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ハワイ最終決戦
第59話 米攻撃隊、殲滅
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オアフ島が空襲されたとの報を受け取った時、第七任務部隊を指揮するニミッツ長官は一切の逡巡もなく攻撃隊を発進させた。
この時点で第一機動艦隊のほうは三九六機もの紫電改をオアフ島上空に進出させていたから、米側にとっては理想のタイミングで攻撃隊を送り込んだことになる。
三〇隻の護衛空母からそれぞれF6Fヘルキャット戦闘機が一二機にTBFアベンジャー雷撃機が四機。
「エセックス」級空母の「シャングリラ」それに「ランドルフ」からそれぞれF6Fが三六機にSB2Cヘルダイバーが一二機、それにTBFが同じく一二機。
合わせて六〇〇機からなる戦爆雷連合は索敵任務にあたっていたB24リベレーターが発見した日本艦隊に向けて進撃を開始した。
一方、一機艦のほうは直掩として紫電改が二四〇機、それに零戦もまた同じく二四〇機の合わせて四八〇機を用意していた。
これら機体のうち半数は上空警戒、残る半数は飛行甲板上で即応待機の状態にあった。
さらに、敵編隊の早期発見を実現すべく、一機艦とオアフ島の間に複数の彗星を早期警戒機として展開させていた。
そして、これらのうちの一機が急報を知らせてきた。
「敵編隊視認。一〇〇機前後の梯団が二。さらに後続の可能性有り」
他にも的針や的速、それに高度といったパラメーターが次々にもたらされる。
これを受け、艦隊上空の紫電改や零戦が南南東にその機首を向け加速を開始する。
真っ先に敵と接触したのは上空警戒組の一二〇機の紫電改だった。
まず、先頭を行く一〇〇機ほどの編隊に向けて突撃、同高度正面からR4Mを放つ。
一方、上空警戒組の紫電改に狙われたのは第七五任務群から出撃した七二機のF6Fヘルキャットとそれに二四機のTBFアベンジャーだった。
戦雷合わせて九六機の編隊に紫電改が放った二八八〇発のR4Mが殺到する。
R4Mのほうはオアフ島をめぐる戦いですでに使用されていたが、しかしそれはつい先程のことだ。
いかに情報伝達能力、それにフィードバックに優れた米軍といえども、ごく短時間のうちに情報共有することなど不可能だ。
第七五任務群の搭乗員にとってR4Mは初見だったこともあり、彼らの反応は決定的とも言えるほどに遅れてしまった。
一機あたり三〇発にも及ぶR4Mの効果は絶大で、八割近い機体が撃墜されるかあるいは撃破されてしまった。
一方、一二〇機の紫電改はそのまま直進、第七五任務群攻撃隊のすぐ後に続いていた第七二任務群攻撃隊にその矛先を向けた。
その第七二任務群攻撃隊もまた第七五任務群攻撃隊と同様に七二機のF6Fとそれに二四機のTBFで構成されていた。
護衛の任にあたるF6FはTBFを守るべく紫電改に対して阻止線を形成する。
彼らは奮戦し、同じ数の紫電改の拘束に成功する。
しかし、逆に言えば四八機の紫電改の阻止に失敗したとも言えた。
そして、それら四八機の紫電改は獲物を奪い合うかのごとく、我先にとTBFに殺到する。
哀れなのはTBFのほうだった。
自分たちの二倍にも及ぶ紫電改にまとわりつかれ、大口径機銃弾を散々に浴びせられる。
単発の艦上機としては世界最高水準の防御力を誇るTBFも、しかし二号機銃から放たれる高初速の二〇ミリ弾を、それも大量に撃ち込まれてしまえばさすがにもたない。
瞬く間にTBFを平らげた四八機の紫電改は、今度は味方の紫電改とやり合っているF6Fにその矛先を向けた。
上空警戒組の紫電改にわずかに遅れて空戦域に到達した同じく上空警戒組の零戦もまた、似たような手順で第七三任務群攻撃隊それに第七四任務群攻撃隊を攻撃した。
R4Mで第七三任務群攻撃隊の八割を撃墜破、残存機はそのまま捨て置き、次に第七四任務群攻撃隊に食らいつく。
