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5章 ロゼッタ
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しおりを挟むそんな悠長な事をしていたせいであっという間にウルフ達に囲まれてしまった。
先行隊を倒されたと気付くいなや歯を剥き出しにして唸っている。
数にして30頭ほど。
これだけの数を一度に相手をするには並々ならぬ力量が必須である。
ロゼッタの魔法攻撃ならば不可能では無い。
しかし詠唱中にウルフから攻撃されるのは目に見えている。
俺はサポーターとしての仕事しか出来ない為、時間を稼ぐ事すら出来ない。
今はまだ警戒して襲って来ないが、それも時間の問題だろう。
ならばなるべく一度に多く、さらに早く討伐しなければならない。
その方法も実は思い浮かんでいる。
成功するかはギャンブルだが、試さない訳にはいかない。
「ここは気合をいれるか...」
「何か言ったのじゃ?」
「ふふふっ... ロゼッタはまだ見ぬ真髄への領域に足を運んで無いようだな」
「な、何を言っておるのじゃ?」
「まだ覚醒の境地に立っていないって言ってるんだよ」
俺はそう言いながら腕を組み始める。
そして片手で顔を覆う。
厨ニ病が好きそうな格好だ。
げんにロゼッタは目を輝かしながら俺を見ている。
正直こんな事恥ずかしいが、命の危険に晒されてるなら仕方ない。
「俺はその極地に行く事が出来る。 そしてロゼッタ、お前にもその景色を見せる事も可能だ」
「どうすれば良いのだ!?」
「簡単さ。 右目の色を金色に変えるのだ」
「色を変える...」
これはただのトリガーに過ぎない。
別に目の色を変える必要も無いが、まずは思い込む事が大切だ。
ロゼッタのスキルは厨ニ病。
それを逆手に取る。
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