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2章
54話 魔族マルバス
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ハルトのありえない動きを目の当りにして賊達は次第に戦意を喪失して攻撃の手が止まって行った。
レナースはどれだけ攻撃しても傷すらつけることが出来ない目の前の敵に畏怖していた。
「……ありえない……俺はこれでも元上級冒険者だぞ……ありえない!!」
ハルトは床に手を付き動揺しきったレナースに近づいて剣を向けた。
「さて、こんなことを命令した雇い主の情報を吐いてもらおうか」
「……だれが……教えるか……」
レナースは悔しさに歯を噛みしめつつ、覚悟を決めたように下を向いたまま返事をした。
「そうか……」
ハルトは剣を振り上げた。
するとフォクシルの女がハルトの前に手を広げて立ちふさがった。
「!?何故あなたがその男を貴方が庇うのですか?」
「……」
ハルトとフォクシルの女が黙って向かい合っていると、急に倉庫の扉が開いた。
暗がりで良く見えないがロンメルと思われる人影と女の影が2つ見えた。
それに気が付いたレナースは高笑いをした。
「ふははは!俺の仲間がお前らの仲間を連れてきたようだぞ!!これで形勢逆転だ!!」
「それはどうでしょうか」
倉庫の入り口の方から聞こえてきた声はロンメルのものでは無かった。
レナースはその声を聴いて慌てて入り口の方を確認する。
逆にハルトはその声を聴いて笑みを浮かべた。
そこには傷だらけになったロンメルを逆に人質に取ったプルフラとルシアが立っていた。
「ば……かな……」
レナースの顔は再び青ざめた。
「二人とも無事だったか」
「ええ、ルシアさんの眼のおかげでこの者の狙いは容易く見抜くことが出来ましたので、先手を取らせていただきました」
ルシアは黙ってサムズアップしていた。
「さぁ、見た通りこちらが圧倒的に有利。観念して質問に答えろ」
「……くそっ!!」
もう制圧も完了し、敵の首魁の一人はこちらの手の内にある。
ハルトは若干気を抜いていた。
そんなハルトが背後から急な殺気を感じて剣でガードをした。
くっ!まだ諦めていないやつがいたのか……!?それにこの攻撃の重さは一体……!?
「ほう。今の攻撃を防ぐ者がいるとは驚いた」
そこには明らかに魔族と思われる容姿をした者が立っていた。
レナースたちはその者を見て安堵と恐怖が入り混じったなんとも言えない様子をしていた。
「ま、マルバス様……!?」
マルバスと呼ばれる魔族は身にまとっている雰囲気や魔力から明らかに格が違うと分かる。
一目見てハルトもプルフラも気を引き締めた。
マルバスはレナースを睨みつけながら口を開いた。
「……遅いと思い来てみれば……これはどういう状況だ……?」
「それが……」
マルバスは周囲を見渡しながら口を開く。
「もういい。大体は理解した」
直後。先ほどハルトに切りかかる際に見せた瞬間移動でプルフラに捕えられているロンメルの胸を一瞬で貫いた。
「なっ!?」
ハルトは驚いて振り返りプルフラの方を見た。
プルフラはギリギリのところで躱していたようで腕を怪我してはいるが何とか無事なようだ。
ロンメルは左胸から大量に血を流し床へ倒れ込んでいた。
「マル……バス様……なぜ……」
「敵につかまる足手まといなぞ不要」
「そ……ん……な……」
マルバスへ手を伸ばしながらロンメルは息絶えた。
「……女。貴様ただの人間ではないな?」
マルバスはプルフラの方を見ながらそう告げた。
「私はこの屑もろとも貴様も貫いたつもりだったのだが……?」
……確かに今の動きは俺にも全く見えなかった。プルフラが実力者とはいえ、彼女は魔法使いあれほどの動きを追えるとは思えない。
「私があなたにそれを答えると思いますか?」
プルフラは左腕にできた傷を抑えながら冷たい目でマルバスを見つめながらそう答えた。
「……まぁいい。目的は果たした。帰るぞ」
「こ、こいつらにとどめを刺さないのですか!?」
レナースは引き上げようとするマルバスに尋ねた。
「私は何と命令した?」
「キャトラン2人の捕獲が最優先。障害となるものは消しても構わない……」
「敵の手に落ちたものは切り捨て、敵わない相手が居た場合は何を押してでも任務を優先しろとも行ったはずだ」
そう言うとマルバスは瞬時に移動し、床に付いていたレナースの左手の甲に剣を突き刺した。
「ぐうぁああ!」
「次はない。あの屑の様になりたくなければ任務を何よりも優先しろ」
「はい……!おい!撤退だ!例の魔法を!!」
レナースがそう言うとフォクシルの女は再び幻術を展開し始めた。
フォクシルの女は黙って下を向きながら唇を噛みしめていた。
再び幻術を使い自身とマルバスだけを残し、レナースや他の賊達の姿を消してしまった。
ハルトは先ほどマルバスが言った言葉に嫌な予感がしたのですぐさま馬車の中を確認するとそこにはルナとユキの姿はすでになかった。
「二人をどこへやった!!!」
ハルトは怒りに任せてマルバスに切りかかった。
しかしそこにいるマルバスは既に幻術で作られた偽物。
『少しは実力があるようだが、所詮人間。詰めが甘い。いずれまた会うこともあるだろう』
