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第一章 過去編
【結婚式の、流石に4年前~第1回目ハジメテ~】⭐︎
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私は大学を無事卒業し、念願だった乳児院に勤めていた。
一方の透也君は大学に入るなり、セーブしていた実力をいかんなく発揮しはじめた。
色々起業もしていたようだし、グループ企業も任されているようで、有能な実業家と認識されつつあった。
透也君が二十歳を迎える年のグループ総会で、次期総帥と正式に認められた。
そのあと彼は再び私に永遠の愛を乞うてくれ、私達は正式に婚約者同士となった。
――結婚後は総帥夫人としての仕事が増える為、養護教諭の仕事を辞めることになっている。
不安もあるし、大好きな仕事を手放す寂しさはある。だけど透也君を愛しているから、彼を支えようと思った。
が。
私はまごう事なき庶民。
セレブの約束ごとなんて知らない。
働きつつ、彼が私のことで恥をかかないように家庭教師をつけてもらって上流階級のことを勉強しはじめたんだけど。
「……あれ?」
ふたを開けてみればお茶もお華も、日舞もダンスも。外国語に乗馬にスキーにゴルフ、護身術。
『円佳ちゃん、一緒にやろうよ』と透也君に誘われて、小学生に入る前からしていたことだった。
世界経済についてや対人スキルも、さりげなく透也君が私とのお茶をするときにお喋りしていたことだった。
――彼に導かれていた。
透也君はプロポーズの言葉とおり、私が居心地悪くないように、全ての道をととのえてくれている。
彼への好き、という気持ちがたくさん生まれた。なのに、この気持ちを透也君にぶつけたいのにかなわない。
……というのもな・ぜ・かっ!
相変わらず、キスどまりの清い交際だったんである!
「あの十五の日からたっぷり八年経ってるんですけど」
シャワーを浴びながら私はつぶやいた。
「透也君の性欲がなくなったわけではないだろうし……」
『エッチとはなんぞや』ってことは知っている……と思う。
キスをしながら、手があやしい動きもすることもあったし。
密着すれば息も荒くなって、心臓の動きも激しくなっていたし。
その……、スラックスのファスナーあたりがぱつんぱつんになっていたのも感じられていたし。
就職してから私が長期休暇取りづらくなっちゃったけど、それでも年に一回くらいは海外に連れていってもらってるのに。
「なんで……? 異国情緒は性欲に影響を及ぼさないのかな」
うーんむ。
透也君めぇ~、どれだけ我慢プレイ好きか!
やっぱりどこかでリビドーを解消して(以下略)
――彼のことだから、エッチするタイミングも考えていたのだろうけど、私にはSEXデー違った、Xデーがいつなのかは教えてもらえなかった。
私から手を出せない以上、『マテ』をするしかない。
「ここまできたら、まさかの『リアル』ヴァージンロードなの?」
『押し倒しちゃえばいいのに。透也君は拒まないわよ』
奔放な本能が私にささやく。
『法律は守らなきゃだめでしょ! ……それに、透也君に拒まれたらどうするの?』
優等生な理性が性欲をたしなめてきて、私はしぶしぶ従ってきた。
けれど。
「限界だなぁ……。透也くぅーん、エッチしたいよぅ」
私は天井を仰いで呻き、その拍子に水滴を吸い込んで、むせた。
悶々としつつ、透也君の二十歳の誕生日。
珍しくオフだと言う彼のために、お誕生日パーティを開くべく、嘉島の屋敷で張り切っていると。
「二十歳になったから、円佳ちゃんのハジメテを僕にください」
あらたまった表情の透也君からお願いされた。
もう、心の中ではガッツポーズ六連発のあいまに万歳三唱を三セット繰り返したよね。
しかーし!
