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勇気と優しさと甘い恋
独占欲にかかる拍車 side秦斗
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はぁ……結衣さんと会えない時間って、こんなに憂鬱だったっけ。
そんなため息を吐き出しつつ、俺は教室から窓の外をぼーっと見ていた。
昨日に引き続き、結衣さんと学校に来れていない。
……まぁ正確には、昨日の下校からだけど。
どうして昨日、用事なんか入っちゃったんだろう……。
母さんからいきなり言われた用事、少し遠い場所に住んでいる親戚までお裾分けをしにいけ……って。
人使い荒すぎだな、相変わらず。……もう慣れたけど。
母さんの人使いの荒さは昔から半端じゃない。母親らしくはあるけど、俺とはあまり関わらない。
父さんも仕事人間だから、会話なんて下手すれば数えるほどしかない。一番新しい会話すらも、思い出せそうにないし。
……だから自立できる年齢になったら、すぐにあの家を出ていく。
そしてあわよくば、結衣さんと一緒に生きていきたい。
結衣さんの目はいつも穏やかで波がなくて、優しく温かい。
そんな結衣さんだからこそ、誰にでも優しい。優しすぎるくらいには。
俺とはやっぱり、比べ物にならない。いや、比べるのもおこがましいな。
偽りの俺とは違って、結衣さんは純粋で可愛いんだから。
……そう思うと、俺に付き合わせてしまっているのは結衣さんにとって悪影響なのかもしれない。
ふと、そんな考えが脳裏をよぎる。
だって……一緒に居ればいるほど、人は相手に影響されやすい。
もし俺のせいで、結衣さんが悲しむような事があったら……?
そんなのは……――絶対、ダメだ。
今まで気にしてこなかったけど、人間は面倒な作りになってしまっているからありえる。
……かといって、結衣さんとこれ以上の距離を取りたくない。
せっかくここまで仲良くなれたんだ。水の泡にするような行動だけは、したくない。
だったらどうすれば……。
「なぁっ、あっちのクラスにめっちゃ可愛い子居るんだけど!」
「ていうかさ、あんなに可愛い女子この学校に居た!?」
嫌なループに入りかけた時、廊下が何やら騒がしい事に気付いた。
けど、きっと俺には関係ない。
干渉過多にはなりたくないが為に、この状況も無視しようと……した。
……でも、できない言葉が俺の耳まで届いた。
「あの超美少女、湖宮らしいぜ……!」
……結衣、さん?
通りすがった男子生徒の口から飛び出たのは……信じられないような言葉。
だからほとんど、無意識に体が動いていた。
ガタッと大きな音が鳴るほど急いで席を立ち、足早に結衣さんのクラスまで行く。
……けど、あまりにも人が多すぎる。
結衣さんのクラスについた時にはもうたくさんの人だかりが見えて、あの人だかりの中心に結衣さんが居るんだろうと分かる。
超美少女……それは、俺がこの前初めて知った事実だった。
遊園地デートしたあの日、眼鏡を外した結衣さんは誰もが振り返るような美少女で。
あの日はずっと眼鏡を外していたからか、他の男からの視線が多すぎた。
俺が近くにいてもこれだから、近くにいる事が限られている学校ではどうなるんだろう……なんて、懸念していたのに。
それがこんなすぐ、現実になってしまうなんて。
「氷堂、こっちだ。」
「……っ、わっ。」
どうしたらいいのか……と困り果ててしまい、仕方なく強行突破に出ようとした瞬間。
とっさに腕を引っ張られて、一気に結衣さんへと近付ける。
そう誘導したのはあの阿辺君で、裏があるんじゃないかと疑わずにはいられなかった。
「……どういう風の吹き回し?」
「普通に酷いだろ、それ。……どういうもこういうも、さっさと湖宮のとこ行けば? 好きな女が下心ありの奴に囲まれてんの、嫌だろ。」
「それはそうだね。ありがとう。」
「そりゃどーも。」
なんだか、阿辺君変わったな。
俺はふと、そう抱いた。
具体的にと問われれば困るけど、どこか棘が取れたような。
……だけどきっと、ライバルにはなるだろうな。
あの目、結衣さんに惚れてる。間違ってはないはずだ。
だからこそ阿辺君は、俺の手助けをしてくれたのかな……なんて、ね。
「結衣さん。」
「っ、か、秦斗君っ……!」
俺が名前を呼ぶと同時に、視界に結衣さんが入る。
……途端に俺は、遊園地の時の待ち合わせと同じように声が出なくなってしまった。
あー……、もうこれ以上俺を困らせないでほしいな。
結衣さんはいつもの、地味な感じではなかった。
髪を整え、うっすらと紅潮している頬。
だけどそこまでは、まだ大丈夫。
結衣さんが可愛いのは分かってる。そんなの、痛いくらい分かってるから。
「結衣さん、ちょっといいかな?」
「秦斗君? わっ……!」
俺は一言だけ呟き、強い力で結衣さんとその場を離れる。
……結衣さんの可愛さは、充分すぎるくらい身に沁みてるから。
――お願いだからそんな、メガネを外した状態で笑顔を見せないで。
まだ人気が少ないであろうところまで移動してきて、ふぅ……と息を吐く。
ここなら、とりあえずは大丈夫だろう。こんなところまで追ってくる人なんていないだろうしな……。
そんな執念深すぎる人がいないようにと思いながら、俺は結衣さんに謝罪の言葉を伝えた。
「結衣さんごめんね。ここまで連れてきちゃって。」
「謝らないでっ……! むしろ助かっちゃったよっ。実はちょっと、あの場にいるの怖かったんだ。」
慌てた様子の結衣さんは笑顔でそう言って、その後に苦笑して眉の端を下げる。
そういえば、結衣さんは人と関わることが苦手だとも教えてくれた。
だったらあの人の数は、さすがに応えただろう。
俺でも、あんな大人数に囲まれたら戸惑ってしまう。
「結衣さん、どうして今日はメガネをかけてないの?」
気持ちが落ち着いてから、俺はすぐさま話を切り出した。
いろいろ聞きたい事はあるけど、一番はまずそれだ。
今の結衣さんは、誰よりも可愛くて心臓が止まってしまいそうなほど。
結衣さんには耐性がついた……なんて勝手に思っていたかもしれないけど、全然そんな事なかった。
もう本当に、可愛すぎる……。
もちろん俺はメガネをつけている状態の結衣さんから好きになったから、どんな結衣さんでも愛おしい。
……でも、これはダメだろ……っ。
ぐるぐると、当てるあてもない気持ちを懸命に押し込めようと努める。
そんな中結衣さんは、ゆっくりとおぼつかない様子で言葉を紡ぎだした。
「私、秦斗君に釣り合うような人になりたかったのっ……。メガネは、この前の遊園地で少し耐性がついてたみたいで……だから今日からは、頑張って外してみようって思ったんだっ……!」
無邪気な笑顔を浮かべ、照れたように頬を染める結衣さん。
……ダメだ、可愛さが尋常じゃない。
ここが学校じゃなかったら、本能的に抱きしめていただろう。
だから代わりに、こんな言葉を口にした。
「結衣さんはどんな姿でも可愛い。可愛すぎるよ。」
「えっ……?」
「……可愛すぎるから、これ以上、結衣さんのことを好きにさせないで。」
また、溺れてしまうから。それこそ、自力では戻ってこれないほどに。
そうじゃなきゃ、俺はどんな手を使ってしまうか分かったものじゃない。
独占欲というものが強い俺は、溺れて戻れなくなったら結衣さんに何をしでかすか予想ができない。
まだ抑えられているほうだけど、流石にこれ以上は。
……俺自身が、もたない。
「それは……いや、嫌だよ……私は……」
……え?
