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2章
15話 訪問者
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暫くして訪問者が訪れた。
警備にあたっていた銀牙とミアたちが森の入り口でコカトリスの群れにやられそうになっている人達を見つけたとのことでイザの元に連れてきた。
獣人だ。連れてくる道中に銀牙が彼らに聞いた話によると、彼らはわけあってこの森に調査に訪れていたが魔物に襲われていたところをたまたま狩りに出ていた銀牙に発見され助けられたそうだ。
獣人の男が口を開いた。
「まずは助けてくれたことに礼を言う。だが、まさかこんなところに集落が出来ていたなんて驚いた…。しかも亜人と精霊、人間にエルフ…それに魔物が共存しているなんて」
他種族で暮らしている点も驚いたようだが、銀狼達を見て一番驚いている。
「ここの長はそちらの…(リザードマン…?とは少し違うようだな。まさか竜人…?下手なことは言わない方がいいか…)…亜人…?の方ですか?」
獣人の男はラナの方をみて尋ねた。
「いえ。違いますよ」
「ではエルフの方ですか?」
「私でもないですね。それに私はハイエルフ!ただのエルフではありませんよ?」
イザにはリーンが何故ここで種族自慢をしたのかよくわからなかった。
「これは失礼…!まさかハイエルフ様でしたか。エルフの皇族の方とお会いできるとは…」
(ん?ハイエルフってエルフの皇族なの?この子決してそんな高貴なものではありませんよー!)
「ハイエルフ様でもないとすると…一体何方が…?」
皆が俺を見る。
「まさか人間族の方が?老齢で経験豊富な方ならまだしも…どう見てもまだお若い。御冗談をw」
獣人の男は信じられないという様子で、からかわれていると思って微笑した。
「冗談ではありません。我らはイザ様と契約を交わしてここで一緒に暮らさせて頂いております」
「信じられない。ドワーフや獣人はともかく、竜人やハイエルフ様が人間族にかしずくなんて…」
(竜人…?誰が?……あー、ラナとミアはラミアっぽくない見た目だから勘違いしたのか)
「主を愚弄するか獣人?」
ミアが怖い顔をし、殺気を込めて獣人を睨みつける。
「い、いや、そんなつもりはない、が…どうにも信じられなくて。弱者に好んで付き従うものもいるというし、イザさんがここの主というならそれで納得する」
「不敬な発言を。どうも理解してないようですね?処しますかミアさん」
「そうですね」
「ひぃっ!!」
リーンとミアの怒りが爆発しそうなので、獣人達をラナとエルドと3人で招いて話を聞くことにした。
イザは獣人たちがなぜこの森に来たのかを確認した。
「それで、どのような理由でこの森に?」
「今回この森に訪れたのは調査のためだ。南の関所を超えた先にあるイャーリスの国で定期的に行っている森の魔獣対策の一環なんだ。数十年おきに調査を行って凶悪な魔物が南下して関所を超えて被害を出さないように討伐体を編成するために」
(なるほど。銀牙が以前言っていた森に来る冒険者の話はこれか)
「それで、大して力もない者たちで調査して全滅しかけていた…と?」
なんだかラナの言葉に少し棘がある。
「お、俺はこれでも王都ギルド所属のBランクの冒険者。このチームのリーダーのガルってもんだ!王都やベルンの街のギルドでは多少名の知れた冒険者だぞ!?仲間たちもみなBランク。それなりに経験は積んでいる」
「私はナックといいます。以後お見知りおきを」
「あたしはフェル。よろしくにゃぁ~。」
「私はミーシャと申します。先ほどは助けていただきありがとうございました。
(見た目から察するにガルとナックは人狼族、フェルは猫人族でミーシャは兎人族か。ってかほんとに猫耳やうさ耳の人居たんだ~!爺さんが昔からコスプレ好きだったのはこの世界の獣人を知ってたからか…?)
