18 / 67
インド洋海戦
第18話 インド洋航空戦
しおりを挟む
東洋艦隊の主力を発見した第二航空艦隊それに第三航空艦隊は、ただちに攻撃隊を発進させた。
「金剛」から零戦九機に九九艦爆が一八機。
「龍驤」をはじめとした他の七隻の小型空母から零戦九機に九七艦攻が同じく九機。
それらが飛行甲板を蹴ってインド洋の空へと駆け上がっていく。
零戦は増槽を、九九艦爆は二五番通常爆弾を、そして九七艦攻は九一式航空魚雷をそれぞれの腹に抱いていた。
第一次攻撃隊の半数近くを戦闘機が占めているのは、マーシャル沖海戦の戦訓を受けてのものだった。
同海戦において、当時の第一航空艦隊が放った第一次攻撃隊は五〇機前後とみられるF4Fの迎撃を受けた。
一方、九九艦爆や九七艦攻を護衛する零戦のほうは六三機だった。
零戦は数の優位を確保していたことで、なんとか九九艦爆や九七艦攻を守り切ることができた。
それでも、零戦の数が十分だったとはとても言えなかった。
むしろ、米空母の戦闘機の搭載比率の低さに救われた感さえ有った。
そして、もし英空母が攻撃をあきらめ、雷撃機を降ろす一方で防御のための戦闘機を増載していたとしたら、攻撃隊は極めて危険な状況下に置かれる。
だからこそ、攻撃隊には七二機もの零戦を九九艦爆や九七艦攻の用心棒として同道させたのだ。
進撃を続けていた攻撃隊の前に、敵戦闘機がその姿を現す。
鼻先の尖った液冷エンジンを搭載する機体だ。
それらは「インドミタブル」と「フォーミダブル」それに「ハーミーズ」から緊急発進した三六機のシーハリケーンだった。
そのシーハリケーンの搭乗員らは出撃前に、此度の戦いにおいて「赤城」や「加賀」それに「蒼龍」や「飛龍」といった有力空母が不参加であることを知らされていた。
だから、日本の攻撃隊の規模が、意外なまでに大きかったことに驚いていた。
それでも、英空母の戦闘機乗りは戦意旺盛だった。
東洋艦隊を守るべく、自分たちの四倍以上の数の日本側編隊に向けて、怖気づいた様子もなく突撃していった。
これを迎え撃ったのは二航艦の「千代田」戦闘機隊と「瑞穂」戦闘機隊、それに三航艦の「瑞鳳」戦闘機隊と「祥鳳」戦闘機隊の合わせて三六機の零戦からなる制空隊だった。
それら機体は本隊から離れ、シーハリケーンへとその機首を向ける。
一方、二航艦の「金剛」戦闘機隊と「千歳」戦闘機隊、それに三航艦の「龍驤」戦闘機隊と「龍鳳」戦闘機からなる直掩隊は九九艦爆や九七艦攻のそばを離れず、そのまま東洋艦隊を目指す。
三六機のシーハリケーンと同じく三六機の制空隊の零戦が激突する。
主翼からシャワーのような火箭を吐き出して突進してくるシーハリケーンに対し、零戦は持ち前の運動性能を生かしてこれを回避する。
先手を取られるのはF4Fとの戦闘で慣れている。
互いの編隊が交錯するのと同時、シーハリケーンそれに零戦はともに相手の背後を取るべく急旋回をかける。
絵に描いたような旋回格闘戦。
そして、それに勝利したのは零戦の側だった。
欧州での戦いにおいて、シーハリケーンのオリジナルとも言うべきハリケーンは一撃離脱を多用するドイツ戦闘機に対し、これを旋回格闘戦の土俵に持ち込んで散々に撃ち破ってきた。
バトル・オブ・ブリテンの勝利の原動力となったハリケーンの実力は本物だ。
たかが東洋の島国の戦闘機ごときに後れをとるはずがない。
そう考えて戦いに臨んだシーハリケーンの搭乗員たちだったが、しかし零戦の機動は彼らの予想を超えていた。
シーハリケーンはドイツ戦闘機に比べて小回りが効くが、零戦はさらにその遥かに上をいっていたのだ。
信じられない光景あるいは現実を目の当たりにしたシーハリケーンの搭乗員らはそのことでわずかだが反応が遅れる。
空での一瞬の隙は、それこそ死に直結する。
敵の動揺を見てとった零戦の搭乗員は、それこそ千載一遇の好機とばかりにシーハリケーンの内側へと回り込む。
