悲劇の聖女は優しい夫に取り入りたい〜敵国の聖女が優し過ぎる夫の愛を独占するまで〜

 聖女とは、人智を超えた神聖力で全ての傷を癒やす女神の生まれ変わり。ラディノ帝国の民は聖女を崇拝し、聖女はその信仰心に応えるように人々に癒やしを与える。
 
 第二聖女・アストレアは民の前では慈愛に満ちた無邪気な少女として振る舞いながらも、裏では皇太子からの暴力に耐える日々を送っていた。

 しかしある時帝国と深い因縁を持つグラース王国の王弟との縁談が持ち上がる。
 
 皇太子から逃げる為喜んで王弟との婚約を受け入れるアストレアだが皇太子は「目的が果たされれば直ぐにでも離縁される」と確信めいた様子で言い放った。

 それならば『目的』とやらが果たされる前に自分の利用価値を示せば良い。

 そんなアストレアの作戦も虚しく、グラース王国の民のアストレアに対する根深い憎悪は簡単には覆らない。

 絶望的な状況で、夫であるユリシスがアストレアに対して比較的好意的であることだけが唯一の希望だった。
 皆にするのと同じように平等に優しく接してくる夫。もう私にできるのは、夫に取り入ることだけだ!

✽一部暴力的な描写が含まれます(性的描写含む)

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