「それで調査の結果はどのように報告するおつもりで?」
「この集落の存在は聞かされていなかったからどう報告したものかと…」
「それはそうでしょう。この集落は数か月前にイザ様がおつくりになられたばかりですから」
それを聞いて4人は驚きを隠せない様子だ。
「数か月!?これだけの施設があり広大な農地まで確保して居ながら出来たばかりというのか!?信じられない」
「事実です」
「また俺らをだまそうとしているのか?」
「信じられないというなら別にそれでもかまいませんよ」
何だかいつも優しいラナがガルに対して若干冷たい。
「…いや、現にこうして村があるのだ…信じるほかあるまい…。しかしギルドにどう報告すれば…」
それを聞いてラナが提案した。
「ではこうしてはいかがでしょう。森に強力な魔物はいませんでした。…と報告を。我らの存在も伝える必要はないかと」
「そういうわけにはいくまい…実際、俺らが全滅しかけるほどの魔物も居たわけですし…仮にもBランク冒険者、ギルドに虚偽の報告をするわけには…」
「この村の存在を秘匿するという点は飲んでもらうしかありませんが、もう片方は虚偽ではなくなるとしたら?」
「というと?」
エルドは頷いている。
冒険者たちはラナの話が呑み込めていないようだ。というかイザも呑み込めていなかった。
「条件を出します。我々であなた方を鍛えます。この森の魔物に後れを取ることがないくらいに。そうすれば貴方達よりも強力な魔物は居ませんでした。と言う言葉が嘘ではなくなりますよね?」
「理屈わかりますし、鍛えてもらうのも願ってもない話ですが、この集落の存在をギルドに隠す意図は?」
「それは先ほどのあなた方と同じ反応をすると思うからです。未知の存在に人は脅威を覚えます。外界では死の森と恐れられ、人が滅多な理由なく訪れることもない森に棲んでいる者たちが居た。と知ったら我々を知らないものはどう思うでしょうか?」
「…まぁたしかに…危険視するものがほとんどだろうな。銀狼1体でも脅威なのに銀狼の群れ、更に各種族の上位種がこれ程住んでいる村なんて、報告すると大騒ぎになるだろう。何より…使役や隷属しているならわかるが、人と魔物が普通に共存してるなんて前代未聞だ…」
「そうですね。私もこの村以外ではありえないことだと思います」
「…なぁ。先ほど俺らを案内してくれた獣人の兄ちゃんはどこの出身なんだ?どこからここに移り住んできたんだ?」
「獣人の…?ああ、銀牙のことか。彼は銀狼から進化したワーウルフだよ。正確には獣人族ではないんだ」
「!?はぁ!?銀狼が進化!?それにワーウルフ!?にしてはここに連れてきてくれる時も普通に会話できてたぜ!?」
「ちょ!ちょっと!ワーウルフって言ったら数年前に王都の西に突如現れて大被害をもたらしたって言うじゃない!?まさかその犯人なんじゃないの!?」
「ですが私が聞いた話ではワーウルフは会話できるほどの理性がなかったと聞いていますが…」
「何のことだ?ラナ知ってるか?」
「さぁ…。私も人の街に居たのは数十年前なので現在の世情には疎いので…。その西の都市での事件に関しては知りませんが銀牙さんが進化してワーウルフになったのは数か月前です。別人かと思います」
「僕もワーウルフは理性がない魔物だって聞いていますが…先ほどの方はしっかり会話できていましたね…。」
「ええ、私もてっきり同じ人狼族かと思っていました」
「あたしもてっきり人狼族とおもってたにゃ…。」
「ワーウルフが知性を持って普通に暮らしてたら何か問題でも?」
「信じられねぇがそれがこの村の普通ってことなんだろう。正直色々と理解が追い付かないが俺は受け入れるよ。命を助けてもらっておいて誰がどうとか気にしてても野暮ってもんだ」
「ですね、リーダーの言う通りです」
「私もそうおもいます」
「だにゃっ!しかも銀牙さんだっけ?結構いい男だったよにゃぁ~♪あの毛並みっ!全然毛づくろいしてないリーダーとはまるで違うにゃ」
「フェル!お前はすぐそういう…!」
「うふふふ」
(人猫族ってみんな語尾にゃなのか…?)
「こほん!話をお戻ししてもよろしいでしょうか?」
「ああ、すまない。続けてくれ」
ラナが少し苛ついているのをイザとエルドは感じ取った。
「先ほどの提案の続きですが、我々はことを荒げたいと思っていませんし、平穏に暮らしているだけですのでお互いのために秘密にしておいた方がいいかと」
「確かに先ほどは助けていただきましたし、魔物を使役しているのではなく共存していることにはかなり驚かされましたが、敵意も感じませんし。…わかりました。その話お受けします」
「ちなみに調査の期間はどれくらい設けているので?」
「3か月だ。3か月しても俺らが戻らなかった場合はSランクを含むBランク以上の冒険者複数チームで討伐体が編成されることになっている」
「分かりました。では3か月であなた方をこの森の魔物以上の強さの冒険者にすることを約束しましょう」
(ラナに任せていたらなんだかすんなり話がまとまったみたいで助かった。近隣の街にこの村の存在が今知れると色々と面倒になりそうだからな。でもたった3か月でそんなに強くできるもんなのか?)
「ではさっそくイザ様」
「はい?」
「お手を煩わせて申し訳ありませんがこの者たちを森にお連れしてあげてくれませんか?」
「別にいいけど?なんで俺?」
ラナはにこっと笑っているがなんだか少し怒っているのを感じる。
(俺が弱いと言われたのが気に食わなかったようで、俺の力をこいつらに示すため…か)
「んー。わかったんじゃ行こうか」
「…!?待ってくれ!人間…イザさんと俺らだけでいくってのか!やはり俺らを見殺しに!?」
「あなた方はまだ勘違いをしているようですのではっきりと申し上げます」
「この集落で最も強いのはイザ様です。我々は足元にも及びませんよ」
冒険者たちはエルドの方を見た。
エルドは深くうなずいた。
「確かに今までの常識でいうと人間族は良くも悪くも普通。何でもできる反面何にも特化していない種族として有名だな。戦闘に関しても獣人族と同等かそれ以下と普通は考える。だけどな、旦那は特別さ。お前さんらその目で確かめてくるといい。不安なら俺もついていってやるが?」
「いや…そこまで言うなら信じよう。精霊族が嘘をつくとは思えないしな」
そしてイザの案内で一行は森の北側に来ていた。
北側は比較的キラーラビットなどの小型の魔獣ばかりで危険度が少ないからだ。
キラーラビット数体と遭遇するもガルたちは一進一退のギリギリの戦いをしていた。
見かねたイザは水と土の複合魔法。ぬかるみを作る魔法でアシストする。
「こんな魔法私いままで見たことありません…!」
ミーシャは初めて見る複合魔法に驚いている。
「いいから今のうちにとどめ射しちゃいな~」
「お、おう!」
キラーラビットの集団との戦いを終えて一息ついているところにコカトリスが背後から強襲してきた。
油断していたガル達は戦闘態勢に入るのが少し遅れて回避が間に合わない。
「しまったっ!」
そこにすかさずイザが風の魔法を放ってコカトリスを一刀両断にした。
獣人たちは驚いていた。
「まじかよ。こんな魔力の人間見たことねぇ。ってかほんとに人間か?魔人なんじゃ?」
「でも角もないし、隠蔽してる雰囲気でもありませんよ?どう見てもイザさんは人間族かと」
「私強い男はすきだにゃあ♪それにイザさん結構顔もいいし♪」
「あんな威力の魔法を詠唱も無しに…」
(おーい、こそこそ話してるけど聞こえてるぞー、なんか魔人とか言われてるし…。)
イザが落胆していると後ろからタイラントボアが現れた。
「なっ!イザさん!後ろ後ろ!あれはS級のタイラントボア!!あんなの敵うはずねぇ逃げないと!!」
「ん?ああ、この猪か」
そういうとイザは例の雷と風の複合魔法でタイラントボアを一撃で仕留めた。
「マジ…かよ。奴の毛皮はかなりの魔法耐性があるはずじゃ、それを貫いて一撃って…」
「しかも事前詠唱や魔法名すら唱えていませんでしたね…。二重破棄であの威力ですか…」
