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第二次ミッドウェー海戦
第41話 日米戦艦激突
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本来であれば、第三次攻撃隊を出す予定は無かった。
機材の損耗、それに搭乗員らの疲労が激しかったからだ。
それに、対艦攻撃にその威力を発揮する彗星や天山のうちで、すぐに使える機体は戦闘開始当初の一割以下にまでその数を減じている。
第三次攻撃の実施が困難なのは、誰の目から見ても明らかだった。
しかし、夜を徹しての修理の結果、彗星は二二機、天山のほうは二五機にまでその稼働機の数を持ち直していた。
また、搭乗員らも昨晩のうちに睡眠を得たことで、相当程度体力を回復している。
このことで、第三艦隊司令部は当初下した決定を撤回し、第三次攻撃隊を出すことにした。
その第三次攻撃隊が戦場に到達した時、日米の戦艦はそれぞれ命中弾はもちろん夾叉すらも得ていない状態だった。
互いの距離が二五〇〇〇メートルと開いていたからだ。
一方、その当事者であり最高責任者でもある角田長官としては、このまま漫然と長距離砲戦を続けるわけにもいかなかった。
どんなに遅くとも、ハワイに展開する基地航空隊の傘の下に逃げ込まれるまでに決着をつけなくてはならない。
だから、「大和」以下、四隻の戦艦に対して突撃を命令しようとも考えていた。
もちろん、相手との間合いを詰める以上は、こちらの損害も覚悟の上だ。
しかし、その命令を発する前に第三次攻撃隊の存在を知るに至った。
そのことで、突撃命令はひとまず棚上げとすることにした。
角田長官が見つめる中、彗星それに天山が襲撃機動に遷移する。
そして、それらの攻撃は敵五番艦それに敵六番艦に集中された。
敵五番艦と敵六番艦はともに煙突が二本有ることが確認されていた。
その外見的特徴から、それらは「ワシントン」とそれに「ノースカロライナ」と見て間違いなかった。
その敵五番艦ならびに敵六番艦は、第二次攻撃隊の天山の雷撃によってすでに大量の海水を飲み込んでいた。
このため、もはや満足に回避運動を実施することができない。
これら二隻は主砲の使用を一時中断し、高角砲や機関砲、それに機銃を総動員して対空戦闘に臨む。
しかし、いかに優れた対空火器を装備するとはいっても、しかし五〇機近い彗星や天山のそのすべてを撃退することなど不可能だ。
敵五番艦、それに敵六番艦の艦上に爆煙がわき立ち、そのすぐ後に水柱が立ち上る。
遠目には、傷ついた獲物に蜂が群がるかのような光景にも映る。
彗星それに天山が攻撃を終えた時、敵五番艦と敵六番艦は完全に行き脚を止め、猛煙を吐き出しながら洋上停止していた。
艦上からは確認できないが、しかし観測機によれば喫水をより一層深め、さらに傾斜も激しいという。
今すぐに沈むかどうかは別として、敵五番艦と敵六番艦が戦力を完全に喪失したことは間違いなかった。
そして、この好機を角田長官は逃さない。
敵戦艦に肉薄するとともに、「長門」は敵二番艦、「陸奥」のほうは敵四番艦にそれぞれ目標を変更するよう命令する。
「大和」が、「武蔵」が、そして「長門」と「陸奥」が加速を開始する。
距離が二五〇〇〇メートルから二四〇〇〇、そして二三〇〇〇と近づくにつれて互いの射撃精度も上がってくる。
米戦艦のほうは目標に変更は無く、一番艦と二番艦は「大和」を、そして三番艦と四番艦は「武蔵」に対して射弾を送り込み続けている。
命中弾を得たのは米戦艦のほうがわずかに早かった。
一番艦の「サウスダコタ」、それに四番艦の「アラバマ」の四〇センチ砲弾が「大和」それに「武蔵」を捉える。
しかし、一二〇〇キロを超える超重量弾に対し、一方の「大和」と「武蔵」の装甲はかろうじてこれに耐えることができた。
四六センチ砲対応防御を施した「大和」と「武蔵」だからこその結果であり、他の戦艦であれば容易に装甲を貫かれていたことだろう。
逆に「サウスダコタ」と三番艦の「マサチューセッツ」に命中した「大和」それに「武蔵」の四六センチ砲弾はともに相手の装甲を貫き、艦内で盛大にその爆発威力を解放した。
第一砲塔やや前方の舷側を穿たれた「サウスダコタ」は、その衝撃で同砲塔の旋回が困難となり戦力の三割を喪失する。
