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第三段作戦
第45話 目標 敵先頭艦
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「『瑞鶴』艦爆隊は左翼、『雲鶴』艦爆隊は右翼の先頭艦を攻撃せよ。中央は『翔鶴』艦爆隊がこれに当たれ」
一呼吸置き、攻撃隊指揮官兼「瑞鶴」艦攻隊長の嶋崎少佐は命令を重ねる。
「艦攻隊は最後尾を行く戦艦を目標とする。『翔鶴』隊ならびに『雲鶴』隊は右舷、『瑞鶴』隊は左舷からこれを挟撃せよ。突撃は艦爆隊の攻撃が終了した後とする」
嶋崎少佐の命令が終わると同時、「翔鶴」艦攻隊と「雲鶴」艦攻隊が敵艦隊の右側に、一方の「瑞鶴」艦攻隊のほうは逆に左側へ遷移すべくその機首を向ける。
一方、九九艦爆のほうは母艦ごとに分かれ、それぞれ指示された目標上空へと進入していく。
敵の高角砲の有効射程圏に入ったのだろう。
九九艦爆の周囲に高角砲弾が炸裂し、空中に黒雲をわき立たせていく。
米艦の対空装備は日本艦のそれに比べて遥かに充実している。
対空戦闘に不向きな単縦陣を敷いているのにもかかわらず、その砲火は激しい。
たちまちのうちに「翔鶴」第三小隊二番機が黒煙を曳きながらオアフ島沖の海へと墜ちていく。
部下の死を悼みつつ、しかし一瞬で意識を切り替え「翔鶴」艦爆隊長兼第一小隊長の高橋少佐は眼下の敵へとその全神経を注ぎ込む。
目標とした巡洋艦は前部に二基、後部に一基の三連装砲塔を装備する、標準的な米重巡のそれだった。
これまでの戦訓から対空火器を大幅に増強したのだろう。
マーシャル沖海戦とは比べ物にならない量の火箭を吐き出している。
それに臆することなく、高橋少佐とその僚機は急降下に移行、目標とした米重巡へと肉薄していく。
戦争が始まる前、帝国海軍は急降下爆撃については一機ごとに投弾し、その高度も四〇〇メートルが適当だと考えていた。
だが、米艦の対空能力は帝国海軍が考えていたものよりも遥かに強力なものであり、マーシャル沖海戦では従来のやり方で投弾したことで被害が続出した。
そこで、敵の対空砲火を分散させる意味から投弾は小隊ごとに行うこととした。
また、被害軽減の見地から、投弾高度を四〇〇メートルから六〇〇メートルへと変更した。
これらのことで、間違いなく命中率は落ちる。
しかし、それでも搭乗員保護は最優先事項であり、戦果の低下はこれを忍ぶしかなかった。
高度六〇〇メートルになった時点で高橋少佐それに第一小隊の僚機は二五番を切り離した。
第二小隊それに二機に減った第三小隊もまた第一小隊に続く。
途中、第二小隊三番機が機関砲弾かあるいは機銃弾の直撃を食らって爆散するが、残る全機はすべて投弾に成功した。
七発投じられた内で命中したのは二発だった。
開戦時の頃を思えば、頭を抱えたくなるような低い命中率だ。
しかし、当時とは違い、現在は搭乗員の半数以上が若年搭乗員で占められている。
熟練搭乗員はその多くが戦死するか、あるいは後進の指導にあたるために教官あるいは教員となって練習航空隊へと転属していったから、その穴を経験の浅い者で埋めるより他に方法が無かったのだ。
攻撃法の変更と併せ、命中率の低下は仕方がないことだった。
それでも、戦果は挙がった。
敵の重巡に命中したうちの一発が機関室を直撃したからだ。
重巡の二倍の重量を持つ二五番を弾き返せるだけの水平装甲を持つ条約型巡洋艦など存在しない。
薄い装甲を食い破った二五番は機関室のただ中で炸裂、重巡の脚を奪った。
速力の衰えた先頭艦を回避しようと後続艦が舵を切る。
「瑞鶴」隊が狙った左翼、それに「雲鶴」隊が攻撃した右翼の単縦陣でも同様のことが起こっていた。
三つの整然としていたはずの単縦陣は、しかし今では見る影も無く隊列は乱れに乱れている。