冒険者たちは腰の抜かしている。
(二重破棄?よくわからないけどもう夕暮れだしそろそろ帰るとするか)
「とりあえず今日のところは帰ろうか。悪いけどこいつを運ぶの手伝ってね」
「了解しました!」
イザの実力を目の当たりにして4人のイザに対する姿勢が180度変わったのは言うまでもない。
警備にあたっていた銀牙とミアたちが森の入り口でコカトリスの群れにやられそうになっている人達を見つけたとのことでイザの元に連れてきた。
獣人だ。連れてくる道中に銀牙が彼らに聞いた話によると、彼らはわけあってこの森に調査に訪れていたが魔物に襲われていたところをたまたま狩りに出ていた銀牙に発見され助けられたそうだ。
獣人の男が口を開いた。
「まずは助けてくれたことに礼を言う。だが、まさかこんなところに集落が出来ていたなんて驚いた…。しかも亜人と精霊、人間にエルフ…それに魔物が共存しているなんて」
他種族で暮らしている点も驚いたようだが、銀狼達を見て一番驚いている。
「ここの長はそちらの…(リザードマン…?とは少し違うようだな。まさか竜人…?下手なことは言わない方がいいか…)…亜人…?の方ですか?」
獣人の男はラナの方をみて尋ねた。
「いえ。違いますよ」
「ではエルフの方ですか?」
「私でもないですね。それに私はハイエルフ!ただのエルフではありませんよ?」
イザにはリーンが何故ここで種族自慢をしたのかよくわからなかった。
「これは失礼…!まさかハイエルフ様でしたか。エルフの皇族の方とお会いできるとは…」
(ん?ハイエルフってエルフの皇族なの?この子決してそんな高貴なものではありませんよー!)
「ハイエルフ様でもないとすると…一体何方が…?」
皆が俺を見る。
「まさか人間族の方が?老齢で経験豊富な方ならまだしも…どう見てもまだお若い。御冗談をw」
獣人の男は信じられないという様子で、からかわれていると思って微笑した。
「冗談ではありません。我らはイザ様と契約を交わしてここで一緒に暮らさせて頂いております」
「信じられない。ドワーフや獣人はともかく、竜人やハイエルフ様が人間族にかしずくなんて…」
(竜人…?誰が?……あー、ラナとミアはラミアっぽくない見た目だから勘違いしたのか)
「主を愚弄するか獣人?」
ミアが怖い顔をし、殺気を込めて獣人を睨みつける。
「い、いや、そんなつもりはない、が…どうにも信じられなくて。弱者に好んで付き従うものもいるというし、イザさんがここの主というならそれで納得する」
「不敬な発言を。どうも理解してないようですね?処しますかミアさん」
「そうですね」
「ひぃっ!!」
リーンとミアの怒りが爆発しそうなので、獣人達をラナとエルドと3人で招いて話を聞くことにした。
イザは獣人たちがなぜこの森に来たのかを確認した。
「それで、どのような理由でこの森に?」
「今回この森に訪れたのは調査のためだ。南の関所を超えた先にあるイャーリスの国で定期的に行っている森の魔獣対策の一環なんだ。数十年おきに調査を行って凶悪な魔物が南下して関所を超えて被害を出さないように討伐体を編成するために」
(なるほど。銀牙が以前言っていた森に来る冒険者の話はこれか)
「それで、大して力もない者たちで調査して全滅しかけていた…と?」
なんだかラナの言葉に少し棘がある。
「お、俺はこれでも王都ギルド所属のBランクの冒険者。このチームのリーダーのガルってもんだ!王都やベルンの街のギルドでは多少名の知れた冒険者だぞ!?仲間たちもみなBランク。それなりに経験は積んでいる」
「私はナックといいます。以後お見知りおきを」
「あたしはフェル。よろしくにゃぁ~。」
「私はミーシャと申します。先ほどは助けていただきありがとうございました。
(見た目から察するにガルとナックは人狼族、フェルは猫人族でミーシャは兎人族か。ってかほんとに猫耳やうさ耳の人居たんだ~!爺さんが昔からコスプレ好きだったのはこの世界の獣人を知ってたからか…?)
