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ハワイ最終決戦
第56話 陣頭指揮
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(確かに、数だけで言えば日本の海軍を上回ってはいる)
オアフ島の絶対死守を命じたルーズベルト大統領がその職権を最大限に活かして太平洋艦隊を増強してくれた。
しかし、それら戦力は太平洋艦隊司令長官のニミッツ大将をして、首を傾げざるを得ないものだった。
空母は三二隻あった。
しかし、それらのうちでまともな戦闘力を保有しているのは「シャングリラ」と「ランドルフ」の二隻の「エセックス」級空母のみで、残る三〇隻はそのすべてが護衛空母だった。
他に同じく「エセックス」級空母の「ボノム・リシャール」が就役していたが、しかしこちらは完成してから間がなく、慣熟訓練が終了していなかったこともあって此度の戦いには参加していない。
水上打撃戦力の中核を成す戦艦は「ニュージャージー」と「ウィスコンシン」の二隻の「アイオワ」級戦艦のみだった。
他に目ぼしいものと言えば三〇センチ砲を九門装備する大型巡洋艦の「アラスカ」と「グアム」くらいしかない。
巡洋艦もまた四隻の「クリーブランド」級軽巡のみが参陣しているのにとどまる。
これら大型水上打撃艦艇が少ないのは、そこに乗せる将兵が不足していることが原因だった。
マーシャル沖海戦と二度にわたるミッドウェー海戦、それにマリアナ沖海戦で米海軍は大量の将兵を失った。
しかも、それらは洋上で巨大な戦闘機械を操ることができる将兵たちばかりだったから、米海軍組織としてはそれこそ甚大なる痛手となっていた。
この影響で将兵についてはまずは空母や駆逐艦に優先してあてがうしかなく、大型水上打撃艦艇への配属は二の次とせざるを得なかったのだ。
それゆえに、米海軍が保有する一一隻の旧式戦艦やあるいは多数の巡洋艦については定員不足が著しかった。
だから、これら艦は新兵を一から鍛えるための練習艦のような有り様となっていた。
このような状況では、とてもではないが実戦に出すわけにはいかない。
また、艦隊のワークホースとも言うべき駆逐艦は五六隻あったが、しかしそのうちの二〇隻までが戦力の低い護衛駆逐艦であり、水上打撃戦力としてはさほど期待できるものではなかった。
(それでも、数は力だ。実際、日本海軍は数の暴力によって我々に打ち勝ってきた)
マーシャル沖海戦や二度にわたるミッドウェー海戦、それにマリアナ沖海戦では数に勝る日本の改造空母が、性能に勝る米国の正規空母を散々に打ち破ってきた。
しかし、今回はその逆だ。
性能は低いものの、しかし数に勝る護衛空母群をもって、日本の改造空母にリベンジを果たすのだ。
勝算は十分にあった。
こちらはホームグランドとも言えるハワイ沖合を戦場とすることができる。
そのうえ、オアフ島の航空機の支援も期待できる。
それは、此度の戦いの勝利条件が日本艦隊の撃滅ではなく、撃退であるがゆえのことだ。
その分だけ目標達成のハードルは低い。
そして、日本艦隊を撃退すれば、その分だけ米国は時を稼ぐことができる。
その間に「エセックス」級空母が次々に完成し、そしてそこに乗せる将兵の訓練の時間を捻出することもかなうだろう。
そうなれば、彼我の立場は完全に逆転する。
いかに、日本海軍が改造空母の数を揃えようとも、しかし大量の「エセックス」級空母には太刀打ちできないことは自明だ。
(来るなら来い!)
ニミッツ長官は胸中でその闘志を高める。
彼は新編された第七任務部隊、その旗艦「ニュージャージー」に座乗して連合艦隊を迎え撃つ。
もちろん、ルーズベルト大統領はニミッツ長官の陣頭指揮には難色を示した。
太平洋艦隊司令長官が討ち死にしたとあっては、その影響は甚大だ。
しかし、ニミッツ長官の意志は固く、最後はルーズベルト大統領が折れた形となった。
(ハルゼー、フレッチャー、スプルーアンス、リー・・・・・・)
ニミッツ長官はこれまでの戦いで倒れていった将星の名前をつぶやき、そしてそれを胸に刻んでいく。
復讐を動機に、それを戦意に置換することは決してニミッツ長官が良しとするところではない。
しかし、それも今では些細なことでしかなかった。
第七任務部隊
第七一任務群
「シャングリラ」(F6F七二機、SB2C一二機、TBF一二機、夜戦型F6F一二機)
「ランドルフ」(F6F七二機、SB2C一二機、TBF一二機、夜戦型F6F一二機)
戦艦「ニュージャージー」「ウィスコンシン」
大巡「アラスカ」「グアム」
軽巡四、駆逐艦一六
第七二任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「カサブランカ」「リスカム・ベイ」「アンツィオ」「コレヒドール」「ミッション・ベイ」「マニラ・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七三任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「ナトマ・ベイ」「トリポリ」「ウェーク・アイランド」「ホワイト・プレーンズ」「カリニン・ベイ」「カサーン・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七四任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「ファンショー・ベイ」「セント・ロー」「キトカン・ベイ」「ガンビア・ベイ」「ネヘンタ・ベイ」「ホガット・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七五任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「カダシャン・ベイ」「マーカス・アイランド」「オマニー・ベイ」「ペトロフ・ベイ」「ルディヤード・ベイ」「サギノー・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七六任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「サージャント・ベイ」「シャムロック・ベイ」「シップレイ・ベイ」「シットコー・ベイ」「スティーマー・ベイ」「ケープ・エスペランス」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