艦中央部に被弾した「マサチューセッツ」は機関室に飛び込んだ四六センチ砲弾によって艦の心臓とも言うべきボイラーを爆砕される。
ただでさえ被雷によって航行が困難になっているところへ、エンジンに大ダメージを被ったのだから、まさに踏んだり蹴ったりといったところだ。
一方、「マサチューセッツ」の脚を奪った「武蔵」のほうは、現在も自身を狙い撃っている「アラバマ」へとその照準を移動する。
その頃には目標の変更によって出遅れ感のあった「長門」それに「陸奥」もまた敵二番艦の「インディアナ」それに「アラバマ」に対して命中弾を得ている。
四一センチ砲弾のほうは「大和」や「武蔵」の四六センチ砲弾とは違い、敵戦艦の装甲をあっさりと貫くようなことは無かった。
それでも艦首や艦尾の非装甲部や、あるいは艦上構造物に命中したものは敵艦に対して決して小さくないダメージを与え、確実に戦力を削り取っていった。
戦闘を続行する八隻の日米戦艦のうちで、真っ先に崩れたのは「アラバマ」だった。
堅艦の「アラバマ」といえども、「武蔵」と「陸奥」の二隻がかりで攻められてはさすがにもたない。
同艦は四六センチ砲弾それに四一センチ砲弾を盛大に浴びて炎上した。
一方、「サウスダコタ」と「インディアナ」のほうは、「大和」を危険なまでに追い込んでいた。
四〇センチ砲弾を次々に叩き込み、確実に「大和」の戦力を削っていく。
「大和」型戦艦相手に即死は無理でも、出血死であれば十分にこれが可能だと証明するような戦いだった。
しかし、あと一歩のところで邪魔が入る。
「アラバマ」を仕留めた「武蔵」と「陸奥」がこの戦いに乱入してきたのだ。
この結果、「武蔵」は「大和」とともに「サウスダコタ」を、「陸奥」は「長門」とともに「インディアナ」を狙い撃った。
いかに優秀な「サウスダコタ」級戦艦といえども、さすがに二対一では勝利は覚束ない。
真っ先に「サウスダコタ」が「大和」と「武蔵」の巨弾によって叩き潰され、「インディアナ」のほうは「長門」と「陸奥」の四一センチ砲弾で文字通り蜂の巣とされた。
「サウスダコタ」それに「インディアナ」を仕留めた四隻の戦艦は、脚を奪われ早々に後落した「マサチューセッツ」にその舳先を向ける。
天山の雷撃によって大量の海水をがぶ飲みし、そのうえ「武蔵」の主砲弾によって心臓をかき回された「マサチューセッツ」に生き残る術は残されていなかった。
機材の損耗、それに搭乗員らの疲労が激しかったからだ。
それに、対艦攻撃にその威力を発揮する彗星や天山のうちで、すぐに使える機体は戦闘開始当初の一割以下にまでその数を減じている。
第三次攻撃の実施が困難なのは、誰の目から見ても明らかだった。
しかし、夜を徹しての修理の結果、彗星は二二機、天山のほうは二五機にまでその稼働機の数を持ち直していた。
また、搭乗員らも昨晩のうちに睡眠を得たことで、相当程度体力を回復している。
このことで、第三艦隊司令部は当初下した決定を撤回し、第三次攻撃隊を出すことにした。
その第三次攻撃隊が戦場に到達した時、日米の戦艦はそれぞれ命中弾はもちろん夾叉すらも得ていない状態だった。
互いの距離が二五〇〇〇メートルと開いていたからだ。
一方、その当事者であり最高責任者でもある角田長官としては、このまま漫然と長距離砲戦を続けるわけにもいかなかった。
どんなに遅くとも、ハワイに展開する基地航空隊の傘の下に逃げ込まれるまでに決着をつけなくてはならない。
だから、「大和」以下、四隻の戦艦に対して突撃を命令しようとも考えていた。
もちろん、相手との間合いを詰める以上は、こちらの損害も覚悟の上だ。
しかし、その命令を発する前に第三次攻撃隊の存在を知るに至った。
そのことで、突撃命令はひとまず棚上げとすることにした。
角田長官が見つめる中、彗星それに天山が襲撃機動に遷移する。
そして、それらの攻撃は敵五番艦それに敵六番艦に集中された。
敵五番艦と敵六番艦はともに煙突が二本有ることが確認されていた。
その外見的特徴から、それらは「ワシントン」とそれに「ノースカロライナ」と見て間違いなかった。
その敵五番艦ならびに敵六番艦は、第二次攻撃隊の天山の雷撃によってすでに大量の海水を飲み込んでいた。
このため、もはや満足に回避運動を実施することができない。
これら二隻は主砲の使用を一時中断し、高角砲や機関砲、それに機銃を総動員して対空戦闘に臨む。
しかし、いかに優れた対空火器を装備するとはいっても、しかし五〇機近い彗星や天山のそのすべてを撃退することなど不可能だ。