「それで調査の結果はどのように報告するおつもりで?」
「この集落の存在は聞かされていなかったからどう報告したものかと…」
「それはそうでしょう。この集落は数か月前にイザ様がおつくりになられたばかりですから」
それを聞いて4人は驚きを隠せない様子だ。
「数か月!?これだけの施設があり広大な農地まで確保して居ながら出来たばかりというのか!?信じられない」
「事実です」
「また俺らをだまそうとしているのか?」
「信じられないというなら別にそれでもかまいませんよ」
何だかいつも優しいラナがガルに対して若干冷たい。
「…いや、現にこうして村があるのだ…信じるほかあるまい…。しかしギルドにどう報告すれば…」
それを聞いてラナが提案した。
「ではこうしてはいかがでしょう。森に強力な魔物はいませんでした。…と報告を。我らの存在も伝える必要はないかと」
「そういうわけにはいくまい…実際、俺らが全滅しかけるほどの魔物も居たわけですし…仮にもBランク冒険者、ギルドに虚偽の報告をするわけには…」
「この村の存在を秘匿するという点は飲んでもらうしかありませんが、もう片方は虚偽ではなくなるとしたら?」
「というと?」
エルドは頷いている。
冒険者たちはラナの話が呑み込めていないようだ。というかイザも呑み込めていなかった。
「条件を出します。我々であなた方を鍛えます。この森の魔物に後れを取ることがないくらいに。そうすれば貴方達よりも強力な魔物は居ませんでした。と言う言葉が嘘ではなくなりますよね?」
「理屈わかりますし、鍛えてもらうのも願ってもない話ですが、この集落の存在をギルドに隠す意図は?」
「それは先ほどのあなた方と同じ反応をすると思うからです。未知の存在に人は脅威を覚えます。外界では死の森と恐れられ、人が滅多な理由なく訪れることもない森に棲んでいる者たちが居た。と知ったら我々を知らないものはどう思うでしょうか?」
「…まぁたしかに…危険視するものがほとんどだろうな。銀狼1体でも脅威なのに銀狼の群れ、更に各種族の上位種がこれ程住んでいる村なんて、報告すると大騒ぎになるだろう。何より…使役や隷属しているならわかるが、人と魔物が普通に共存してるなんて前代未聞だ…」
「そうですね。私もこの村以外ではありえないことだと思います」
「…なぁ。先ほど俺らを案内してくれた獣人の兄ちゃんはどこの出身なんだ?どこからここに移り住んできたんだ?」
「獣人の…?ああ、銀牙のことか。彼は銀狼から進化したワーウルフだよ。正確には獣人族ではないんだ」
「!?はぁ!?銀狼が進化!?それにワーウルフ!?にしてはここに連れてきてくれる時も普通に会話できてたぜ!?」
「ちょ!ちょっと!ワーウルフって言ったら数年前に王都の西に突如現れて大被害をもたらしたって言うじゃない!?まさかその犯人なんじゃないの!?」
「ですが私が聞いた話ではワーウルフは会話できるほどの理性がなかったと聞いていますが…」
「何のことだ?ラナ知ってるか?」
「さぁ…。私も人の街に居たのは数十年前なので現在の世情には疎いので…。その西の都市での事件に関しては知りませんが銀牙さんが進化してワーウルフになったのは数か月前です。別人かと思います」
「僕もワーウルフは理性がない魔物だって聞いていますが…先ほどの方はしっかり会話できていましたね…。」
「ええ、私もてっきり同じ人狼族かと思っていました」
「あたしもてっきり人狼族とおもってたにゃ…。」
「ワーウルフが知性を持って普通に暮らしてたら何か問題でも?」
「信じられねぇがそれがこの村の普通ってことなんだろう。正直色々と理解が追い付かないが俺は受け入れるよ。命を助けてもらっておいて誰がどうとか気にしてても野暮ってもんだ」
「ですね、リーダーの言う通りです」
「私もそうおもいます」
「だにゃっ!しかも銀牙さんだっけ?結構いい男だったよにゃぁ~♪あの毛並みっ!全然毛づくろいしてないリーダーとはまるで違うにゃ」
「フェル!お前はすぐそういう…!」
「うふふふ」
(人猫族ってみんな語尾にゃなのか…?)
