セフレに内緒で秘密の調査(この世界ってBLゲーム? 俺はモブだったりするのかな???)

やまくる実

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14 騎士科、魔術師科の合同演習 (ライム視点)

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 今日は魔物討伐の演習で騎士科と合同練習を行うことになり、学院から少し離れたある村に来ていた。

 馬車での行き道は騎士科の生徒三人、魔術師科の生徒三人計六名、馬車を引くのは教師、班分けはローランド様が手を回したとしか思えない。

 騎士科の生徒はローランド様とその弟のデニス様、そして俺が今回、この学院に来るきっかけにもなった公爵家のご子息ローガン・アボット様。
 魔術師科は俺と例のBLゲームの主人公であるらしいマリン・サバンサ様、もう一人はルーン・ハーレー様ちなみにハーレー様は侯爵家で実はローガン様の婚約者で女性。

 あの後、屋上や談話室等でローランド様から少しずつこの世界の舞台であるらしいBLゲームの話を聞いた。


 ルーン・ハーレー様は立ち位置的には悪役令嬢らしいけど、話してみたら控えめでとても感じの良い方だった。

 俺が平民だというのに、差別もしない。

 むしろ、遠目から見たら嫌な匂いが付き纏ってはいるが、普通の少年だと思っていたマリン様の方が一癖ありそうだった。
 


 俺やハーレー様に対してと騎士科の方々達に対してとがかなり態度が違ったのだ。

 何だろう、わざとドジっこに見せているというか、とにかく俺やハーレー様には感じがかなり悪かった。


 なんか、こんな主人公嫌だ。

 俺の率直な感想はそれだった。

 しかもマリン様はかなりの策士で、ローガン様方にはいかにも俺やハーレー様がマリン様にキツく当たっているかの様にでっち上げる発言をしている。

 なんか、訂正するのも面倒くさい感じだ。

 そして、一緒に引率して下さっている教師がなんとガレシア・アシュレイ先生、そうガロンなのだ。

 ローランド様に聞いた話だと、アシュレイ先生(ガロン)も高難易度の隠れ攻略者キャラらしい。


 なんだか調査をさらっとする為にこの学院に来たというのに他人事じゃなくなってきた。

 ガロンはセフレで恋人ではないけれど、好きな人、かけがえのない相手だったと離れてしまった後に俺はそれを自覚した。

 俺が諦めるとしたって幸せになってほしい。

 と言ってもまだ、マリン様が、どんな人かハッキリ分かった訳じゃない。


 そんな風に思っていたらある村に到着した様だ。

 俺達はこの村のある家でお世話になるらしい。

 世話になる期間は5日間。
 その代わりに、演習として、この村の奥の魔物を制圧して欲しいとの事だった。


 俺達の他に三つの班がこの演習には参加している。

 この演習は騎士科、魔術師科の中で全ての生徒が参加している訳ではない。


 将来、騎士としてまた魔術師として国の防衛に携わる可能性がある者をスカウトする場でもあるらしく、特に優秀な生徒が選ばれて研修に向かわされる。


 と言っても俺はカムイの姿になれなければ実戦向きではないのに、どうしてこの場に選ばれてしまったのだろう……。


 やはりそれはローランド様の策略なんだろうか?


 ローランド様が言うにはこの合宿はゲーム内での大きなターニングポイントらしい。


 マリン様は現在ローガン様と恋仲の様に言われていたが、マリン様自身、ローガン様に夢中というより、イケメンのお貴族様、皆に良い顔をしている様に見えてしまった。


 こんな風に思ってしまうのは嫉妬からかもしれない。


 そう、マリン様はガロンにも言いよっている様にも見えたのだ。


「おい、お前ライムだろう?」

 そう声をかけてきたのはデニス様だった。
 俺はどう反応するか返答に悩んだが嘘をついてもすぐにバレると思うし、嘘がバレて変に疑われて困るのはダグラス伯爵家の使用人であるトトさんだ。

「お久しぶりです。デニス様、いつも、父がお世話になってます」
「いや、世話になっているのはむしろ私の方だが、てーか、お前俺より年下じゃなかったのか? まさか同い年だったのか? それにしちゃーちっさいままであの頃から殆ど成長してないんじゃないか? ちゃんと食べているのか? しかも魔術師科だと?」

 そう言いながらデニス様は眉を少し寄せた。

「デニス様、早く来ないと部屋決め勝手にしちゃいますよ?」

 そうやって笑顔で声をかけて来たのはガロンの袖を掴みながらも、笑顔でこちらに笑いかけているマリン様だ。

 マリン様はイケメンは全て自分をかまわないと嫌みたいだ。

 そんな風に思ってはダメなのかもしれないが、馬車の中での様子を思い出してもそう思っている様に見えた。


 俺やルーン様には悪感情を持っている様だ。態度にも出ていたが、それ以外にそういう感情自体俺は感じ取る事が出来る。


 俺はローランド様やガロンが構うからきっと敵とみなしているんだろう。

 ローランド様は単純に揶揄っているだけだし、ガロンは先生として純粋に俺を心配しているだけなのに……。


 ていうかアシュレイ先生って言う癖をつけないと、間違ってガロンなんて言ってしまってはやばすぎる。

「おい、ライム聞いているのか? 確か薬屋を目指しているんじゃなかったのか? お前もトーマスも平民だよな? 魔術師科なんて魔力そんなにあったのか?(魔力があると言う事は俺とも婚姻が可能という事か?)」


 デニス様はマリン様の事を思い切り無視している。
 笑ってはいるがマリン様のオーラが更に黒くなっているのが分かる。


 ってデニス様、何言ってんだ? 婚姻? 

「デニス様、マリン様が呼んでらっしゃいます」

 部屋分けの話だったか?

 ルーン様は女性だから一人部屋というか泊まらせて頂く家の奥様と同じ部屋に寝泊まりするらしい。

 そして俺達六人は三人ずつで二組に分かれるみたいだ。


 くじ引きで決めたんだが結論から言うと俺とガロンとデニス様が同じ部屋、マリン様とローガン様、そしてローランド様が同じ部屋になった。


 マリン様やローガン様と一緒の方が調査は捗ったかもしれないが俺はそれよりガロンと同じ部屋な事にホッとしていた。

 というかマリン様とガロンが同じ部屋なのは嫌で仕方がなかったんだ。


 ガロンが他の人に触れる所は見たくなかったんだ。


 ってーか、不味くないか?

 ガロンやデニス様と同じ部屋って、一人部屋じゃないなんて、俺、なんでこの合宿自体、断らなかったんだよ。

 こんなのバレてしまうじゃないか?

 いや、早めに隠れる様に布団に入り、カイムになった所で二人にスリープをかければバレないだろうか?

 

 俺、こんな事も気づかないなんて、これじゃー、何のために必死こいて特待生になったんだか分からない。

 間抜けすぎるだろう……俺。


 
 

 


 

 

 
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