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第1章
2話 RaizinG Hope
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午前四時。
全国の女性にこの想いを伝えたい。
空手と同様、馬鹿力も身につけても何ら有効活用できることはない、と。
A市でもド田舎な茶玲町だけど、私は嫌いじゃない。ただ公共の交通手段はバスしかないのが死ぬほど不便で、実家が都会の私にとって茶玲町での生活は華やかさとは無縁だった。
でも町の人たちはいい人ばっかで、滅多に家族と会えなくなってもホームシックになったことは一度もなかった。
「遥香、着いたぞ。」
「はい!サクッとやっちゃいましょ!」
私、香坂遥香は相澤先輩に声をかけられて、送迎車から降りる。今日の舞台は流部町。東地域の半径100m内に、「感染者」がいる。
「センサーの反応だと、一体だけのようですね……二手に分かれましょう。」
特別隊隊長の黒咲さんが提案してきた。
「賛成です!じゃあ私一丁目行きますんで先輩方は三丁目からお願いします!」
「そうしよう。黒咲さんたちは遥香と、残りは俺と来てくれ。」
やっぱ先輩頼りになるなぁ~と思った。けど褒められるのに慣れていない先輩に口には出さず、私は駆け出した。
この町には一年前、巨大な衝突体が降って来て、甚大な被害が出た。
そして何ともヤバいことに……
その衝突体には人間に感染もとい寄生して暴走する生き物が付着していたのだった!!!!!いや本気だよ?
Gyyyyyyyyaaaaaaaaaaaaaaaasss!!!!!!!
うるさっ。
「あそこです!あの肉屋の中です!恐らく店主の方に寄生しているのではないかと……」
機動隊の方が報告に来てくれた。なるほど、タンパク質摂取には絶好の場である。
しばらくすると、生臭さや硝煙とともにそいつは姿を現した。
Grrruuuuu....
大体3mくらい?
全身漆塗りみたいな黒にまばゆいラメ見たいな身体中の光。脚は4本足で昆虫みたいな感じで胴体が長い。
背筋いいなこいつ……
んでカマキリみたいな腕。左腕は、これ多分出刃包丁?肉屋だからかな……?
「相澤さんに連絡しました!」
この位なら一人でもやれそうだけど
「サンキュー黒咲さん!でも先輩来る前に片付けちゃうよーー!!!」
私も寄生されかけた一人だった。だけど先輩が必死に助けてくれたおかげで、今こうして生きている。これ以上被害を増やさないためにも、そして何より私と違って喰われてしまった御手洗ちゃんのためにも…
着ていた上着やスカートを脱ぎ捨てて、スポーティな服装に早変わりした私は、右太ももに真っ白なバングルを巻きつける。
ポケットから腕時計の文字盤くらいの、丸いカプセルを取り出して右手に握り、人差し指でスイッチを押し起動する。
[Lightning Street!!!]
膝立ちになり、そのままカプセルを右足のバングルにはめ込むと、チクっとした痛みが登って来る。このバングルから打ち込まれる注射針には、未だに慣れない。
[YES,Ser!!! Ready?]
サイバーな待機音が鳴る
音いる?と初めは思ったがもう慣れた
カプセルを捻りながら
大きく息を吸って、力一杯声を出す
スーッ…
「リバイブ!!!!!」
[Started to REVIVE!!!!!]