「結衣さん?」
「わ、私は――」
――キーンコーンカーンコーン
結衣さんが何かを言いかけたと同時に、大きなチャイムの音が響く。
まぁ、時間的にも仕方ないか……俺が結衣さんを連れてここに来たのは、ホームルームが始まる数分前だったし。
結衣さんの言葉が気にならないと言えば、それは嘘になる。
ホームルームを無視して、結衣さんの話を聞きたいとも思うし。
けど俺のエゴで、結衣さんに何か悪影響があると思ったら……それだけは絶対、いけないから。
「結衣さん、そろそろ戻ろうか。ここまで連れてきちゃって、本当にごめんね。」
俺は言葉に出し、視線を結衣さんから外そうとする。
……その時に結衣さんが、俺にこう言ってきた。
「か、秦斗君、今日は一緒に、帰れるからっ……その、一緒に帰っても、いい……?」
一瞬、意味が理解できなかった。
だって結衣さんからそんなこと言ってくるなんて、思ってなかったものだから。
いつも人に遠慮して、自分の気持ちを押し殺してしまいそうな結衣さん。
……嬉しくないはずが、ない。
結衣さんからそう言ってもらえるなんて、俺も少しは信用してもらえているのかな。
この前勢いあまって告白をしてしまったから、関係はこじれるかと内心怯えていた。
だけど結衣さんが自分からこうして言ってくれるっていう事は……信用されてるかも、って自惚れてもいいんだよね。
「もちろん。」
「あ、ありがとうっ!」
そんな事でお礼なんて、いらないのに。
結衣さんは律儀すぎて、逆に心配になる。
いや……心配になる要素が多すぎる。
お人好しで優しいところも、何に対しても丁寧なところも。一つ一つが愛おしいところや、すぐに丸め込まれるところだって。
挙げだしたらキリがない。
だからこそ、俺が守らなきゃいけないんだ。
……そんな使命感は、結衣さんにとっては迷惑かもしれない。
それでも俺は、結衣さんをそれくらい想っているから。
せめて傍で見守る事だけは、許してほしい。例え結衣さんが、俺のことをどう思っていようが。
――俺は誰よりも、結衣さんを好きでいるから。
そんなため息を吐き出しつつ、俺は教室から窓の外をぼーっと見ていた。
昨日に引き続き、結衣さんと学校に来れていない。
……まぁ正確には、昨日の下校からだけど。
どうして昨日、用事なんか入っちゃったんだろう……。
母さんからいきなり言われた用事、少し遠い場所に住んでいる親戚までお裾分けをしにいけ……って。
人使い荒すぎだな、相変わらず。……もう慣れたけど。
母さんの人使いの荒さは昔から半端じゃない。母親らしくはあるけど、俺とはあまり関わらない。
父さんも仕事人間だから、会話なんて下手すれば数えるほどしかない。一番新しい会話すらも、思い出せそうにないし。
……だから自立できる年齢になったら、すぐにあの家を出ていく。
そしてあわよくば、結衣さんと一緒に生きていきたい。
結衣さんの目はいつも穏やかで波がなくて、優しく温かい。
そんな結衣さんだからこそ、誰にでも優しい。優しすぎるくらいには。
俺とはやっぱり、比べ物にならない。いや、比べるのもおこがましいな。
偽りの俺とは違って、結衣さんは純粋で可愛いんだから。
……そう思うと、俺に付き合わせてしまっているのは結衣さんにとって悪影響なのかもしれない。
ふと、そんな考えが脳裏をよぎる。
だって……一緒に居ればいるほど、人は相手に影響されやすい。
もし俺のせいで、結衣さんが悲しむような事があったら……?
そんなのは……――絶対、ダメだ。
今まで気にしてこなかったけど、人間は面倒な作りになってしまっているからありえる。
……かといって、結衣さんとこれ以上の距離を取りたくない。
せっかくここまで仲良くなれたんだ。水の泡にするような行動だけは、したくない。
だったらどうすれば……。
「なぁっ、あっちのクラスにめっちゃ可愛い子居るんだけど!」
「ていうかさ、あんなに可愛い女子この学校に居た!?」
嫌なループに入りかけた時、廊下が何やら騒がしい事に気付いた。
けど、きっと俺には関係ない。
干渉過多にはなりたくないが為に、この状況も無視しようと……した。
……でも、できない言葉が俺の耳まで届いた。
「あの超美少女、湖宮らしいぜ……!」
……結衣、さん?
