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二正面艦隊決戦
第28話 迎撃戦闘機隊出撃
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マーシャル沖海戦において、当時の第一航空艦隊それに第二航空艦隊は直掩として一二〇機の零戦を用意していた。
これだけあれば、三隻の米空母を相手取るには十分だ。
一航艦それに二航艦の将兵の多くがそう考えていた。
しかし、蓋を開けてみれば「翔鶴」を撃破され、そのことで一〇〇人を超える貴重な将兵を失ってしまった。
その原因となったうちの一つが、電探の探知距離の短さだった。
当時の一航艦それに二航艦の空母と重巡には一式二号電波探信儀一型が装備されていた。
この一式二号電波探信儀一型の探知距離は単機であれば七〇キロ、編隊であれば一〇〇キロ程度とされていた。
しかし、飛行機の高速化が著しい昨今、この程度の探知距離では迎撃に十分なリアクションタイムを確保することは難しい。
実際、マーシャル沖海戦で零戦隊が敵編隊を捕捉したのは友軍艦隊の至近だった。
そのことで、零戦隊は反復攻撃の回数を稼ぐことが出来ず、SBDドーントレスを撃ち漏らす結果となってしまった。
その反省から、帝国海軍は一式二号電波探信儀一型よりも大幅に探知距離を延伸した二式一号電波探信儀三型の開発を急いでいた。
しかし、残念なことに未だ実戦配備には至らず、本作戦には間に合わなかった。
そこで、今回は友軍艦隊と敵機動部隊の中間地点に「龍驤」と「瑞鳳」それに「祥鳳」の九七艦攻を進出させることにした。
そして、それら九七艦攻を空中の見張り台とすることで、敵編隊の早期発見を目論んだのだ。
もちろん、このようなことは対処療法であり、また窮余の一策と言ってもいいものだ。
それでも何もやらないよりは遥かにマシであり、実際に効果はあった。
「龍驤」九号機それに「祥鳳」三号機が敵編隊を発見したからだ。
「四〇機余の編隊発見。速力一六〇ノット、高度三〇〇〇メートル。北東に向けて進撃中」
「五〇機前後の編隊発見。速力一五〇ノット、高度三五〇〇メートル。敵は戦爆連合」
敵編隊を視認したとの報に対し、最初に動きを見せたのは上空警戒に当たっていた「翔鶴」第二中隊と「瑞鶴」第二中隊、それに「雲鶴」第二中隊の三六機だった。
それら三個中隊は高度を上げつつ集結、南東へ機首を向けて進撃を開始した。
その頃には飛行甲板上で即応待機状態だった「龍驤」第二中隊と「瑞鳳」第二中隊、それに「祥鳳」第二中隊の同じく三六機が発艦を開始。
上空警戒組の後を追った。
さらに、敵機動部隊を発見すると同時に整備補給ローテーションから即応待機状態への移行に転じた「翔鶴」第三中隊と「瑞鶴」第三中隊、それに「雲鶴」第三中隊がわずかに遅れて出撃を完了した。
「マーシャル沖海戦の時とは違い、今回は遠方からの迎撃が可能となった。だから、反復攻撃に必要な時間が十分に確保できるはずだ」
最後の零戦の見送りを終えた小沢長官が小さくつぶやく。
マーシャル沖海戦では彼我の空母が七対三という圧倒的優勢の状況にあった。
それでもなお「翔鶴」を撃破され、少なくない将兵が命を落とした。
そのことは、小沢長官の中では黒歴史として心に刻み込まれている。
同じ轍を踏むつもりは毛頭無い。
(頼んだぞ、零戦隊!)