そして、後方に機体を遷移すると同時に照準もまた済ませる。
零戦の両翼から二〇ミリ弾が吐き出され、それらがシーハリケーンに吸い込まれていく。
二〇ミリ弾の威力は破格だ。
それなりの数を撃ち込めば、四発重爆をも撃墜できる威力を持ったそれを、たいした防御力を持たない単発戦闘機がまともに食らってしまってはさすがにもたない。
もちろん、シーハリケーンも一方的にやられたわけではない。
八丁装備された七・七ミリ機銃から驟雨の如き銃弾を零戦を浴びせ、これを討ちとっている。
だが、インド洋の海に墜ちていくのは、そのほとんどがシーハリケーンで、零戦の数は極めて少ない。
このことで、最初はイーブンだった数は、しかし最初の一撃で零戦優位へと傾く。
そして、その差は時間の経過とともに拡大していく。
互角だったはずの戦力の均衡が崩れた場合は、特にそれが顕著だ。
零戦とシーハリケーンの勝負を決めた大きな要因だが、その一つは明らかに英搭乗員の慢心あるいは傲慢だった。
そのことに間違いは無い。
しかし、さらに大きかったのが機体性能の差だった。
シーハリケーンのオリジナルであるハリケーンは、一九三七年の時点においてすでに運用が開始されていた。
一方の零戦のほうは、それが一九四〇年となっている。
一世代は大げさでも、しかし半世代は確実に零戦のほうが新しいのだ。
それぞれ一長一短はあれども、それでも総合性能では明らかに零戦の側が優越している。
そして、その性能差を英搭乗員は覆すことが出来なかった。
それこそが最大の敗因だった。
「金剛」から零戦九機に九九艦爆が一八機。
「龍驤」をはじめとした他の七隻の小型空母から零戦九機に九七艦攻が同じく九機。
それらが飛行甲板を蹴ってインド洋の空へと駆け上がっていく。
零戦は増槽を、九九艦爆は二五番通常爆弾を、そして九七艦攻は九一式航空魚雷をそれぞれの腹に抱いていた。
第一次攻撃隊の半数近くを戦闘機が占めているのは、マーシャル沖海戦の戦訓を受けてのものだった。
同海戦において、当時の第一航空艦隊が放った第一次攻撃隊は五〇機前後とみられるF4Fの迎撃を受けた。
一方、九九艦爆や九七艦攻を護衛する零戦のほうは六三機だった。
零戦は数の優位を確保していたことで、なんとか九九艦爆や九七艦攻を守り切ることができた。
それでも、零戦の数が十分だったとはとても言えなかった。
むしろ、米空母の戦闘機の搭載比率の低さに救われた感さえ有った。
そして、もし英空母が攻撃をあきらめ、雷撃機を降ろす一方で防御のための戦闘機を増載していたとしたら、攻撃隊は極めて危険な状況下に置かれる。
だからこそ、攻撃隊には七二機もの零戦を九九艦爆や九七艦攻の用心棒として同道させたのだ。
進撃を続けていた攻撃隊の前に、敵戦闘機がその姿を現す。
鼻先の尖った液冷エンジンを搭載する機体だ。
それらは「インドミタブル」と「フォーミダブル」それに「ハーミーズ」から緊急発進した三六機のシーハリケーンだった。
そのシーハリケーンの搭乗員らは出撃前に、此度の戦いにおいて「赤城」や「加賀」それに「蒼龍」や「飛龍」といった有力空母が不参加であることを知らされていた。
だから、日本の攻撃隊の規模が、意外なまでに大きかったことに驚いていた。
それでも、英空母の戦闘機乗りは戦意旺盛だった。
東洋艦隊を守るべく、自分たちの四倍以上の数の日本側編隊に向けて、怖気づいた様子もなく突撃していった。
これを迎え撃ったのは二航艦の「千代田」戦闘機隊と「瑞穂」戦闘機隊、それに三航艦の「瑞鳳」戦闘機隊と「祥鳳」戦闘機隊の合わせて三六機の零戦からなる制空隊だった。
それら機体は本隊から離れ、シーハリケーンへとその機首を向ける。
一方、二航艦の「金剛」戦闘機隊と「千歳」戦闘機隊、それに三航艦の「龍驤」戦闘機隊と「龍鳳」戦闘機からなる直掩隊は九九艦爆や九七艦攻のそばを離れず、そのまま東洋艦隊を目指す。
三六機のシーハリケーンと同じく三六機の制空隊の零戦が激突する。
