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明星/カラスの北斗七星 編
43.吸血鬼ルカ
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祭壇から戻ってきたルカは、どこか嬉しそうだった。
私達がケルベロスをここに返したことで、彼女の心が少しでも明るくなれたのなら良かった。
「皆さん、本当にありがとうございました。その……よかったら、お礼をしたいので……うちで、お食事でもしていかれませんか?」
「え、いいの?」
特に断る理由も無ければ、恐らく久しぶりの来客で少し楽しそうなルカの気持ちを無碍には出来ないので、私達は彼女の住む館へとお邪魔する事になった。
それに、ルカには聞きたいことも沢山ある。
「どうぞ、ボクは今ある材料で何か作ってきます! 簡単なものですが……」
「アタシも料理得意だから手伝うよ!」
館に着いて早々、ルカとシャロはキッチンの方へと行ってしまった。
残された私とシルビアは、他愛のない会話をしながら壁に沢山掛けられた絵を眺めている。
「そういえばさ、この絵って誰が描いたやつなんだろうね?」
「ロスヴァリスにいた画家なのかな? 凄く綺麗な絵……雰囲気は全部似てるけど、魔物の絵は可愛らしく描かれてて、私これ好きかも」
可能ならば、この絵を買い取って部屋に飾りたいぐらいだ。
とは言っても、今の私はシルビアの家に居候している状態だけど……
そうして暫く時間を潰していると、料理ができたとシャロが呼びに来たので、私とシルビアはダイニングルームへと向かった。
部屋はこぢんまりしていて、テーブルには家庭的な料理が並べられている。
「すごい、この食糧はどこで手に入れたの?」
「野菜や果物は、魔物達に栽培方法を教えたんです。肉や魚などの食材は、時々ウィリディスや外の川で獲ってます」
私の問いに、ルカは楽しげな顔でそう話した。
料理が出来る人って羨ましい。
私はやったことが無いだけで、やれば出来るかもしれない。
今度、シャロに教えてもらおうかな。
「さぁ、皆さん遠慮なく召し上がってください!」
「うん、ありがとう」
それから四人で食事を始め、私達はルカからブライトの情報や、ルカ自身の話も聞かせて貰っていた。
ブライトに関しては、コボルト達から聞いた話と殆ど同じだった。
祭壇に近付いたブライトとフルーレに接触したルカだったが、圧倒的な魔物の数と絶え間ない空間魔法攻撃に押されてしまい、その際に右腕を負傷したのだと言う。
それから傷を癒すために館の中で眠っていたところ、私達が此処へやってきたとのことだった。
「ルカ達吸血鬼は、いつからロスヴァリスに住んでたの?」
「ボクが生まれるよりずっと昔です。ボクは物心ついた時からロスヴァリスの人々や魔物達と一緒に暮らしていたので、それより前のことはあんまり気にしたこと無かったなぁ。それに、500年も生きてると忘れちゃうことも多いんですよね」
ルカはそう言って苦笑した。
500年か……吸血鬼の寿命が長いことは知っていたけれど、シャロやシルビアよりも幼い見た目をしておきながら、私よりも圧倒的に年長者だなんて、信じ難い。
それはシャロとシルビアも同じようで、二人とも大袈裟に驚いている。
ルカの母親は少し身体の弱い人だったらしく、ルカが100歳ぐらいになった頃に、その数年前に亡くなった祖父の後を追うように母親も亡くなってしまったらしい。
それからは人間の父親が面倒を見てくれていたが、人間の寿命は非常に短い。
ついに一人になってしまったルカは、近所に住んでいたカルムという女性と共に館で暮らしたのだと言う。
ここで、一つ疑問に思ったことがある。
吸血鬼ならば、その気になれば吸血によって眷属を増やせるはずだ。
国の人々はルカ達に食事としての血を分けてはくれていたらしいけれど、一人も眷属にはしていなかった。
それをルカに訊ねたところ、こんな答えが返ってきた。
「眷属を作るのは簡単ですが、眷属になった吸血鬼はボクたちオリジナルと違い、吸血をしなければ飢えてしまいます。オリジナルはある程度であれば吸血無しでも飢えたりしませんが、眷属には飢えの苦しみ、そして太陽の下に出られないという苦しみもあります。そんな苦しみを、人族の皆さんには感じて欲しくなかったんです」
ルカ達の一族は、そうやってこのロスヴァリスの人々と友好的な関係を築いてきたんだ。
彼女から感じる雰囲気で分かってはいたけれど、やっぱり優しい子なんだな。
だからこそ、ルカはカルムが人として老いてしまうと知っていながらも、その最期を看取って一人になることを選んだ。
カルムという女性は、ルカにとってきっと大切な人だったのだろう。
「カルムさんのことは、彼女が幼い頃から知っていたので、妹のようでもあり姉のようでもあって、不思議な感じでした。それに、カルムさんと一緒に暮らすまではボクも普通に男子らしい服を着ていたんですけど、カルムさんはボクに女の子みたいな可愛い服ばかりをくれていたので、気付いたらそれが馴染んでしまって、今でもそういう服ばかりを着ているんです」
カルムはルカの本当の姉のような存在だったらしい。
それはそれとして、今とても聞き捨てならないことをサラッと言っていたような気がする。
え……ルカって、女の子じゃなかったの?