その好機を逃さじとばかりに、嶋崎少佐が直率する二七機の九七艦攻が突撃を開始した。
一呼吸置き、攻撃隊指揮官兼「瑞鶴」艦攻隊長の嶋崎少佐は命令を重ねる。
「艦攻隊は最後尾を行く戦艦を目標とする。『翔鶴』隊ならびに『雲鶴』隊は右舷、『瑞鶴』隊は左舷からこれを挟撃せよ。突撃は艦爆隊の攻撃が終了した後とする」
嶋崎少佐の命令が終わると同時、「翔鶴」艦攻隊と「雲鶴」艦攻隊が敵艦隊の右側に、一方の「瑞鶴」艦攻隊のほうは逆に左側へ遷移すべくその機首を向ける。
一方、九九艦爆のほうは母艦ごとに分かれ、それぞれ指示された目標上空へと進入していく。
敵の高角砲の有効射程圏に入ったのだろう。
九九艦爆の周囲に高角砲弾が炸裂し、空中に黒雲をわき立たせていく。
米艦の対空装備は日本艦のそれに比べて遥かに充実している。
対空戦闘に不向きな単縦陣を敷いているのにもかかわらず、その砲火は激しい。
たちまちのうちに「翔鶴」第三小隊二番機が黒煙を曳きながらオアフ島沖の海へと墜ちていく。
部下の死を悼みつつ、しかし一瞬で意識を切り替え「翔鶴」艦爆隊長兼第一小隊長の高橋少佐は眼下の敵へとその全神経を注ぎ込む。
目標とした巡洋艦は前部に二基、後部に一基の三連装砲塔を装備する、標準的な米重巡のそれだった。
これまでの戦訓から対空火器を大幅に増強したのだろう。
マーシャル沖海戦とは比べ物にならない量の火箭を吐き出している。
それに臆することなく、高橋少佐とその僚機は急降下に移行、目標とした米重巡へと肉薄していく。
戦争が始まる前、帝国海軍は急降下爆撃については一機ごとに投弾し、その高度も四〇〇メートルが適当だと考えていた。
だが、米艦の対空能力は帝国海軍が考えていたものよりも遥かに強力なものであり、マーシャル沖海戦では従来のやり方で投弾したことで被害が続出した。
そこで、敵の対空砲火を分散させる意味から投弾は小隊ごとに行うこととした。
また、被害軽減の見地から、投弾高度を四〇〇メートルから六〇〇メートルへと変更した。
これらのことで、間違いなく命中率は落ちる。
しかし、それでも搭乗員保護は最優先事項であり、戦果の低下はこれを忍ぶしかなかった。
高度六〇〇メートルになった時点で高橋少佐それに第一小隊の僚機は二五番を切り離した。
第二小隊それに二機に減った第三小隊もまた第一小隊に続く。
途中、第二小隊三番機が機関砲弾かあるいは機銃弾の直撃を食らって爆散するが、残る全機はすべて投弾に成功した。
七発投じられた内で命中したのは二発だった。
開戦時の頃を思えば、頭を抱えたくなるような低い命中率だ。
しかし、当時とは違い、現在は搭乗員の半数以上が若年搭乗員で占められている。
熟練搭乗員はその多くが戦死するか、あるいは後進の指導にあたるために教官あるいは教員となって練習航空隊へと転属していったから、その穴を経験の浅い者で埋めるより他に方法が無かったのだ。
攻撃法の変更と併せ、命中率の低下は仕方がないことだった。
それでも、戦果は挙がった。
敵の重巡に命中したうちの一発が機関室を直撃したからだ。
重巡の二倍の重量を持つ二五番を弾き返せるだけの水平装甲を持つ条約型巡洋艦など存在しない。
薄い装甲を食い破った二五番は機関室のただ中で炸裂、重巡の脚を奪った。
速力の衰えた先頭艦を回避しようと後続艦が舵を切る。
「瑞鶴」隊が狙った左翼、それに「雲鶴」隊が攻撃した右翼の単縦陣でも同様のことが起こっていた。
三つの整然としていたはずの単縦陣は、しかし今では見る影も無く隊列は乱れに乱れている。
その好機を逃さじとばかりに、嶋崎少佐が直率する二七機の九七艦攻が突撃を開始した。
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