オアフ島の絶対死守を命じたルーズベルト大統領がその職権を最大限に活かして太平洋艦隊を増強してくれた。
しかし、それら戦力は太平洋艦隊司令長官のニミッツ大将をして、首を傾げざるを得ないものだった。
空母は三二隻あった。
しかし、それらのうちでまともな戦闘力を保有しているのは「シャングリラ」と「ランドルフ」の二隻の「エセックス」級空母のみで、残る三〇隻はそのすべてが護衛空母だった。
他に同じく「エセックス」級空母の「ボノム・リシャール」が就役していたが、しかしこちらは完成してから間がなく、慣熟訓練が終了していなかったこともあって此度の戦いには参加していない。
水上打撃戦力の中核を成す戦艦は「ニュージャージー」と「ウィスコンシン」の二隻の「アイオワ」級戦艦のみだった。
他に目ぼしいものと言えば三〇センチ砲を九門装備する大型巡洋艦の「アラスカ」と「グアム」くらいしかない。
巡洋艦もまた四隻の「クリーブランド」級軽巡のみが参陣しているのにとどまる。
これら大型水上打撃艦艇が少ないのは、そこに乗せる将兵が不足していることが原因だった。
マーシャル沖海戦と二度にわたるミッドウェー海戦、それにマリアナ沖海戦で米海軍は大量の将兵を失った。
しかも、それらは洋上で巨大な戦闘機械を操ることができる将兵たちばかりだったから、米海軍組織としてはそれこそ甚大なる痛手となっていた。
この影響で将兵についてはまずは空母や駆逐艦に優先してあてがうしかなく、大型水上打撃艦艇への配属は二の次とせざるを得なかったのだ。
それゆえに、米海軍が保有する一一隻の旧式戦艦やあるいは多数の巡洋艦については定員不足が著しかった。
だから、これら艦は新兵を一から鍛えるための練習艦のような有り様となっていた。
このような状況では、とてもではないが実戦に出すわけにはいかない。
また、艦隊のワークホースとも言うべき駆逐艦は五六隻あったが、しかしそのうちの二〇隻までが戦力の低い護衛駆逐艦であり、水上打撃戦力としてはさほど期待できるものではなかった。
(それでも、数は力だ。実際、日本海軍は数の暴力によって我々に打ち勝ってきた)
マーシャル沖海戦や二度にわたるミッドウェー海戦、それにマリアナ沖海戦では数に勝る日本の改造空母が、性能に勝る米国の正規空母を散々に打ち破ってきた。
しかし、今回はその逆だ。
性能は低いものの、しかし数に勝る護衛空母群をもって、日本の改造空母にリベンジを果たすのだ。
勝算は十分にあった。
こちらはホームグランドとも言えるハワイ沖合を戦場とすることができる。
そのうえ、オアフ島の航空機の支援も期待できる。
それは、此度の戦いの勝利条件が日本艦隊の撃滅ではなく、撃退であるがゆえのことだ。
その分だけ目標達成のハードルは低い。
そして、日本艦隊を撃退すれば、その分だけ米国は時を稼ぐことができる。
その間に「エセックス」級空母が次々に完成し、そしてそこに乗せる将兵の訓練の時間を捻出することもかなうだろう。
そうなれば、彼我の立場は完全に逆転する。
いかに、日本海軍が改造空母の数を揃えようとも、しかし大量の「エセックス」級空母には太刀打ちできないことは自明だ。
(来るなら来い!)
ニミッツ長官は胸中でその闘志を高める。
彼は新編された第七任務部隊、その旗艦「ニュージャージー」に座乗して連合艦隊を迎え撃つ。
もちろん、ルーズベルト大統領はニミッツ長官の陣頭指揮には難色を示した。
太平洋艦隊司令長官が討ち死にしたとあっては、その影響は甚大だ。
しかし、ニミッツ長官の意志は固く、最後はルーズベルト大統領が折れた形となった。
(ハルゼー、フレッチャー、スプルーアンス、リー・・・・・・)
ニミッツ長官はこれまでの戦いで倒れていった将星の名前をつぶやき、そしてそれを胸に刻んでいく。
復讐を動機に、それを戦意に置換することは決してニミッツ長官が良しとするところではない。
しかし、それも今では些細なことでしかなかった。
第七任務部隊
第七一任務群
「シャングリラ」(F6F七二機、SB2C一二機、TBF一二機、夜戦型F6F一二機)
「ランドルフ」(F6F七二機、SB2C一二機、TBF一二機、夜戦型F6F一二機)
戦艦「ニュージャージー」「ウィスコンシン」
大巡「アラスカ」「グアム」
軽巡四、駆逐艦一六
第七二任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「カサブランカ」「リスカム・ベイ」「アンツィオ」「コレヒドール」「ミッション・ベイ」「マニラ・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七三任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「ナトマ・ベイ」「トリポリ」「ウェーク・アイランド」「ホワイト・プレーンズ」「カリニン・ベイ」「カサーン・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七四任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「ファンショー・ベイ」「セント・ロー」「キトカン・ベイ」「ガンビア・ベイ」「ネヘンタ・ベイ」「ホガット・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七五任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「カダシャン・ベイ」「マーカス・アイランド」「オマニー・ベイ」「ペトロフ・ベイ」「ルディヤード・ベイ」「サギノー・ベイ」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
第七六任務群(F6F一四四機、TBF二四機)
護衛空母「サージャント・ベイ」「シャムロック・ベイ」「シップレイ・ベイ」「シットコー・ベイ」「スティーマー・ベイ」「ケープ・エスペランス」
駆逐艦四、護衛駆逐艦四
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