「待って、ルカ……ルカって、男の子?」
「あ、すみません……言い忘れてました。ボク、服はこんなですけど、男です……」
そういう事だったのか。
一人称がボクなのが少しだけ気になっていたけれど、女の子でもボクと言う子はいるだろうし、あまり気にすることでもないと思っていた。
それが、まさか男の子だったとは……仕草や口調まで女の子らしくて、全く気付かなかった。
「そっかぁ……じゃあ、ルカちゃんじゃなくてルカくんだね! よろしくね、ルカくん!」
「いやぁ、びっくりしたけどそうだったのか。確かに、ルカは顔が可愛いからそういう服が似合うな」
シャロとシルビア、相変わらず受け入れが早い。
そうしてルカはシルビアの言葉に頬を赤らめている。
「そ、そうですか……嬉しいです」
可愛い……
可能ならこれからも一緒に来て欲しいぐらいだけれど、きっと彼には此処を守る役目がある。
それに、不用意に外界へと連れ出すのはリスクが大きいかもしれない。
食事を終えた私達は、ルカに礼を言って帰りの支度をし始めた。
「そういえば、この館に飾ってある絵って誰が描いたものなの?」
私がそう訊くと、ルカは少し照れ臭そうに「ボクです」と答えた。
「え、ルカが描いたの!? すごい……此処に飾ってある絵、特に魔物の絵が私すごく好き!」
「ほ、本当ですか? その……ありがとうございます」
「絵描くの、好きなんだね」
「はい、絵を描いていると……空っぽの自分が埋めれる気がして……」
空っぽの自分とは……そういえば、ルカはあまり自分の感情について話していない。
時折嬉しそうな顔や寂しそうな顔は見せるけれど、何か悩みがあるのだろうか?
「ねぇルカ、よかったら、私達と一緒に来ない?」
自分でも、何故こんなことを言ったのかよく分からない。
けれど、何となく思ったことがある。
恐らく、ルカは自身の現状に満足していない。
絵という趣味に没頭して魔物達と暮らす今の生活は楽しいかもしれないけれど、彼はまだ自分に出来ることを探したいと、そう考えているように感じたのだ。
「それって……」
「勿論、無理にとは言わない。ロスヴァリスの魔物達やケルベロスの祭壇を守るのもルカの役目かもしれない。けど、もしルカにその気があったら、私はルカにも仲間になって欲しい。私の……勇者の仲間として!」
当然、この頼みはダメ元でのものだった。
ルカは少し俯き、葛藤している様子である。
「ボクは……呪われた血の種族、吸血鬼ルカ・ファーニュです」
彼は俯いたままで口を開き、控えめでありながらもはっきりとした口調で話す。
「ロスヴァリスの人達は優しかったけれど、吸血鬼が人族から卑下されてきた歴史は知っていました。吸血鬼である自分が嫌で、悲観的になったこともありました。今だって、ボクは本当は存在しちゃいけない種族なんじゃないかって、思ってしまうことがあります」
ルカは俯いていた顔を上げ、私の目を真っ直ぐに見た。
「だから逃げていたんです。外界と関わるのが怖くて、ずっとこの洞窟に引き篭もったまま、空っぽのまま殻に籠って生きてきました。でも、ボクは……ベリィさん達と一緒に行きたい! 空っぽの自分を変えたい! ボクに出来ることを、もっと探したいです!」
その瞬間、ルカの目付きが少し変わった気がした。
覚悟を決めた、という事なのだろうか?
