書道教師はクールな御曹司に甘く手ほどきされました

水田歩 

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友と酒を酌み交わす〜松代サイド〜

1.

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 仁那と松代の想いがようやく重なり合った数週間後。
 親友同士は酒を酌み交わしていた。
 
 松代が袋田に向かって啖呵を切ったあの夜、嬉しそうだった親友は、この日はむすっとしている。
 
「お前が仁那の教室を断ってくれて、本当はほっとしたんだ。なのに勝手に探しだした挙句、くっつくとは……!」

 袋田の言葉は悔しそうでもあり、安心したようでもある。
 
「どうせなら、俺が二人を引き合わせたかったのに。……だが、俺の大事な妹を、お前とはいえ野郎が抱くかと思うと。……いやいや、あいつに女の歓びを教えてやりたいけど、俺には教えてやれないし」

 例によって、ぶつぶつ言い出す。
 
「よかった。『俺が教えてやりたかったのに』って言われたら、殺すところだった」

 松代はさらりと物騒な言葉を返しながら、バーテンダーに友の酒を追加注文した。
 
 彼にも姉がいるから、親友の気持ちがわからなくはない。
 縄張り意識なのか、自分の身内の女を抱く男には複雑な気持ちになる。
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