マルバスはそう言い残すと完全に姿を消してしまった。
「くそっ!俺が油断したばかりに!!!」
ハルトは歯を噛みしめてやり場のない怒りを拳に込めて地面をたたいた。
レナースはどれだけ攻撃しても傷すらつけることが出来ない目の前の敵に畏怖していた。
「……ありえない……俺はこれでも元上級冒険者だぞ……ありえない!!」
ハルトは床に手を付き動揺しきったレナースに近づいて剣を向けた。
「さて、こんなことを命令した雇い主の情報を吐いてもらおうか」
「……だれが……教えるか……」
レナースは悔しさに歯を噛みしめつつ、覚悟を決めたように下を向いたまま返事をした。
「そうか……」
ハルトは剣を振り上げた。
するとフォクシルの女がハルトの前に手を広げて立ちふさがった。
「!?何故あなたがその男を貴方が庇うのですか?」
「……」
ハルトとフォクシルの女が黙って向かい合っていると、急に倉庫の扉が開いた。
暗がりで良く見えないがロンメルと思われる人影と女の影が2つ見えた。
それに気が付いたレナースは高笑いをした。
「ふははは!俺の仲間がお前らの仲間を連れてきたようだぞ!!これで形勢逆転だ!!」
「それはどうでしょうか」
倉庫の入り口の方から聞こえてきた声はロンメルのものでは無かった。
レナースはその声を聴いて慌てて入り口の方を確認する。
逆にハルトはその声を聴いて笑みを浮かべた。
そこには傷だらけになったロンメルを逆に人質に取ったプルフラとルシアが立っていた。
「ば……かな……」
レナースの顔は再び青ざめた。
「二人とも無事だったか」
「ええ、ルシアさんの眼のおかげでこの者の狙いは容易く見抜くことが出来ましたので、先手を取らせていただきました」
ルシアは黙ってサムズアップしていた。
「さぁ、見た通りこちらが圧倒的に有利。観念して質問に答えろ」
「……くそっ!!」
もう制圧も完了し、敵の首魁の一人はこちらの手の内にある。
ハルトは若干気を抜いていた。
そんなハルトが背後から急な殺気を感じて剣でガードをした。
くっ!まだ諦めていないやつがいたのか……!?それにこの攻撃の重さは一体……!?
「ほう。今の攻撃を防ぐ者がいるとは驚いた」
そこには明らかに魔族と思われる容姿をした者が立っていた。
レナースたちはその者を見て安堵と恐怖が入り混じったなんとも言えない様子をしていた。
「ま、マルバス様……!?」
マルバスと呼ばれる魔族は身にまとっている雰囲気や魔力から明らかに格が違うと分かる。
一目見てハルトもプルフラも気を引き締めた。
マルバスはレナースを睨みつけながら口を開いた。
「……遅いと思い来てみれば……これはどういう状況だ……?」
「それが……」
マルバスは周囲を見渡しながら口を開く。
「もういい。大体は理解した」
直後。先ほどハルトに切りかかる際に見せた瞬間移動でプルフラに捕えられているロンメルの胸を一瞬で貫いた。
「なっ!?」
ハルトは驚いて振り返りプルフラの方を見た。
プルフラはギリギリのところで躱していたようで腕を怪我してはいるが何とか無事なようだ。
ロンメルは左胸から大量に血を流し床へ倒れ込んでいた。
「マル……バス様……なぜ……」
「敵につかまる足手まといなぞ不要」
「そ……ん……な……」
マルバスへ手を伸ばしながらロンメルは息絶えた。
「……女。貴様ただの人間ではないな?」
マルバスはプルフラの方を見ながらそう告げた。
「私はこの屑もろとも貴様も貫いたつもりだったのだが……?」
……確かに今の動きは俺にも全く見えなかった。プルフラが実力者とはいえ、彼女は魔法使いあれほどの動きを追えるとは思えない。
「私があなたにそれを答えると思いますか?」
プルフラは左腕にできた傷を抑えながら冷たい目でマルバスを見つめながらそう答えた。
「……まぁいい。目的は果たした。帰るぞ」
「こ、こいつらにとどめを刺さないのですか!?」
レナースは引き上げようとするマルバスに尋ねた。
「私は何と命令した?」
「キャトラン2人の捕獲が最優先。障害となるものは消しても構わない……」
「敵の手に落ちたものは切り捨て、敵わない相手が居た場合は何を押してでも任務を優先しろとも行ったはずだ」
そう言うとマルバスは瞬時に移動し、床に付いていたレナースの左手の甲に剣を突き刺した。
「ぐうぁああ!」
「次はない。あの屑の様になりたくなければ任務を何よりも優先しろ」
「はい……!おい!撤退だ!例の魔法を!!」
レナースがそう言うとフォクシルの女は再び幻術を展開し始めた。
フォクシルの女は黙って下を向きながら唇を噛みしめていた。
再び幻術を使い自身とマルバスだけを残し、レナースや他の賊達の姿を消してしまった。
ハルトは先ほどマルバスが言った言葉に嫌な予感がしたのですぐさま馬車の中を確認するとそこにはルナとユキの姿はすでになかった。
「二人をどこへやった!!!」
ハルトは怒りに任せてマルバスに切りかかった。
しかしそこにいるマルバスは既に幻術で作られた偽物。
『少しは実力があるようだが、所詮人間。詰めが甘い。いずれまた会うこともあるだろう』
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