何より、ルカが一緒に来ると言ってくれたのが嬉しかった。
「ありがとう、ルカ。これからよろしくね」
「よろしく、ルカくん!」
「よろしくな!」
どうやら、シャロとシルビアも賛成してくれたらしい。
「皆さん……よろしくお願いします!」
こうして、新たに吸血鬼のルカが仲間として加わった。
それからはルカに軽く荷物を纏めてもらい、私の転移魔法でシリウスのシルビア宅へと帰ったのであった。
私達がケルベロスをここに返したことで、彼女の心が少しでも明るくなれたのなら良かった。
「皆さん、本当にありがとうございました。その……よかったら、お礼をしたいので……うちで、お食事でもしていかれませんか?」
「え、いいの?」
特に断る理由も無ければ、恐らく久しぶりの来客で少し楽しそうなルカの気持ちを無碍には出来ないので、私達は彼女の住む館へとお邪魔する事になった。
それに、ルカには聞きたいことも沢山ある。
「どうぞ、ボクは今ある材料で何か作ってきます! 簡単なものですが……」
「アタシも料理得意だから手伝うよ!」
館に着いて早々、ルカとシャロはキッチンの方へと行ってしまった。
残された私とシルビアは、他愛のない会話をしながら壁に沢山掛けられた絵を眺めている。
「そういえばさ、この絵って誰が描いたやつなんだろうね?」
「ロスヴァリスにいた画家なのかな? 凄く綺麗な絵……雰囲気は全部似てるけど、魔物の絵は可愛らしく描かれてて、私これ好きかも」
可能ならば、この絵を買い取って部屋に飾りたいぐらいだ。
とは言っても、今の私はシルビアの家に居候している状態だけど……
そうして暫く時間を潰していると、料理ができたとシャロが呼びに来たので、私とシルビアはダイニングルームへと向かった。
部屋はこぢんまりしていて、テーブルには家庭的な料理が並べられている。
「すごい、この食糧はどこで手に入れたの?」
「野菜や果物は、魔物達に栽培方法を教えたんです。肉や魚などの食材は、時々ウィリディスや外の川で獲ってます」
私の問いに、ルカは楽しげな顔でそう話した。
料理が出来る人って羨ましい。
私はやったことが無いだけで、やれば出来るかもしれない。
今度、シャロに教えてもらおうかな。
「さぁ、皆さん遠慮なく召し上がってください!」
「うん、ありがとう」
それから四人で食事を始め、私達はルカからブライトの情報や、ルカ自身の話も聞かせて貰っていた。
ブライトに関しては、コボルト達から聞いた話と殆ど同じだった。
祭壇に近付いたブライトとフルーレに接触したルカだったが、圧倒的な魔物の数と絶え間ない空間魔法攻撃に押されてしまい、その際に右腕を負傷したのだと言う。
それから傷を癒すために館の中で眠っていたところ、私達が此処へやってきたとのことだった。
「ルカ達吸血鬼は、いつからロスヴァリスに住んでたの?」
「ボクが生まれるよりずっと昔です。ボクは物心ついた時からロスヴァリスの人々や魔物達と一緒に暮らしていたので、それより前のことはあんまり気にしたこと無かったなぁ。それに、500年も生きてると忘れちゃうことも多いんですよね」
ルカはそう言って苦笑した。
500年か……吸血鬼の寿命が長いことは知っていたけれど、シャロやシルビアよりも幼い見た目をしておきながら、私よりも圧倒的に年長者だなんて、信じ難い。
それはシャロとシルビアも同じようで、二人とも大袈裟に驚いている。
ルカの母親は少し身体の弱い人だったらしく、ルカが100歳ぐらいになった頃に、その数年前に亡くなった祖父の後を追うように母親も亡くなってしまったらしい。
それからは人間の父親が面倒を見てくれていたが、人間の寿命は非常に短い。
ついに一人になってしまったルカは、近所に住んでいたカルムという女性と共に館で暮らしたのだと言う。
ここで、一つ疑問に思ったことがある。
吸血鬼ならば、その気になれば吸血によって眷属を増やせるはずだ。
国の人々はルカ達に食事としての血を分けてはくれていたらしいけれど、一人も眷属にはしていなかった。
それをルカに訊ねたところ、こんな答えが返ってきた。
「眷属を作るのは簡単ですが、眷属になった吸血鬼はボクたちオリジナルと違い、吸血をしなければ飢えてしまいます。オリジナルはある程度であれば吸血無しでも飢えたりしませんが、眷属には飢えの苦しみ、そして太陽の下に出られないという苦しみもあります。そんな苦しみを、人族の皆さんには感じて欲しくなかったんです」
ルカ達の一族は、そうやってこのロスヴァリスの人々と友好的な関係を築いてきたんだ。
彼女から感じる雰囲気で分かってはいたけれど、やっぱり優しい子なんだな。
だからこそ、ルカはカルムが人として老いてしまうと知っていながらも、その最期を看取って一人になることを選んだ。
カルムという女性は、ルカにとってきっと大切な人だったのだろう。
「カルムさんのことは、彼女が幼い頃から知っていたので、妹のようでもあり姉のようでもあって、不思議な感じでした。それに、カルムさんと一緒に暮らすまではボクも普通に男子らしい服を着ていたんですけど、カルムさんはボクに女の子みたいな可愛い服ばかりをくれていたので、気付いたらそれが馴染んでしまって、今でもそういう服ばかりを着ているんです」
カルムはルカの本当の姉のような存在だったらしい。
それはそれとして、今とても聞き捨てならないことをサラッと言っていたような気がする。
え……ルカって、女の子じゃなかったの?