敵五番艦、それに敵六番艦の艦上に爆煙がわき立ち、そのすぐ後に水柱が立ち上る。
遠目には、傷ついた獲物に蜂が群がるかのような光景にも映る。
彗星それに天山が攻撃を終えた時、敵五番艦と敵六番艦は完全に行き脚を止め、猛煙を吐き出しながら洋上停止していた。
艦上からは確認できないが、しかし観測機によれば喫水をより一層深め、さらに傾斜も激しいという。
今すぐに沈むかどうかは別として、敵五番艦と敵六番艦が戦力を完全に喪失したことは間違いなかった。
そして、この好機を角田長官は逃さない。
敵戦艦に肉薄するとともに、「長門」は敵二番艦、「陸奥」のほうは敵四番艦にそれぞれ目標を変更するよう命令する。
「大和」が、「武蔵」が、そして「長門」と「陸奥」が加速を開始する。
距離が二五〇〇〇メートルから二四〇〇〇、そして二三〇〇〇と近づくにつれて互いの射撃精度も上がってくる。
米戦艦のほうは目標に変更は無く、一番艦と二番艦は「大和」を、そして三番艦と四番艦は「武蔵」に対して射弾を送り込み続けている。
命中弾を得たのは米戦艦のほうがわずかに早かった。
一番艦の「サウスダコタ」、それに四番艦の「アラバマ」の四〇センチ砲弾が「大和」それに「武蔵」を捉える。
しかし、一二〇〇キロを超える超重量弾に対し、一方の「大和」と「武蔵」の装甲はかろうじてこれに耐えることができた。
四六センチ砲対応防御を施した「大和」と「武蔵」だからこその結果であり、他の戦艦であれば容易に装甲を貫かれていたことだろう。
逆に「サウスダコタ」と三番艦の「マサチューセッツ」に命中した「大和」それに「武蔵」の四六センチ砲弾はともに相手の装甲を貫き、艦内で盛大にその爆発威力を解放した。
第一砲塔やや前方の舷側を穿たれた「サウスダコタ」は、その衝撃で同砲塔の旋回が困難となり戦力の三割を喪失する。
艦中央部に被弾した「マサチューセッツ」は機関室に飛び込んだ四六センチ砲弾によって艦の心臓とも言うべきボイラーを爆砕される。
ただでさえ被雷によって航行が困難になっているところへ、エンジンに大ダメージを被ったのだから、まさに踏んだり蹴ったりといったところだ。
一方、「マサチューセッツ」の脚を奪った「武蔵」のほうは、現在も自身を狙い撃っている「アラバマ」へとその照準を移動する。
その頃には目標の変更によって出遅れ感のあった「長門」それに「陸奥」もまた敵二番艦の「インディアナ」それに「アラバマ」に対して命中弾を得ている。
四一センチ砲弾のほうは「大和」や「武蔵」の四六センチ砲弾とは違い、敵戦艦の装甲をあっさりと貫くようなことは無かった。
それでも艦首や艦尾の非装甲部や、あるいは艦上構造物に命中したものは敵艦に対して決して小さくないダメージを与え、確実に戦力を削り取っていった。
戦闘を続行する八隻の日米戦艦のうちで、真っ先に崩れたのは「アラバマ」だった。
堅艦の「アラバマ」といえども、「武蔵」と「陸奥」の二隻がかりで攻められてはさすがにもたない。
同艦は四六センチ砲弾それに四一センチ砲弾を盛大に浴びて炎上した。
一方、「サウスダコタ」と「インディアナ」のほうは、「大和」を危険なまでに追い込んでいた。
四〇センチ砲弾を次々に叩き込み、確実に「大和」の戦力を削っていく。
「大和」型戦艦相手に即死は無理でも、出血死であれば十分にこれが可能だと証明するような戦いだった。
しかし、あと一歩のところで邪魔が入る。
「アラバマ」を仕留めた「武蔵」と「陸奥」がこの戦いに乱入してきたのだ。
この結果、「武蔵」は「大和」とともに「サウスダコタ」を、「陸奥」は「長門」とともに「インディアナ」を狙い撃った。
いかに優秀な「サウスダコタ」級戦艦といえども、さすがに二対一では勝利は覚束ない。
真っ先に「サウスダコタ」が「大和」と「武蔵」の巨弾によって叩き潰され、「インディアナ」のほうは「長門」と「陸奥」の四一センチ砲弾で文字通り蜂の巣とされた。
「サウスダコタ」それに「インディアナ」を仕留めた四隻の戦艦は、脚を奪われ早々に後落した「マサチューセッツ」にその舳先を向ける。
天山の雷撃によって大量の海水をがぶ飲みし、そのうえ「武蔵」の主砲弾によって心臓をかき回された「マサチューセッツ」に生き残る術は残されていなかった。
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