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「そうそう、この声が姫様の猫ホワイトショコラ……」


アヤメがそう言いかけーーバッと辺りを見回す。しかしその辺には見当たらず、また声は途絶えてしまった。



「ホワイトショコラ……?」


「言いたいことはわかる。美味しそうな名前だよね」


「そこじゃないんだけど」


「姫様のおやつでホワイトショコラティーを出したとき、大変気に入られたみたいでな。そのせいかもしれない」


「そこでもない」


「見た目は真っ白なふわふわな猫だ。首には薔薇をあしらった首輪をしている。姫様にはごろ甘だが、騎士には特に厳しい。しかし、シトラス隊長だけは別格らしい」


「へー。姫になついてても逃げるんだ」


暁が感心したように言う。いっそ姫か、隊長が探せばいいようなーーとも思ったが、あえて口にはしない。

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