「待って、ルカ……ルカって、男の子?」
「あ、すみません……言い忘れてました。ボク、服はこんなですけど、男です……」
そういう事だったのか。
一人称がボクなのが少しだけ気になっていたけれど、女の子でもボクと言う子はいるだろうし、あまり気にすることでもないと思っていた。
それが、まさか男の子だったとは……仕草や口調まで女の子らしくて、全く気付かなかった。
「そっかぁ……じゃあ、ルカちゃんじゃなくてルカくんだね! よろしくね、ルカくん!」
「いやぁ、びっくりしたけどそうだったのか。確かに、ルカは顔が可愛いからそういう服が似合うな」
シャロとシルビア、相変わらず受け入れが早い。
そうしてルカはシルビアの言葉に頬を赤らめている。
「そ、そうですか……嬉しいです」
可愛い……
可能ならこれからも一緒に来て欲しいぐらいだけれど、きっと彼には此処を守る役目がある。
それに、不用意に外界へと連れ出すのはリスクが大きいかもしれない。
食事を終えた私達は、ルカに礼を言って帰りの支度をし始めた。
「そういえば、この館に飾ってある絵って誰が描いたものなの?」
私がそう訊くと、ルカは少し照れ臭そうに「ボクです」と答えた。
「え、ルカが描いたの!? すごい……此処に飾ってある絵、特に魔物の絵が私すごく好き!」
「ほ、本当ですか? その……ありがとうございます」
「絵描くの、好きなんだね」
「はい、絵を描いていると……空っぽの自分が埋めれる気がして……」
空っぽの自分とは……そういえば、ルカはあまり自分の感情について話していない。
時折嬉しそうな顔や寂しそうな顔は見せるけれど、何か悩みがあるのだろうか?
「ねぇルカ、よかったら、私達と一緒に来ない?」
自分でも、何故こんなことを言ったのかよく分からない。
けれど、何となく思ったことがある。
恐らく、ルカは自身の現状に満足していない。
絵という趣味に没頭して魔物達と暮らす今の生活は楽しいかもしれないけれど、彼はまだ自分に出来ることを探したいと、そう考えているように感じたのだ。
「それって……」
「勿論、無理にとは言わない。ロスヴァリスの魔物達やケルベロスの祭壇を守るのもルカの役目かもしれない。けど、もしルカにその気があったら、私はルカにも仲間になって欲しい。私の……勇者の仲間として!」
当然、この頼みはダメ元でのものだった。
ルカは少し俯き、葛藤している様子である。
「ボクは……呪われた血の種族、吸血鬼ルカ・ファーニュです」
彼は俯いたままで口を開き、控えめでありながらもはっきりとした口調で話す。
「ロスヴァリスの人達は優しかったけれど、吸血鬼が人族から卑下されてきた歴史は知っていました。吸血鬼である自分が嫌で、悲観的になったこともありました。今だって、ボクは本当は存在しちゃいけない種族なんじゃないかって、思ってしまうことがあります」
ルカは俯いていた顔を上げ、私の目を真っ直ぐに見た。
「だから逃げていたんです。外界と関わるのが怖くて、ずっとこの洞窟に引き篭もったまま、空っぽのまま殻に籠って生きてきました。でも、ボクは……ベリィさん達と一緒に行きたい! 空っぽの自分を変えたい! ボクに出来ることを、もっと探したいです!」
その瞬間、ルカの目付きが少し変わった気がした。
覚悟を決めた、という事なのだろうか?
何より、ルカが一緒に来ると言ってくれたのが嬉しかった。
「ありがとう、ルカ。これからよろしくね」
「よろしく、ルカくん!」
「よろしくな!」
どうやら、シャロとシルビアも賛成してくれたらしい。
「皆さん……よろしくお願いします!」
こうして、新たに吸血鬼のルカが仲間として加わった。
それからはルカに軽く荷物を纏めてもらい、私の転移魔法でシリウスのシルビア宅へと帰ったのであった。
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