体がまだよ」

 やっぱりそこまで拭かせる気か。

「服を着たままじゃ拭けないよ」
「脱がせて」

 彼女はバンザイした。
 これはTシャツを上に引き上げろというサインだ。
 いつのまにか彼女の頬は紅潮している。

「本気か?」
「首元から中をのぞいてたじゃない。今更怖気づいたの?」

 安い挑発だな。それで俺が言うことをきくとでも思っているのか。
 俺はTシャツの裾を掴むと、ゆっくりと時間をかけてもち上げる。
 恥ずかしさに負けて、彼女が止めるだろうと考えたのだ。

 下乳が見える。
 つるんとした美しい形。否が応でも視線を奪われる。

 Tシャツの裾が乳首にかかり止まる。
 いや、わざと当たるように胸に押し付けたのだ。

 彼女が嫌がる気配はない。
 それよりも、勝ち誇ったような表情で俺の顔を見ている。
 止める気など、はなからなかったようだ。

 仕方ないな……。

 首まで一気に上げる。
 乳首が弾かれ、震えた。

「あっ!」

 とてもキレイなお椀型の乳房だ。
 今まで何度ものぞいているし、三門志寿漫画家ともっと刺激的な姿を拝見させてもらった。
 新鮮な感じはしないけれど、息のかかる距離で女性の乳房をガン見したのは初めてだ。

 Tシャツを引き抜くと、彼女は腕を左右に広げた。
 濡れた腕を拭き、脇の下を拭き、背中を拭き、お腹を拭く。

「早く胸を拭いてよ、寒いじゃない」

 メンタルケアのスキルには、肉体関係をもつとトラウマがフラッシュバックする欠点がある。
 彼女の場合は魚嫌い。
 フラッシュバックしても、また魚が嫌いになるだけだ。
 胸を拭く行為は肉体関係になるのだろうか。
 実験してみよう。

 タオルを使い、優しく乳房から水滴を拭き取る。

「んっ……」

 ピクンと彼女が反応した。
 ゴシゴシ擦ると玉の肌を傷つけてしまう。
 鳥の羽で肌をそっと触れるくらいの優しさで、滑らすように水を拭く。

「あっ……」

 乳首は念入りに拭いておこう。
 タオルを円運動させながら、転がすように水気を拭き取る。

「あっ、あっ、あんっ!」

 反対側の胸も同じように。

「はっ、あっ、んんっ!」
「拭けたよ」

 吐息が熱くなっていた。

「下も拭いて」
「下は俺のかけた水で濡れたんじゃないよね」
翔矢しょうやのエッチ……」
筒井つついさんもね」

 タオルを渡すと、彼女は今更ながら胸を隠した。

「ねぇ……卯月うづきって呼んで」
鬼頭きとうさんの名前が呼べるようになったら考える」
「早くフラれるといいわ」

 彼女はムスッとした表情になると、タオルを体に巻き、浴室から出ていった。
 トラウマがフラッシュバックした感じはしなかった。
 あの程度はスキンシップなのかもしれない。

 ふぅ~っ、俺の理性も限界だよ。
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