『なんで、私がヴァージンだと決めつけてるのよ! 体が寂しくて透也君の知らない誰かと、とっくに処女喪失していたとか思わないわけ? どんだけ自信満々か!』
見栄を張ってやると思わないでもなかった。
でも念願の透也君との初エッチに、怒りなんて吹っ飛んでしまった。
私がファーストキスのときよりも激しく頷くと、透也君に高級ホテルのスイートルームに連れて行かれた。
ガチガチに緊張しまくっている私を彼はひょいと抱き上げた。
すたすたと歩いたあと、ぽすりとソファに横たえられる。
上から覗き込んでくる透也君は艶を含んだ笑みを浮かべていて、壮絶に色っぽい。
この人とこれからあんなことやこんなことをしちゃうんだ……と想像しただけで、鼻血が出そうになった。
「真っ赤な顔をしちゃって。キスをねだってるの? 円佳ちゃん、可愛い」
優しい声で唇を食まれてしまった。
「ふ、ぅん……」
自分の鼻から抜ける声を聞きながら、私達キスが上手くなったもんだな、と思った。
「舌を出して」
言われたとおりにすると、ちゅうと吸われた。探るように、透也君の舌が口の中に入り込んでくる。
くちゅくちゅと音をさせながら、私達は舌を絡ませあった。
飲み下せない唾液があふれたのを彼の唇が辿っていく。
透也君にきつく鎖骨を吸い上げられ、胸を揉み込まれて、私は小さな悲鳴をあげた。
は、と透也君が体をはなす。
荒い息のなか、私と彼は見つめあった。
やがて透也君は、ふうーと大きく息を吐き出すと、私の髪を撫でた。
「お風呂、入ってきなよ」
掠れ声で言われ、私はゆっくり起き上がった。
力のはいらない足をなんとか動かし、洗面所にたどりついて、震える手で洋服を脱いだ。
バスルームに入ってシャワーを浴び、三・四人は浸かれそうな浴槽に身を沈める。
緊張と期待に心臓はドキドキしていた。
入れ替わりで彼がバスルームに入っていく。
ベッドに寝ているべきなのか、わからない。
とりあえずベッドに座って所在なく眼をうろつかせていると、透也君があっというまに出てきた。
バスローブを着込んだ私と違って、腰にバスタオルしか巻いてない。
あれ。
バスローブ、二着あったよね?て考えているうちに、押し倒されていた。
ポタポタと雫が落ちてきたので見上げれば、透也君の髪から水滴が落ちてくる。
ドライヤーを使わなかったらしい。
手を回してみれば、背中も胸も脚も拭ききれていないようだった。
ねえや根性が出てきて、自分の髪を拭いたタオルで透也君の頭をこすってあげようと両手を伸ばしたら、左右とも手首を掴まれた。
気づけば彼が余裕のない表情をしていて、私の体温も一気にあがっていく。
「ごめん、もう待ってあげられない」
透也君の言葉に、いよいよだと観念した私は頷いた。
一方の透也君は大学に入るなり、セーブしていた実力をいかんなく発揮しはじめた。
色々起業もしていたようだし、グループ企業も任されているようで、有能な実業家と認識されつつあった。
透也君が二十歳を迎える年のグループ総会で、次期総帥と正式に認められた。
そのあと彼は再び私に永遠の愛を乞うてくれ、私達は正式に婚約者同士となった。
――結婚後は総帥夫人としての仕事が増える為、養護教諭の仕事を辞めることになっている。
不安もあるし、大好きな仕事を手放す寂しさはある。だけど透也君を愛しているから、彼を支えようと思った。
が。
私はまごう事なき庶民。
セレブの約束ごとなんて知らない。
働きつつ、彼が私のことで恥をかかないように家庭教師をつけてもらって上流階級のことを勉強しはじめたんだけど。
「……あれ?」
ふたを開けてみればお茶もお華も、日舞もダンスも。外国語に乗馬にスキーにゴルフ、護身術。
『円佳ちゃん、一緒にやろうよ』と透也君に誘われて、小学生に入る前からしていたことだった。
世界経済についてや対人スキルも、さりげなく透也君が私とのお茶をするときにお喋りしていたことだった。
――彼に導かれていた。
透也君はプロポーズの言葉とおり、私が居心地悪くないように、全ての道をととのえてくれている。
彼への好き、という気持ちがたくさん生まれた。なのに、この気持ちを透也君にぶつけたいのにかなわない。
……というのもな・ぜ・かっ!
相変わらず、キスどまりの清い交際だったんである!
「あの十五の日からたっぷり八年経ってるんですけど」
シャワーを浴びながら私はつぶやいた。
「透也君の性欲がなくなったわけではないだろうし……」
『エッチとはなんぞや』ってことは知っている……と思う。
キスをしながら、手があやしい動きもすることもあったし。
密着すれば息も荒くなって、心臓の動きも激しくなっていたし。
その……、スラックスのファスナーあたりがぱつんぱつんになっていたのも感じられていたし。
就職してから私が長期休暇取りづらくなっちゃったけど、それでも年に一回くらいは海外に連れていってもらってるのに。
「なんで……? 異国情緒は性欲に影響を及ぼさないのかな」
うーんむ。
透也君めぇ~、どれだけ我慢プレイ好きか!