通りすがった男子生徒の口から飛び出たのは……信じられないような言葉。
だからほとんど、無意識に体が動いていた。
ガタッと大きな音が鳴るほど急いで席を立ち、足早に結衣さんのクラスまで行く。
……けど、あまりにも人が多すぎる。
結衣さんのクラスについた時にはもうたくさんの人だかりが見えて、あの人だかりの中心に結衣さんが居るんだろうと分かる。
超美少女……それは、俺がこの前初めて知った事実だった。
遊園地デートしたあの日、眼鏡を外した結衣さんは誰もが振り返るような美少女で。
あの日はずっと眼鏡を外していたからか、他の男からの視線が多すぎた。
俺が近くにいてもこれだから、近くにいる事が限られている学校ではどうなるんだろう……なんて、懸念していたのに。
それがこんなすぐ、現実になってしまうなんて。
「氷堂、こっちだ。」
「……っ、わっ。」
どうしたらいいのか……と困り果ててしまい、仕方なく強行突破に出ようとした瞬間。
とっさに腕を引っ張られて、一気に結衣さんへと近付ける。
そう誘導したのはあの阿辺君で、裏があるんじゃないかと疑わずにはいられなかった。
「……どういう風の吹き回し?」
「普通に酷いだろ、それ。……どういうもこういうも、さっさと湖宮のとこ行けば? 好きな女が下心ありの奴に囲まれてんの、嫌だろ。」
「それはそうだね。ありがとう。」
「そりゃどーも。」
なんだか、阿辺君変わったな。
俺はふと、そう抱いた。
具体的にと問われれば困るけど、どこか棘が取れたような。
……だけどきっと、ライバルにはなるだろうな。
あの目、結衣さんに惚れてる。間違ってはないはずだ。
だからこそ阿辺君は、俺の手助けをしてくれたのかな……なんて、ね。
「結衣さん。」
「っ、か、秦斗君っ……!」
俺が名前を呼ぶと同時に、視界に結衣さんが入る。
……途端に俺は、遊園地の時の待ち合わせと同じように声が出なくなってしまった。
あー……、もうこれ以上俺を困らせないでほしいな。
結衣さんはいつもの、地味な感じではなかった。
髪を整え、うっすらと紅潮している頬。
だけどそこまでは、まだ大丈夫。
結衣さんが可愛いのは分かってる。そんなの、痛いくらい分かってるから。
「結衣さん、ちょっといいかな?」
「秦斗君? わっ……!」
俺は一言だけ呟き、強い力で結衣さんとその場を離れる。
……結衣さんの可愛さは、充分すぎるくらい身に沁みてるから。
――お願いだからそんな、メガネを外した状態で笑顔を見せないで。
まだ人気が少ないであろうところまで移動してきて、ふぅ……と息を吐く。
ここなら、とりあえずは大丈夫だろう。こんなところまで追ってくる人なんていないだろうしな……。
そんな執念深すぎる人がいないようにと思いながら、俺は結衣さんに謝罪の言葉を伝えた。
「結衣さんごめんね。ここまで連れてきちゃって。」
「謝らないでっ……! むしろ助かっちゃったよっ。実はちょっと、あの場にいるの怖かったんだ。」
慌てた様子の結衣さんは笑顔でそう言って、その後に苦笑して眉の端を下げる。
そういえば、結衣さんは人と関わることが苦手だとも教えてくれた。
だったらあの人の数は、さすがに応えただろう。
俺でも、あんな大人数に囲まれたら戸惑ってしまう。
「結衣さん、どうして今日はメガネをかけてないの?」
気持ちが落ち着いてから、俺はすぐさま話を切り出した。
いろいろ聞きたい事はあるけど、一番はまずそれだ。
今の結衣さんは、誰よりも可愛くて心臓が止まってしまいそうなほど。
結衣さんには耐性がついた……なんて勝手に思っていたかもしれないけど、全然そんな事なかった。
もう本当に、可愛すぎる……。
もちろん俺はメガネをつけている状態の結衣さんから好きになったから、どんな結衣さんでも愛おしい。
……でも、これはダメだろ……っ。
ぐるぐると、当てるあてもない気持ちを懸命に押し込めようと努める。
そんな中結衣さんは、ゆっくりとおぼつかない様子で言葉を紡ぎだした。
「私、秦斗君に釣り合うような人になりたかったのっ……。メガネは、この前の遊園地で少し耐性がついてたみたいで……だから今日からは、頑張って外してみようって思ったんだっ……!」
無邪気な笑顔を浮かべ、照れたように頬を染める結衣さん。
……ダメだ、可愛さが尋常じゃない。
ここが学校じゃなかったら、本能的に抱きしめていただろう。
だから代わりに、こんな言葉を口にした。
「結衣さんはどんな姿でも可愛い。可愛すぎるよ。」
「えっ……?」
「……可愛すぎるから、これ以上、結衣さんのことを好きにさせないで。」
また、溺れてしまうから。それこそ、自力では戻ってこれないほどに。
そうじゃなきゃ、俺はどんな手を使ってしまうか分かったものじゃない。
独占欲というものが強い俺は、溺れて戻れなくなったら結衣さんに何をしでかすか予想ができない。
まだ抑えられているほうだけど、流石にこれ以上は。
……俺自身が、もたない。
「それは……いや、嫌だよ……私は……」
……え?
「結衣さん?」
「わ、私は――」
――キーンコーンカーンコーン
結衣さんが何かを言いかけたと同時に、大きなチャイムの音が響く。
まぁ、時間的にも仕方ないか……俺が結衣さんを連れてここに来たのは、ホームルームが始まる数分前だったし。
結衣さんの言葉が気にならないと言えば、それは嘘になる。
ホームルームを無視して、結衣さんの話を聞きたいとも思うし。
けど俺のエゴで、結衣さんに何か悪影響があると思ったら……それだけは絶対、いけないから。
「結衣さん、そろそろ戻ろうか。ここまで連れてきちゃって、本当にごめんね。」
俺は言葉に出し、視線を結衣さんから外そうとする。
……その時に結衣さんが、俺にこう言ってきた。
「か、秦斗君、今日は一緒に、帰れるからっ……その、一緒に帰っても、いい……?」
一瞬、意味が理解できなかった。
だって結衣さんからそんなこと言ってくるなんて、思ってなかったものだから。
いつも人に遠慮して、自分の気持ちを押し殺してしまいそうな結衣さん。
……嬉しくないはずが、ない。
結衣さんからそう言ってもらえるなんて、俺も少しは信用してもらえているのかな。
この前勢いあまって告白をしてしまったから、関係はこじれるかと内心怯えていた。
だけど結衣さんが自分からこうして言ってくれるっていう事は……信用されてるかも、って自惚れてもいいんだよね。
「もちろん。」
「あ、ありがとうっ!」
そんな事でお礼なんて、いらないのに。
結衣さんは律儀すぎて、逆に心配になる。
いや……心配になる要素が多すぎる。
お人好しで優しいところも、何に対しても丁寧なところも。一つ一つが愛おしいところや、すぐに丸め込まれるところだって。
挙げだしたらキリがない。
だからこそ、俺が守らなきゃいけないんだ。
……そんな使命感は、結衣さんにとっては迷惑かもしれない。
それでも俺は、結衣さんをそれくらい想っているから。
せめて傍で見守る事だけは、許してほしい。例え結衣さんが、俺のことをどう思っていようが。
――俺は誰よりも、結衣さんを好きでいるから。
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