虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~

すなる

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2章

36話 幻想郷 アルレンセス

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数日後、ある程度の作物とロンドが作った武具、それにレイラが作ったポーションが揃ったので商店に運ぶために異世界の扉を開いた。

今回はハルトとルナ、ナターシャ、ユキ、リン、レイラでリーザスの街へ向かい商店につくとセバスがしっかり店舗の準備を整えていた。
「お待ちしておりました。商品さえ並べればいつでも開業できるように準備は澄ませてあります」
やはりセバスは有能だ。とても少し前まで野良ネコだったものとは思えない。

「みんなナターシャの指示に従って商品を並べておいてくれるか?俺は一度冒険者ギルドに二人を登録して、ついでに商業ギルドに行ってくる」
レイラの案でだれか商業ギルドにも登録しておいた方がいいだろうという話が出たので、子猫達の中でもしっかりしているユキとリンを連れてきた。

まずは二人を冒険者ギルドに連れ、マーレに鑑定してもらった。
流石に毎度のことでマーレも慣れたようなので余り驚きはしていなかった。

こうして二人のカードも出来たのでレイラの案内で次は商業ギルドへと向かった。
本来は商業ギルドに登録したうえで開業申請をし、ギルドが受け持つ区画が空いたときに一定の金額を徴収されたうえで抽選が行われ、そこで選ばれたものが商店を構えることが出来るらしい。

ハルト達がこの街を救ったという話は当然一部の者以外には口外されていない。
なので領主の遠い親戚の商人がこの街で店を構えるという話で商業ギルドには伝えられている。

ギルドに入るとレイラの姿を見るなり小太りの男が近づいてきた。
「これはこれはレイラさん。今日はどういった要件で?またいつものように薬剤の持ち込みでしょうか?貴方の持ち込む薬剤はとても評判がいいので――」
「いえ、今日はこの方が店を出す挨拶に伺いたいというので案内を」
レイラはハルトを男に紹介した。
「なるほど、あなたが例の……」
男は明らかな嫌悪をほんの一瞬だけ顔に出した。が直後笑顔でハルトに話しかけてきた。

「私はこのギルドの長のマーティンと申します。領主様のお知り合いの方が店を構えるという話は伺っております。以後お見知りおきを」
先ほど見せた顔嫌悪を一切感じさせないとても丁寧な対応だった。流石は商人。

「いえいえ、こちらこそ今後この街でお世話になりますのでよろしくお願いします」
「領主様から直接、販売許可等も出されていると思いますが、本日はどのような要件でこちらのギルドへ?」
「明日から開業する予定なので挨拶だけでもと思いまして」
「そうですか。わざわざありがとうございます。お困りのことがありましたらお声かけください。領主様の関係者の方とあれば当ギルドでも協力はおしみませんので」
「助かります。ではまず商業ギルドへの登録をお願いできますか?」
「え?書き換えでなく登録ですか……?」
「はい、商業ギルドにはまだ登録していなかったものでして……」
それを聞いてマーティンの顔が明らかに曇った。
(領主様の知り合いの商人と聞いていたので何処かで既に営業をしている者かと思えば、商人として駆け出しの若造だと……?)
「なにか……?」
「あ、いえいえ。登録ですね。ではこちらにカードと登録料をお願いします」
3人はカードと登録料を提示した。

それらを受け取ると一度マーティンは奥へ行き、暫くして登録したカードを持ってきた。
「登録が済みましたのでご確認ください」
「ありがとうございます。では開業の準備に向かいますのでこれで」
「はい。繁盛するのを祈っております」
マーティンはハルト達が去るまでニコニコと見送っていたが、見えなくなったとたん表情を変え、裏に控えていた者に声をかけた。
「おい、今の話聞いていたなバルディス?」
「ああ、いつもの手で行くのか?」
「いや、今回は領主様の息もかかっているしキャトランもいた。慎重にたのむ」
(駆け出しの商人見習いが、ろくに苦労もせずに店を持つなど……商売の厳しさを思い知らせてやる)


「ハルトさん」
「ん?なんですレイラさん?」
「先ほどの様子を見るに、きっと色んな手で商売の妨害をされるかと思いますのでお気を付けを」
まぁあのマーティンの様子から察するに当然そうなるよなぁ。

商店に戻ると商品の搬入と陳列は大体完了していた。
しかし戻ると皆が何かに悩んでいた。
「どうしたんだみんな?難しい顔をして」
「このお店の名前まだないでしょ?そこで何か言い案はないかとおもってね。もう決めていたりするのかしら?」
あー。何も考えてなかった。

「それと、価格設定よ。レイラの薬やロンドの武具はいいとしても、向こうで作った作物なんてこちらではどれくらいの価格で販売したらいいか分からなくて……」

そうか、確かに未知の食材なんて高価に設定すると誰も手を付けないし、かといって良質な物を安価で出してしまうとそれこそ商業ギルドから恨みを買いかねないか……。
「それなら始めは割引セール期間を設けたり、一部の物を無料で配ってみるのはどうでしょうか?」
開店セールと実演販売や試食コーナーを作るってことか。ありかもしれない。
「よし。レイラさんの案採用!価格設定はこっちの作物の単価もよく知らないからナターシャに任せるよ。明日から1週間だけ設定した価格の半額ってことでどうだ?」

「そうね……。悪くない考えだと思うわ。でもあちらで採れる作物はどれもこの世界では未知の食材。しかも味も品質も一級品と言うことも考慮してこちらの野菜の3倍くらいの価値はあると思うわ。半額では手を出す人は少ないかもしれないわねぇ」
「だから店頭で試食コーナーを作ってみようと思う」
「試食コーナー?」
聞きなれない言葉に皆は首を傾げ、聞き返して生きた。

「ああ、実演販売ってやつだな。ライラ達の中から一人こちらに来てもらって実際にこれらの食材を使って料理をしてもらうんだ。それを無料で配って味を知ってもらう」
あちらの世界では良くある販売方法だけどこっちじゃあまりしないのかな?

「ふふ、面白そうね。わかったわ。それで初めて見ましょうか」

販売価格と営業方針はこれで定まった。
そして最後に店名だが、皆に案を出し合ってもらった。
セバスの案はハルト商店。この街では店主の名前を付け店を出すのが主流らしいが恥ずかしいので却下。
ナターシャの案は美味しいキャトランショップ♡。もちろんNGだ。どこかいかがわしい雰囲気を感じる。
ルナの案は異世界商店。悪くはないが隠したいところが駄々洩れなので却下。

中々決まらず悩んでいるとリンが手を挙げた。
「未知の場所で作られた物を扱ってる雰囲気が分かればいいんですよね?」
「まぁそうだな」
「ではシンプルに幻想郷という名前でいいのではないですか?」
存在するかも分からない都ってことか。あとは店員のキャトラン達の故郷って設定をそれに加えて……。
「リンの案を採用。この店は幻想郷 アルレンセス。これでいこう」
アルレンセスの街は今はもう彼らの住処だし、在るか無いか分からない幻想郷という言葉もまんざら嘘ではない。つまり店名に偽りはない。
店員にするには若干不安が残る子猫達もいるが、下手な設定を作るよりも故郷で作った作物ですと言わせた方が嘘ではないしボロも出にくいだろう。

こうして店名も決まり開業の準備が整った。



商人ギルド裏路地――

バルディスと部下らしき者が何やら人目を避けて会話をしている。
「どうだった?」
「見たことも無い食材を運んでいるのを目撃しました。それに店舗内でナターシャの存在も確認しております」
「未知の食材に上級冒険者、更に最強種が数名だと?……では実力行使は厳しいな……例の手でいこう」
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