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第二章 新たな始まり
第20話 俺は変態だったのか? ※ (ショウ視点)
しおりを挟むタイアンさんの腕の中で俺は何処もかしこも熱くなってしまっていた。
この湖は結構広い、浅い所までしか入ったことのない俺は、俺を抱きかかえたまま深い所まで入っていくタイアンさんを止める事もできず、だけど泳げないからやっぱり怖くてタイアンさんの腕をぎゅっと掴んだ。
そうすると俺をタイアンさんは抱きしめている訳だから肌と肌がよりいっそう密着した状態になる。
俺の座高の方がかなり低いがタイアンさんは俺が溺れてしまわないように俺の上半身を持ち上げてくれている。
とすると目の前にはタイアンさんの端正な顔があるという事になる。
湯に入っているからかタイアンさんの顔も赤くなっている様に見える。
普段冷たそうに見える鋭い目はそのままだがなんだか色気も含んで見えるのは俺の目がおかしいのだろうか?
なんだかドキドキしてきた。
タイアンさんの息が顔にかかる。
今世では俺は人とあまり関わった事がないんだ。
10歳まではそれこそ幼馴染だったリュウとよくくっついてはいたがあの時は俺に前世の記憶はなかった。
前世の記憶が戻る前の俺は淡泊だったんだ。
こんなこと考えてしまったり、触れて欲しくて身体が熱くなったりしたことなんてなかった。
いや、今だってそうだ。
いくら前世、色々と拗らせていた俺の記憶が戻ったと言ったって、今の俺だって、誰でも彼でもこんな状態になる訳じゃない。
今までの俺は皆から、俺のことを触ったら呪われてしまうのではないか? 不吉な事が起こる。そう言われ続けていた。
だから俺自身が逆に他人には触れない様に気をつけていたし、自分自身が汚いモノだと錯覚してしまうほどに自分を嫌悪してしまう事もあった。
あの頃は一人でいる方が楽だったくらいだ。
今では少しずつ他の人とも関わることも平気になってはきたんだけど……。
そのきっかけをくれたのはタイアンさんだ。
そんなタイアンさんは俺に触れることを躊躇うことはない。
優しく大事なものを触るように触れてくれる。
それだけで俺は嬉しくて色々な感情が込み上げてきていた。
それにだ。タイアンさんの雰囲気が、俺が前世で好きすぎて仕方がなかったアイツと似すぎているんだ。
勝手に俺の身体があの時の拗れまくっていた感情、感覚を思い出し反応してしまう。
身体が変わってまであの頃(前世)のアイツを求めるなんて俺はどれだけ拗らせてんだ。
と言ったってタイアンさんはアイツとは別人なんだからいい迷惑だよな。
ていうかタイアンさん別人なのにどうしてこんなに、匂いまで同じってどんだけだよ……。
なんだか俺は夢にまで見たアイツそっくりの香りに俺の頭はいかれてしまったのかもしれない。
熱い、身体中が熱い……後ろの穴までもが、彼のソレを欲しがるかの様に、濡れてしまっているかと錯覚してしまう程だ。
自分の心臓の音がうるさくてどうにかなってしまいそうだ。
おいおい俺は変態か?
先程も言ったが前世の俺と違ってこの身体は淡白だった筈だ。
前世の俺は経験値は少なかったが、尻穴は自分で寂しく購入した大人のおもちゃによって開発済みだった為、あの時ならば濡れるような尻でもあり得たかもしれない。なーんてそんなことある訳ないだろう!
前世も男だったし、その時も今も濡れる訳はない!
なのにどうして、俺の今世では触った事すらないコノ尻穴が濡れてきていると感じでしまうのだろう。
しかも、奥が……その尻穴の奥が、ジンジンと疼く様な錯覚すらある程だ。
俺は本当に変態かもしれない。
水温が熱いからか俺自身がおかしいからか俺の全身は熱を持ったかの様に熱っていた。
酒など一滴も飲んでいないのに酔ってしまったかの様だ。
それにタイアンさんの様子もおかしい。
俺は現在、前からタイアンさんに抱きつくような形になっている。
先程湖の深い場所に差し掛かったあたりで怖かった俺は子供のようにタイアンさんの腰に自身の足を絡ませてしまっていた。
そしてその俺の尻部分に硬い何かが当たっていることが分かった。
前世を思い出す前の俺だったら、それは何かも分からなかったかもしれない。
だけど今の俺はあの時の、そう言う事に対して興味のなかった俺ではない。
タイアンさん勃起している?
なんかその事実を知っただけで俺のお粗末なものまでもがタッテきてしまった。
その事にタイアンさんも気がついた様だ。
タイアンさんが欲を含む目で俺を見つめてきた。
俺もその目を見つめ返す。
タイアンさんの形のいい唇に触れたい。
そう思った時にはその形の良い唇に塞がれてしまっていた。
タイアンさんに全部飲み込まれてしまうのではないかと思う程激しく唇を吸われ、俺もそれに応えてしまっていた。
そのまま事に及んでしまいそうな雰囲気もあったが、我に返ったようにタイアンさんが俺から顔を離し、目を逸らした。
「すまない。こんな事、こんな無理やりこんな事してしまって申し訳ない」
タイアンさんの言葉に俺自身も我に返った。
俺自身がもっと激しくタイアンさんとキスしたかった。
本当はもっと、もっとタイアンさんが欲しい。
本当はこのまま激しくタイアンさんのモノを奥に俺のアナルに突き刺して欲しい。
「いえ、俺もなんだか、ご、ごめんなさい」
二人ともまだ勃起したままだった。
そりゃそうだ。そんな簡単に萎える訳はない。
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