「こほん!話をお戻ししてもよろしいでしょうか?」
「ああ、すまない。続けてくれ」
ラナが少し苛ついているのをイザとエルドは感じ取った。
「先ほどの提案の続きですが、我々はことを荒げたいと思っていませんし、平穏に暮らしているだけですのでお互いのために秘密にしておいた方がいいかと」
「確かに先ほどは助けていただきましたし、魔物を使役しているのではなく共存していることにはかなり驚かされましたが、敵意も感じませんし。…わかりました。その話お受けします」
「ちなみに調査の期間はどれくらい設けているので?」
「3か月だ。3か月しても俺らが戻らなかった場合はSランクを含むBランク以上の冒険者複数チームで討伐体が編成されることになっている」
「分かりました。では3か月であなた方をこの森の魔物以上の強さの冒険者にすることを約束しましょう」
(ラナに任せていたらなんだかすんなり話がまとまったみたいで助かった。近隣の街にこの村の存在が今知れると色々と面倒になりそうだからな。でもたった3か月でそんなに強くできるもんなのか?)
「ではさっそくイザ様」
「はい?」
「お手を煩わせて申し訳ありませんがこの者たちを森にお連れしてあげてくれませんか?」
「別にいいけど?なんで俺?」
ラナはにこっと笑っているがなんだか少し怒っているのを感じる。
(俺が弱いと言われたのが気に食わなかったようで、俺の力をこいつらに示すため…か)
「んー。わかったんじゃ行こうか」
「…!?待ってくれ!人間…イザさんと俺らだけでいくってのか!やはり俺らを見殺しに!?」
「あなた方はまだ勘違いをしているようですのではっきりと申し上げます」
「この集落で最も強いのはイザ様です。我々は足元にも及びませんよ」
冒険者たちはエルドの方を見た。
エルドは深くうなずいた。
「確かに今までの常識でいうと人間族は良くも悪くも普通。何でもできる反面何にも特化していない種族として有名だな。戦闘に関しても獣人族と同等かそれ以下と普通は考える。だけどな、旦那は特別さ。お前さんらその目で確かめてくるといい。不安なら俺もついていってやるが?」
「いや…そこまで言うなら信じよう。精霊族が嘘をつくとは思えないしな」
そしてイザの案内で一行は森の北側に来ていた。
北側は比較的キラーラビットなどの小型の魔獣ばかりで危険度が少ないからだ。
キラーラビット数体と遭遇するもガルたちは一進一退のギリギリの戦いをしていた。
見かねたイザは水と土の複合魔法。ぬかるみを作る魔法でアシストする。
「こんな魔法私いままで見たことありません…!」
ミーシャは初めて見る複合魔法に驚いている。
「いいから今のうちにとどめ射しちゃいな~」
「お、おう!」
キラーラビットの集団との戦いを終えて一息ついているところにコカトリスが背後から強襲してきた。
油断していたガル達は戦闘態勢に入るのが少し遅れて回避が間に合わない。
「しまったっ!」
そこにすかさずイザが風の魔法を放ってコカトリスを一刀両断にした。
獣人たちは驚いていた。
「まじかよ。こんな魔力の人間見たことねぇ。ってかほんとに人間か?魔人なんじゃ?」
「でも角もないし、隠蔽してる雰囲気でもありませんよ?どう見てもイザさんは人間族かと」
「私強い男はすきだにゃあ♪それにイザさん結構顔もいいし♪」
「あんな威力の魔法を詠唱も無しに…」
(おーい、こそこそ話してるけど聞こえてるぞー、なんか魔人とか言われてるし…。)
イザが落胆していると後ろからタイラントボアが現れた。
「なっ!イザさん!後ろ後ろ!あれはS級のタイラントボア!!あんなの敵うはずねぇ逃げないと!!」
「ん?ああ、この猪か」
そういうとイザは例の雷と風の複合魔法でタイラントボアを一撃で仕留めた。
「マジ…かよ。奴の毛皮はかなりの魔法耐性があるはずじゃ、それを貫いて一撃って…」
「しかも事前詠唱や魔法名すら唱えていませんでしたね…。二重破棄であの威力ですか…」
冒険者たちは腰の抜かしている。
(二重破棄?よくわからないけどもう夕暮れだしそろそろ帰るとするか)
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
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