迎撃戦闘に臨む搭乗員らにエールを送るとともに、小沢長官は各艦に対して対潜警戒のさらなる態勢強化を命じる。
危険物とも言える艦上機が発進を終えて、ほっとした瞬間こそが一番危ない。
さらに、零戦隊の撃ち漏らしに備え、対空戦闘準備も下令する。
すべての艦上機が飛び立った後においてもなお、機動部隊指揮官には成すべきことが山積していた。
これだけあれば、三隻の米空母を相手取るには十分だ。
一航艦それに二航艦の将兵の多くがそう考えていた。
しかし、蓋を開けてみれば「翔鶴」を撃破され、そのことで一〇〇人を超える貴重な将兵を失ってしまった。
その原因となったうちの一つが、電探の探知距離の短さだった。
当時の一航艦それに二航艦の空母と重巡には一式二号電波探信儀一型が装備されていた。
この一式二号電波探信儀一型の探知距離は単機であれば七〇キロ、編隊であれば一〇〇キロ程度とされていた。
しかし、飛行機の高速化が著しい昨今、この程度の探知距離では迎撃に十分なリアクションタイムを確保することは難しい。
実際、マーシャル沖海戦で零戦隊が敵編隊を捕捉したのは友軍艦隊の至近だった。
そのことで、零戦隊は反復攻撃の回数を稼ぐことが出来ず、SBDドーントレスを撃ち漏らす結果となってしまった。
その反省から、帝国海軍は一式二号電波探信儀一型よりも大幅に探知距離を延伸した二式一号電波探信儀三型の開発を急いでいた。
しかし、残念なことに未だ実戦配備には至らず、本作戦には間に合わなかった。
そこで、今回は友軍艦隊と敵機動部隊の中間地点に「龍驤」と「瑞鳳」それに「祥鳳」の九七艦攻を進出させることにした。
そして、それら九七艦攻を空中の見張り台とすることで、敵編隊の早期発見を目論んだのだ。
もちろん、このようなことは対処療法であり、また窮余の一策と言ってもいいものだ。
それでも何もやらないよりは遥かにマシであり、実際に効果はあった。
「龍驤」九号機それに「祥鳳」三号機が敵編隊を発見したからだ。
「四〇機余の編隊発見。速力一六〇ノット、高度三〇〇〇メートル。北東に向けて進撃中」
「五〇機前後の編隊発見。速力一五〇ノット、高度三五〇〇メートル。敵は戦爆連合」
敵編隊を視認したとの報に対し、最初に動きを見せたのは上空警戒に当たっていた「翔鶴」第二中隊と「瑞鶴」第二中隊、それに「雲鶴」第二中隊の三六機だった。
それら三個中隊は高度を上げつつ集結、南東へ機首を向けて進撃を開始した。
その頃には飛行甲板上で即応待機状態だった「龍驤」第二中隊と「瑞鳳」第二中隊、それに「祥鳳」第二中隊の同じく三六機が発艦を開始。
上空警戒組の後を追った。
さらに、敵機動部隊を発見すると同時に整備補給ローテーションから即応待機状態への移行に転じた「翔鶴」第三中隊と「瑞鶴」第三中隊、それに「雲鶴」第三中隊がわずかに遅れて出撃を完了した。
「マーシャル沖海戦の時とは違い、今回は遠方からの迎撃が可能となった。だから、反復攻撃に必要な時間が十分に確保できるはずだ」
最後の零戦の見送りを終えた小沢長官が小さくつぶやく。
マーシャル沖海戦では彼我の空母が七対三という圧倒的優勢の状況にあった。
それでもなお「翔鶴」を撃破され、少なくない将兵が命を落とした。
そのことは、小沢長官の中では黒歴史として心に刻み込まれている。
同じ轍を踏むつもりは毛頭無い。
(頼んだぞ、零戦隊!)
迎撃戦闘に臨む搭乗員らにエールを送るとともに、小沢長官は各艦に対して対潜警戒のさらなる態勢強化を命じる。
危険物とも言える艦上機が発進を終えて、ほっとした瞬間こそが一番危ない。
さらに、零戦隊の撃ち漏らしに備え、対空戦闘準備も下令する。
すべての艦上機が飛び立った後においてもなお、機動部隊指揮官には成すべきことが山積していた。
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