主翼からシャワーのような火箭を吐き出して突進してくるシーハリケーンに対し、零戦は持ち前の運動性能を生かしてこれを回避する。
先手を取られるのはF4Fとの戦闘で慣れている。
互いの編隊が交錯するのと同時、シーハリケーンそれに零戦はともに相手の背後を取るべく急旋回をかける。
絵に描いたような旋回格闘戦。
そして、それに勝利したのは零戦の側だった。
欧州での戦いにおいて、シーハリケーンのオリジナルとも言うべきハリケーンは一撃離脱を多用するドイツ戦闘機に対し、これを旋回格闘戦の土俵に持ち込んで散々に撃ち破ってきた。
バトル・オブ・ブリテンの勝利の原動力となったハリケーンの実力は本物だ。
たかが東洋の島国の戦闘機ごときに後れをとるはずがない。
そう考えて戦いに臨んだシーハリケーンの搭乗員たちだったが、しかし零戦の機動は彼らの予想を超えていた。
シーハリケーンはドイツ戦闘機に比べて小回りが効くが、零戦はさらにその遥かに上をいっていたのだ。
信じられない光景あるいは現実を目の当たりにしたシーハリケーンの搭乗員らはそのことでわずかだが反応が遅れる。
空での一瞬の隙は、それこそ死に直結する。
敵の動揺を見てとった零戦の搭乗員は、それこそ千載一遇の好機とばかりにシーハリケーンの内側へと回り込む。
そして、後方に機体を遷移すると同時に照準もまた済ませる。
零戦の両翼から二〇ミリ弾が吐き出され、それらがシーハリケーンに吸い込まれていく。
二〇ミリ弾の威力は破格だ。
それなりの数を撃ち込めば、四発重爆をも撃墜できる威力を持ったそれを、たいした防御力を持たない単発戦闘機がまともに食らってしまってはさすがにもたない。
もちろん、シーハリケーンも一方的にやられたわけではない。
八丁装備された七・七ミリ機銃から驟雨の如き銃弾を零戦を浴びせ、これを討ちとっている。
だが、インド洋の海に墜ちていくのは、そのほとんどがシーハリケーンで、零戦の数は極めて少ない。
このことで、最初はイーブンだった数は、しかし最初の一撃で零戦優位へと傾く。
そして、その差は時間の経過とともに拡大していく。
互角だったはずの戦力の均衡が崩れた場合は、特にそれが顕著だ。
零戦とシーハリケーンの勝負を決めた大きな要因だが、その一つは明らかに英搭乗員の慢心あるいは傲慢だった。
そのことに間違いは無い。
しかし、さらに大きかったのが機体性能の差だった。
シーハリケーンのオリジナルであるハリケーンは、一九三七年の時点においてすでに運用が開始されていた。
一方の零戦のほうは、それが一九四〇年となっている。
一世代は大げさでも、しかし半世代は確実に零戦のほうが新しいのだ。
それぞれ一長一短はあれども、それでも総合性能では明らかに零戦の側が優越している。
そして、その性能差を英搭乗員は覆すことが出来なかった。
それこそが最大の敗因だった。
141
お気に入りに追加
215
あなたにおすすめの小説
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
第二艦隊転進ス 進路目標ハ未来
みにみ
歴史・時代
太平洋戦争末期 世界最大の46㎝という巨砲を
搭載する戦艦
大和を旗艦とする大日本帝国海軍第二艦隊 戦艦、榛名、伊勢、日向
空母天城、葛城、重巡利根、青葉、軽巡矢矧
駆逐艦涼月、冬月、花月、雪風、響、磯風、浜風、初霜、霞、朝霜、響は
日向灘沖を航行していた
そこで米潜水艦の魚雷攻撃を受け
大和や葛城が被雷 伊藤長官はGFに無断で
作戦の中止を命令し、反転佐世保へと向かう
途中、米軍の新型兵器らしき爆弾を葛城が被弾したりなどもするが
無事に佐世保に到着
しかし、そこにあったのは………
ぜひ、伊藤長官率いる第一遊撃艦隊の進む道をご覧ください
ところどころ戦術おかしいと思いますがご勘弁
どうか感想ください…心が折れそう
どんな感想でも114514!!!