TBFを守るべく、護衛の七二機のF6Fは奮戦するが、しかし自分たちより七割近くも多い零戦を完封することはできない。
三〇機あまりの零戦が乱戦から抜け出しTBFに襲いかかる。
TBFも防御機銃を振りかざして防戦に務めるが、しかしその火箭に捉えられる零戦はほとんど無い。
護衛が不在のなか、零戦は鬼の居ぬ間に洗濯とばかりにTBFを討ち取っていく。
第七一任務群攻撃隊それに第七六任務群攻撃隊もまた似たような運命をたどった。
第七一任務群攻撃隊のほうは即応待機組の一二〇機の紫電改に、第七六任務群攻撃隊のほうは同じく即応待機組の一二〇機の零戦による迎撃を受け、あえなく壊滅した。
第七一任務群攻撃隊は一二〇機、第七六任務群攻撃隊に至っては九六機しかなかった。
迎撃戦闘機と同等か、ましてそれよりも少ないようでは、よほどの性能差が無い限り突破は困難だ。
それでも、R4Mの攻撃を受けてなお無傷をキープしていたF6FやSB2C、それにTBFが一機艦へと迫る。
そこへ、一二隻の重巡から発進した一〇八機の二式水戦が友軍艦艇への攻撃は許さじと待ったをかける。
零戦五四型をベースにした最新型の二式水戦は五〇〇キロ近い最高速度を誇る。
さすがにF6F相手には分が悪いが、しかしSB2CやTBFであれば余裕でこれを仕留めることができる。
下駄履きとは思えない軽快な運動性能と大火力を併せ持つ二式水戦の高性能に恐怖を感じたのか、爆弾や魚雷を投棄して避退にかかるSB2CやTBFが続出する。
二式水戦はそういった機体を深追いするようなことはしなかった。
彼らの帰路には飢えた紫電改や零戦が、それこそ手ぐすね引いて待ち構えていることを承知していたからだ。
いずれにせよ、六〇〇機にも及ぶ米軍の乾坤一擲の航空攻撃は失敗に終わった。
原因は考えるまでもなかった。
一機艦のほうはそれぞれ二四〇機の紫電改と零戦、それに一〇八機の二式水戦の合わせて五八八機もの迎撃戦闘機を用意していたからだ。
つまりは数の問題だった。
そのうえ、R4Mのような初見殺しの新兵器まで持ち出されては、なおのことだ。
米攻撃隊は敗れるべくして敗れたのだった。
この時点で第一機動艦隊のほうは三九六機もの紫電改をオアフ島上空に進出させていたから、米側にとっては理想のタイミングで攻撃隊を送り込んだことになる。
三〇隻の護衛空母からそれぞれF6Fヘルキャット戦闘機が一二機にTBFアベンジャー雷撃機が四機。
「エセックス」級空母の「シャングリラ」それに「ランドルフ」からそれぞれF6Fが三六機にSB2Cヘルダイバーが一二機、それにTBFが同じく一二機。
合わせて六〇〇機からなる戦爆雷連合は索敵任務にあたっていたB24リベレーターが発見した日本艦隊に向けて進撃を開始した。
一方、一機艦のほうは直掩として紫電改が二四〇機、それに零戦もまた同じく二四〇機の合わせて四八〇機を用意していた。
これら機体のうち半数は上空警戒、残る半数は飛行甲板上で即応待機の状態にあった。
さらに、敵編隊の早期発見を実現すべく、一機艦とオアフ島の間に複数の彗星を早期警戒機として展開させていた。
そして、これらのうちの一機が急報を知らせてきた。
「敵編隊視認。一〇〇機前後の梯団が二。さらに後続の可能性有り」
他にも的針や的速、それに高度といったパラメーターが次々にもたらされる。
これを受け、艦隊上空の紫電改や零戦が南南東にその機首を向け加速を開始する。
真っ先に敵と接触したのは上空警戒組の一二〇機の紫電改だった。
まず、先頭を行く一〇〇機ほどの編隊に向けて突撃、同高度正面からR4Mを放つ。
一方、上空警戒組の紫電改に狙われたのは第七五任務群から出撃した七二機のF6Fヘルキャットとそれに二四機のTBFアベンジャーだった。
戦雷合わせて九六機の編隊に紫電改が放った二八八〇発のR4Mが殺到する。
R4Mのほうはオアフ島をめぐる戦いですでに使用されていたが、しかしそれはつい先程のことだ。
いかに情報伝達能力、それにフィードバックに優れた米軍といえども、ごく短時間のうちに情報共有することなど不可能だ。
第七五任務群の搭乗員にとってR4Mは初見だったこともあり、彼らの反応は決定的とも言えるほどに遅れてしまった。
一機あたり三〇発にも及ぶR4Mの効果は絶大で、八割近い機体が撃墜されるかあるいは撃破されてしまった。
一方、一二〇機の紫電改はそのまま直進、第七五任務群攻撃隊のすぐ後に続いていた第七二任務群攻撃隊にその矛先を向けた。
その第七二任務群攻撃隊もまた第七五任務群攻撃隊と同様に七二機のF6Fとそれに二四機のTBFで構成されていた。
護衛の任にあたるF6FはTBFを守るべく紫電改に対して阻止線を形成する。
彼らは奮戦し、同じ数の紫電改の拘束に成功する。
しかし、逆に言えば四八機の紫電改の阻止に失敗したとも言えた。
そして、それら四八機の紫電改は獲物を奪い合うかのごとく、我先にとTBFに殺到する。
哀れなのはTBFのほうだった。
自分たちの二倍にも及ぶ紫電改にまとわりつかれ、大口径機銃弾を散々に浴びせられる。
単発の艦上機としては世界最高水準の防御力を誇るTBFも、しかし二号機銃から放たれる高初速の二〇ミリ弾を、それも大量に撃ち込まれてしまえばさすがにもたない。
瞬く間にTBFを平らげた四八機の紫電改は、今度は味方の紫電改とやり合っているF6Fにその矛先を向けた。
上空警戒組の紫電改にわずかに遅れて空戦域に到達した同じく上空警戒組の零戦もまた、似たような手順で第七三任務群攻撃隊それに第七四任務群攻撃隊を攻撃した。
R4Mで第七三任務群攻撃隊の八割を撃墜破、残存機はそのまま捨て置き、次に第七四任務群攻撃隊に食らいつく。
TBFを守るべく、護衛の七二機のF6Fは奮戦するが、しかし自分たちより七割近くも多い零戦を完封することはできない。
三〇機あまりの零戦が乱戦から抜け出しTBFに襲いかかる。
TBFも防御機銃を振りかざして防戦に務めるが、しかしその火箭に捉えられる零戦はほとんど無い。
護衛が不在のなか、零戦は鬼の居ぬ間に洗濯とばかりにTBFを討ち取っていく。
第七一任務群攻撃隊それに第七六任務群攻撃隊もまた似たような運命をたどった。
第七一任務群攻撃隊のほうは即応待機組の一二〇機の紫電改に、第七六任務群攻撃隊のほうは同じく即応待機組の一二〇機の零戦による迎撃を受け、あえなく壊滅した。
第七一任務群攻撃隊は一二〇機、第七六任務群攻撃隊に至っては九六機しかなかった。
迎撃戦闘機と同等か、ましてそれよりも少ないようでは、よほどの性能差が無い限り突破は困難だ。
それでも、R4Mの攻撃を受けてなお無傷をキープしていたF6FやSB2C、それにTBFが一機艦へと迫る。
そこへ、一二隻の重巡から発進した一〇八機の二式水戦が友軍艦艇への攻撃は許さじと待ったをかける。
零戦五四型をベースにした最新型の二式水戦は五〇〇キロ近い最高速度を誇る。
さすがにF6F相手には分が悪いが、しかしSB2CやTBFであれば余裕でこれを仕留めることができる。
下駄履きとは思えない軽快な運動性能と大火力を併せ持つ二式水戦の高性能に恐怖を感じたのか、爆弾や魚雷を投棄して避退にかかるSB2CやTBFが続出する。
二式水戦はそういった機体を深追いするようなことはしなかった。
彼らの帰路には飢えた紫電改や零戦が、それこそ手ぐすね引いて待ち構えていることを承知していたからだ。
いずれにせよ、六〇〇機にも及ぶ米軍の乾坤一擲の航空攻撃は失敗に終わった。
原因は考えるまでもなかった。
一機艦のほうはそれぞれ二四〇機の紫電改と零戦、それに一〇八機の二式水戦の合わせて五八八機もの迎撃戦闘機を用意していたからだ。
つまりは数の問題だった。
そのうえ、R4Mのような初見殺しの新兵器まで持ち出されては、なおのことだ。
米攻撃隊は敗れるべくして敗れたのだった。
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