やっぱりどこかでリビドーを解消して(以下略)
――彼のことだから、エッチするタイミングも考えていたのだろうけど、私にはSEXデー違った、Xデーがいつなのかは教えてもらえなかった。
私から手を出せない以上、『マテ』をするしかない。
「ここまできたら、まさかの『リアル』ヴァージンロードなの?」
『押し倒しちゃえばいいのに。透也君は拒まないわよ』
奔放な本能が私にささやく。
『法律は守らなきゃだめでしょ! ……それに、透也君に拒まれたらどうするの?』
優等生な理性が性欲をたしなめてきて、私はしぶしぶ従ってきた。
けれど。
「限界だなぁ……。透也くぅーん、エッチしたいよぅ」
私は天井を仰いで呻き、その拍子に水滴を吸い込んで、むせた。
悶々としつつ、透也君の二十歳の誕生日。
珍しくオフだと言う彼のために、お誕生日パーティを開くべく、嘉島の屋敷で張り切っていると。
「二十歳になったから、円佳ちゃんのハジメテを僕にください」
あらたまった表情の透也君からお願いされた。
もう、心の中ではガッツポーズ六連発のあいまに万歳三唱を三セット繰り返したよね。
しかーし!
『なんで、私がヴァージンだと決めつけてるのよ! 体が寂しくて透也君の知らない誰かと、とっくに処女喪失していたとか思わないわけ? どんだけ自信満々か!』
見栄を張ってやると思わないでもなかった。
でも念願の透也君との初エッチに、怒りなんて吹っ飛んでしまった。
私がファーストキスのときよりも激しく頷くと、透也君に高級ホテルのスイートルームに連れて行かれた。
ガチガチに緊張しまくっている私を彼はひょいと抱き上げた。
すたすたと歩いたあと、ぽすりとソファに横たえられる。
上から覗き込んでくる透也君は艶を含んだ笑みを浮かべていて、壮絶に色っぽい。
この人とこれからあんなことやこんなことをしちゃうんだ……と想像しただけで、鼻血が出そうになった。
「真っ赤な顔をしちゃって。キスをねだってるの? 円佳ちゃん、可愛い」
優しい声で唇を食まれてしまった。
「ふ、ぅん……」
自分の鼻から抜ける声を聞きながら、私達キスが上手くなったもんだな、と思った。
「舌を出して」
言われたとおりにすると、ちゅうと吸われた。探るように、透也君の舌が口の中に入り込んでくる。
くちゅくちゅと音をさせながら、私達は舌を絡ませあった。
飲み下せない唾液があふれたのを彼の唇が辿っていく。
透也君にきつく鎖骨を吸い上げられ、胸を揉み込まれて、私は小さな悲鳴をあげた。
は、と透也君が体をはなす。
荒い息のなか、私と彼は見つめあった。
やがて透也君は、ふうーと大きく息を吐き出すと、私の髪を撫でた。
「お風呂、入ってきなよ」
掠れ声で言われ、私はゆっくり起き上がった。
力のはいらない足をなんとか動かし、洗面所にたどりついて、震える手で洋服を脱いだ。
バスルームに入ってシャワーを浴び、三・四人は浸かれそうな浴槽に身を沈める。
緊張と期待に心臓はドキドキしていた。
入れ替わりで彼がバスルームに入っていく。
ベッドに寝ているべきなのか、わからない。
とりあえずベッドに座って所在なく眼をうろつかせていると、透也君があっというまに出てきた。
バスローブを着込んだ私と違って、腰にバスタオルしか巻いてない。
あれ。
バスローブ、二着あったよね?て考えているうちに、押し倒されていた。
ポタポタと雫が落ちてきたので見上げれば、透也君の髪から水滴が落ちてくる。
ドライヤーを使わなかったらしい。
手を回してみれば、背中も胸も脚も拭ききれていないようだった。
ねえや根性が出てきて、自分の髪を拭いたタオルで透也君の頭をこすってあげようと両手を伸ばしたら、左右とも手首を掴まれた。
気づけば彼が余裕のない表情をしていて、私の体温も一気にあがっていく。
「ごめん、もう待ってあげられない」
透也君の言葉に、いよいよだと観念した私は頷いた。
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