批判でも結構だぜ!見られてるって確信できるだけで
モチベーション上がるから!
自作品 ソラノカケラ⦅Shattered Skies⦆と同じ世界線です
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
二度の世界大戦を無事戦勝国として過ごすことに成功した大日本帝国。同盟国であるはずのドイツ第三帝国が敗北していることを考えたらそのさじ加減は奇跡的といえた。後に行われた国際裁判において白人種が今でも「復讐裁判」となじるそれは、その実白人種のみが断罪されたわけではないのだが、白人種に下った有罪判決が大多数に上ったことからそうなじる者が多いのだろう。だが、それはクリストバル・コロンからの歴史的経緯を考えれば自業自得といえた。
昭和十九年四月二日。ある人物が連合艦隊司令長官に着任した。その人物は、時の皇帝の弟であり、階級だけを見れば抜擢人事であったのだが誰も異を唱えることはなく、むしろその采配に感嘆の声をもらした。
その人物の名は宣仁、高松宮という雅号で知られる彼は皇室が最終兵器としてとっておいたといっても過言ではない秘蔵の人物であった。着任前の階級こそ大佐であったが、事実上の日本のトップ2である。誰が反対できようものか。
そして、まもなく史実は回天する。悪のはびこり今なお不正が当たり前のようにまかり通る一人種や少数の金持ちによる腐敗の世ではなく、神聖不可侵である善君達が差配しながらも、なお公平公正である、善が悪と罵られない、誰もに報いがある清く正しく美しい理想郷へと。
そう、すなわちアメリカ合衆国という傲慢不遜にして善を僭称する古今未曾有の悪徳企業ではなく、神聖不可侵な皇室を主軸に回る、正義そのものを体現しつつも奥ゆかしくそれを主張しない大日本帝国という国家が勝った世界へと。
……少々前説が過ぎたが、本作品ではそこに至るまでの、すなわち大日本帝国がいかにして勝利したかを記したいと思う。
それでは。
とざいとーざい、語り手はそれがし、神前成潔、底本は大東亜戦記。
どなた様も何卒、ご堪能あれー……
ああ、草々。累計ポイントがそろそろ10万を突破するので、それを記念して一度大規模な増補改訂を予定しております。やっぱり、今のままでは文字数が余り多くはありませんし、第一書籍化する際には華の十万文字は越える必要があるようですからね。その際、此方にかぶせる形で公開するか別個枠を作って「改二」として公開するか、それとも同人誌などの自費出版という形で発表するかは、まだ未定では御座いますが。
なお、その際に「完結」を外すかどうかも、まだ未定で御座います。未定だらけながら、「このままでは突破は難しいか」と思っていた数字が見えてきたので、一度きちんと構えを作り直す必要があると思い、記載致しました。
→ひとまず、「改二」としてカクヨムに公開。向こうで試し刷りをしつつ、此方も近いうちに改訂を考えておきます。
江戸時代改装計画
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
出撃!特殊戦略潜水艦隊
ノデミチ
歴史・時代
海の狩人、潜水艦。
大国アメリカと短期決戦を挑む為に、連合艦隊司令山本五十六の肝入りで創設された秘匿潜水艦。
戦略潜水戦艦 伊号第500型潜水艦〜2隻。
潜水空母 伊号第400型潜水艦〜4隻。
広大な太平洋を舞台に大暴れする連合艦隊の秘密兵器。
一度書いてみたかったIF戦記物。
この機会に挑戦してみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる