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少年の唇から零れた言葉は、とても綺麗な旋律だった。



ーー聖歌みたい。一度だけ聴いたことがあるが、今でもあの日聴いたものが、耳に心地よく残っている。



『誘え導け。夜色の使徒よ。

万物の理は我にあり。

満たせ注げ、源を潤せ。

永遠にとどまれ』



美しい蒼い光がスマホを包み込む。しかし、それは一瞬のことで、すぐに消えてしまった。



一体何が起きたの……? 説明を求めるように少年を見ると、眉間に皺を寄せながらも答えてくれた。




「この世界にいる間は、それは源が失われてもゼロにはならない。つまりーーお前が心配するようなことはなくなったってことだ」



「……マジですか」

「嘘ついてどうする。めんどくさい奴だな」

「魔法みたい」

「はいはい」


取り合う気はまったくないらしく、そっぽを向いてしまった。どうしたらこんな可愛げのない風に育つのか。親はかなり苦労したんじゃないかーーと、勝手に変な方向で心配をする。


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