音声と共に私の体から、水たまりが一瞬で蒸発するほどの熱が上がる。陽炎で目の前がグニャグニャと歪むこの感じは気持ち悪くて嫌いだ。胃や心臓、指先に眼球、あらゆる所からもの凄い暑さと、感電したような(というかしてる)痙攣を感じる。「そいつ」が、私の中を這って出てくる。
額に二本、両腕に七対、背中や両脚にもいっぱいに生えるスパイク。視点がやたら高く、そして両腕も脇が締まらないほどに太く、硬くなっていく。
高圧電流が全身を駆け巡り、大気が震えている音が聞こえてくる。
五秒としないうち
私の体は醜く黒光りしたもの……
少なくとも自分の知ってる人間の姿ではなくなった。
「リバイブ完了_____Lightning Street」
全国の女性にこの想いを伝えたい。
空手と同様、馬鹿力も身につけても何ら有効活用できることはない、と。
A市でもド田舎な茶玲町だけど、私は嫌いじゃない。ただ公共の交通手段はバスしかないのが死ぬほど不便で、実家が都会の私にとって茶玲町での生活は華やかさとは無縁だった。
でも町の人たちはいい人ばっかで、滅多に家族と会えなくなってもホームシックになったことは一度もなかった。
「遥香、着いたぞ。」
「はい!サクッとやっちゃいましょ!」
私、香坂遥香は相澤先輩に声をかけられて、送迎車から降りる。今日の舞台は流部町。東地域の半径100m内に、「感染者」がいる。
「センサーの反応だと、一体だけのようですね……二手に分かれましょう。」
特別隊隊長の黒咲さんが提案してきた。
「賛成です!じゃあ私一丁目行きますんで先輩方は三丁目からお願いします!」
「そうしよう。黒咲さんたちは遥香と、残りは俺と来てくれ。」
やっぱ先輩頼りになるなぁ~と思った。けど褒められるのに慣れていない先輩に口には出さず、私は駆け出した。
この町には一年前、巨大な衝突体が降って来て、甚大な被害が出た。
そして何ともヤバいことに……
その衝突体には人間に感染もとい寄生して暴走する生き物が付着していたのだった!!!!!いや本気だよ?
Gyyyyyyyyaaaaaaaaaaaaaaaasss!!!!!!!
うるさっ。
「あそこです!あの肉屋の中です!恐らく店主の方に寄生しているのではないかと……」
機動隊の方が報告に来てくれた。なるほど、タンパク質摂取には絶好の場である。
しばらくすると、生臭さや硝煙とともにそいつは姿を現した。
Grrruuuuu....
大体3mくらい?
全身漆塗りみたいな黒にまばゆいラメ見たいな身体中の光。脚は4本足で昆虫みたいな感じで胴体が長い。
背筋いいなこいつ……
んでカマキリみたいな腕。左腕は、これ多分出刃包丁?肉屋だからかな……?
「相澤さんに連絡しました!」
この位なら一人でもやれそうだけど
「サンキュー黒咲さん!でも先輩来る前に片付けちゃうよーー!!!」
私も寄生されかけた一人だった。だけど先輩が必死に助けてくれたおかげで、今こうして生きている。これ以上被害を増やさないためにも、そして何より私と違って喰われてしまった御手洗ちゃんのためにも…
着ていた上着やスカートを脱ぎ捨てて、スポーティな服装に早変わりした私は、右太ももに真っ白なバングルを巻きつける。
ポケットから腕時計の文字盤くらいの、丸いカプセルを取り出して右手に握り、人差し指でスイッチを押し起動する。
[Lightning Street!!!]
膝立ちになり、そのままカプセルを右足のバングルにはめ込むと、チクっとした痛みが登って来る。このバングルから打ち込まれる注射針には、未だに慣れない。
[YES,Ser!!! Ready?]
サイバーな待機音が鳴る
音いる?と初めは思ったがもう慣れた
カプセルを捻りながら
大きく息を吸って、力一杯声を出す
スーッ…
「リバイブ!!!!!」
[Started to REVIVE!!!!!]
音声と共に私の体から、水たまりが一瞬で蒸発するほどの熱が上がる。陽炎で目の前がグニャグニャと歪むこの感じは気持ち悪くて嫌いだ。胃や心臓、指先に眼球、あらゆる所からもの凄い暑さと、感電したような(というかしてる)痙攣を感じる。「そいつ」が、私の中を這って出てくる。
額に二本、両腕に七対、背中や両脚にもいっぱいに生えるスパイク。視点がやたら高く、そして両腕も脇が締まらないほどに太く、硬くなっていく。
高圧電流が全身を駆け巡り、大気が震えている音が聞こえてくる。
五秒としないうち
私の体は醜く黒光りしたもの……
少なくとも自分の知ってる人間の姿ではなくなった。
「リバイブ完了_____Lightning Street」
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