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花押は愛のあかし
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「え? ……ああ」
松代は夢から覚めた人のように呟いた。
「君の名前からもらおうと思っている」
「わたしの名前を?」
彼女は胸が高まるのを止められなかった。
大抵は己の名前の一文字から考案する。
他人の名前から考えるなど、滅多にない。
彼女には、これ以上の愛の告白は想像できなかった。
しかし、問題があった。
「……変えない人がいない訳じゃないですけど。他人の名前を使うのは一般的ではないです」
「仁那は他人じゃないし。一生、変えないつもりはない」
――武臣さんの言葉にいちいち反応しちゃうの、わたしの経験値が浅いからだよね……。
仁那は舞い上がってしまいそうな自分を必死になだめる。
「協会に登録しちゃうんですよ?」
恋愛についてネガティブな彼女は、万が一、別れたあとのことを考えてしまう。
戸籍と一緒で、変えたらわかってしまうのだ。
はからずも。
松代は夢から覚めた人のように呟いた。
「君の名前からもらおうと思っている」
「わたしの名前を?」
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――武臣さんの言葉にいちいち反応しちゃうの、わたしの経験値が浅いからだよね……。
仁那は舞い上がってしまいそうな自分を必死になだめる。
「協会に登録しちゃうんですよ?」
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戸籍と一緒で、変えたらわかってしまうのだ。
はからずも。
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