18 / 20
18 恥ずかしすぎて嬉しすぎる (ライム視点)
しおりを挟むあの後三人で早々に村に戻り、打ち合わせ通りに俺は泊まる予定だった家の裏手でガロンを待ち、ガロンと合流した後にその家からさほど離れていない宿屋に入った。
丁度一部屋キャンセルが出ていたらしく、俺達は普通に部屋を取る事ができた。
二人、部屋の中に入った所で思いきりガロンに抱きしめられた。
もうそれは突進してくる様な勢いで少し面食らった俺だった。
「おい、ちゃんと話すから少し腕を緩めろ。苦しいって」
「ああ、わりぃ」
そう言ってガロンは腕を少しだけ緩めた。
頬に手を添えるとこちらを見つめるガロンは幼子の様に不安そうな顔をしている。
俺はガロンの手を引いて部屋のベッドまで歩きベッドに腰掛けた。
隣にガロンも座る。
「というか大丈夫なのか? お前の顔は村の人達に割れている。お貴族様な教師が生徒を演習に連れてきている最中に男遊びなんて外聞きが悪いんじゃねーか」
「んな事。噂なんて、なんて言われたって構わねー。この仕事を引き受けたのもお前を探す為だし。何所が分かった今となっては仕事をクビになったとしたって痛くも痒くもねー」
ガロンの言葉に俺は驚きすぎてポカンと口を開けた。
そんな事のために教師の仕事を引き受けたのか?
そう思ったが、実際、俺の何所を掴む方法を探る為にガロンは学院に来たのだとか……。流石に俺自身が学院に居るとは思わなかったみたいだ。
俺は自分の身の上をガロンに話した。
人族でないかもしれない事も。
18歳の時、ガロンに初めて出会った時、こうして身体が変化してそれ以降夜10時から朝まではこの姿だと言う事……今回引き受けたアボット公爵様の依頼の事、ローガン様に魅了がかかっていたらしい事、推測だがその魅了の所為で狼の群に襲われそうになった事。
俺の治癒魔法でローガン様にかかっていた魅了が解けた事。
俺の感覚能力が人族より秀でている事も説明しローガン様に魅了をかけたのはおそらくマリン様だと思う事も伝えた。
「そうか……話してくれてありがとう。マリン・サバンサについては俺に任せてくれないか。諜報部に知り合いがいるんだ。そんな魔道具は危ない。魅了は心を壊し下手したら寿命も縮める恐れもある。それにアイツは厄介そうだからしっかりと根を詰んだ方が良い。すぐ対処する様に協力を頼むから少し待ってくれないか?」
そうやって俺の頭を撫でてきたのはいつもの太々しいガロンではなく、教師としてのアシュレイ先生の顔だった。
「分かった」
「あのさ……もう一度抱きしめても良いか? お前昼に会えないのは理由があったんだな。俺自身も話せない事もあったのに無理言って悪かった」
俺はそっとガロンを抱きしめ、その懐かしい香りを堪能した。
「いや、俺が中々話せなかったから。お前を俺の事情に巻き込みたくなかった。それにこの姿と違って昼間の俺はお前を守れない。知っての通りライムとしての俺は……今はまだすごく弱いんだ」
その言葉に反応する様に俺から身を離しガロンが真剣に覗き込んできた。
「そう言えばライム君の時のお前はまるで別人だ。見た目もそうだか話し方も雰囲気もオーラみてーなのも」
「ああ、そうなんだ。なんか力が解放されちまうからか気性も荒くなっちまうし、それとまあ性欲もな」
俺はバツが悪く、目線を逸らした。
そう、俺のソコは欲望を抑えきれずすっかり立ち上がっている。
そんな俺を見てガロンは困った様に顔を赤くして俺を抱きしめ導く様に、ガロンの膝の上に前から跨ぐ様に座らされた。
俺の臀部には硬くなったガロンのソコがしっかりと主張しているのが伝わりますます俺の鼓動が早くなった。
「おい、ローガン君からもあんな風に言われたし、なんとか手を出さない様に抑えてるって言うのに煽んじゃねーよ」
「わあってるよ。しゃーねーだろ。お前として以来ずっと禁欲だったんだ。俺はしゃーねーとしてもお前こそなんでそんなんなんだよ」
恥ずかしくて憎まれ口を叩いてしまったと言うのにガロンのソコは更に俺の臀部を下衣を蹴破り突き刺してしまうのではないかと思うほど大きく硬くなっている事が分かった。
「ま、マジか? お前俺以外にセフレ居たんじゃねーのかよ」
「受け身なんてお前以外誰がさせるかってんだ。てーかタチは経験すらねーけど」
ガロンは俺を抱え上げたままもう片方の掌で自身の顔を隠していた。
耳が真っ赤だ。
「て、てっきり俺は……」
「なんだよ。お前の相手が何人も居るからって一緒にすんな。俺はこー見えて一途なんだ」
ガロンが俺の背を優しく撫でる。
「あれ、嘘。確かにお前と寝るまでは数人いた。ってーか決まった相手はいなくて、欲を抑える為に好みの女や男を適当に抱いてた」
「サイテーだな、お前」
「もちろん合意の上でだぜ。俺、お前に逢えるまで皆、同じに見えてたから。どうしても興味が持てなかったから、だけどお前に出逢ってお前以外勃たなくなっちまった。だから俺のがこうなるのもしょーがないんだぜ。責任取ってくれよな」
そんな風に言って俺の額にキスしてきた。
俺はガロンの言っている事を頭ん中で理解した後、一気に顔から耳から身体から全部が熱くなるのが分かって恥ずかしくなった。
「まあ正確にはライム君と会ってた時も勃起したから俺はショタコンの気は無かった筈だがと内心慌てていたが、ライム君がお前だったなら俺の身体は正直だったって事だよな」
「もう、お前黙れ」
もう俺は恥ずかしすぎて嬉しすぎてそう呟き、ガロンの唇を塞いだ。
342
お気に入りに追加
487
あなたにおすすめの小説

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞


小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる