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第72話 はー、長かった。俺、もう眠い。(ホロ視点)
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ミーちゃんの心はほぐれた。
お嫁さんも前向きになれてきている様に感じる。
後はおばあさん。
俺の見た夢ではおばあさんはかなり身体が低下してしまっていて、眠ってばかりだった。
身体が低下してしまったおばあさん、夢のおばあさんの記憶に入った時の事を思い出してみよう。
夢の中に入る前の空間の中で、星空の様に記憶のかけら達が流れていた。
時おり方向を変えて、漂う様に。
そしてゆっくり漂う記憶の欠片がいくつも重なり合って山の様になっていた。
頭の中で、記憶を塞き止めてしまっている、そんな様にも感じた。
お嫁さんの夢の中で、お嫁さんの記憶も見た。
おばあさんはミーに庇われて、車に轢かれなかった。
もし、自分がおばあさんの立場だったらどうだろう?
自分のせいで、ミーちゃんが轢かれてしまった。
そう思うんじゃないだろうか?
よく人は自分自身を守る為、嫌な記憶を自分で消す、忘れる事で、自分自身の心を守ると聞いた事がある。
つまり、おばあさんはミーちゃんが自分のせいで轢かれてしまった事実、それが辛すぎて重すぎて、その記憶を消し去ってしまったんじゃないだろうか?
と言っても、それは俺の勝手な推測にすぎない。
おばあさん、今、どうしているのかな?
そうじゃなくても夢の中のおばあさんは高齢に見えた。
ミーちゃんとおばあさんと遊んだ夢のおばあさんは本当に同じ人? って言うぐらい若々しかったけど。
笑う事って大事だとそう思うよ。
取り敢えず、おばあさんの元に行こう。
俺はリビングの扉の前まで歩き、扉をカリカリして開けようと心みた。
それを見ていたミーちゃんが俺の側まできた。
「ニャンナーオ? ニャンニャンニャ(どうしたの? 向こうの部屋に行きたいの? 分かったわ。こっちよ)」
ミーちゃんが俺の隣に来て扉の下の方、俺がカリカリしていた、もうちょっと右にある猫用出入り口の扉を潜った。
そ、そうか、べ便利だな。
扉を開けなくても簡単に他の部屋に行けるんだな。
それにしてもミーちゃん。
なんだか明るいと言うか、顔つきが生き生きしている。
やはり愛は最強だな。
なかった自信も取り戻したと言う事だろうか?
俺もミーちゃんを習って猫用出入り口の扉を潜る。
少し廊下を歩くと、ある扉のドアからお嫁さんと雪の話し声が先程よりはっきり聞こえてきた。
ココにおばあさんが居るのかな?
俺はおばあさんが居るであろう扉にも猫用出入り口がある事に気がついた。
俺はミーちゃんを見た。
「にゃん、ニャ?(ミーちゃん。行こう?)」
おばあさん、雪、お嫁さんの居る部屋のドアとミーちゃんを交互に見ながら俺は言った。
ミーちゃんは途端に顔色を悪くし震え出した。
「ニャンニャ、にゃん(い、嫌よ。だ、だって……)」
「ミーちゃん?」
そうお嫁さんの声がしたと同時に扉が開いた。
部屋の中にはベッドが置いてあって、おばあさんはベッドの横にある手すりを持ちながらそのベッドに腰かけていた。
表情は穏やかだった。
雪が俺を見て少し慌てている様だった。
「た、えっとホロちゃん、大人しくしてなきゃ駄目だよ。おいで?」
そう雪が俺を呼ぶ、俺は雪の側に行くフリをしながらおばあさんの足元まで歩いた。
俺を見ておばあさんが反応した。
「ん? 可愛らしいニャンコちゃんだね。あれ? 何処かであった事があったかい?」
なんだかお嫁さんだけじゃなくおばあさんも夢の中より改善されていると言うか、なんだか調子が良さそうに見えた。
「山岡さん、表情も随分良くなりましたね」
雪の声に嬉しそうにお嫁さんが反応する。
「朝峰さんが根気よく、声をかけて下さって、少しだけ変化が見えてきたから、旦那とも話し合って、少し弱目のお薬にお医者さんに言って変えて頂いたの。そうしたら表情も少しずつだけど戻ってきて、まあ元気になっただけ、転ぶ可能性も増えるから気は抜けないんですけどね」
そう言ってお嫁さんが嬉しそうに話す。
そ、そうか。
そうなんだ。良かった。
ミーちゃんは柔らかく笑うおばあさんを久しぶりに見たのか驚いていた。
少しビクつきながらも、でももしかしたらという気持ちを持っているのか、ゆっくりとおばあさんの元まで歩いた。
そして、ミーちゃんはおばあさんの足に擦り寄った。
またおばあさんが反応し、ゆっくりミーちゃんを見た。
おばあさんの表情が驚きに変わり、でも嬉しそうにくしゃっと笑った。
「ミー、ミーちゃん? ミーちゃん? 帰ってきてくれたのかい? 今まで何処に行ってたんだい? 探したんだよ?」
おばあさんの優しい声に安心したのか、ミーがおばあさんの膝に飛び乗った。
おばあさんは優しい目でミーを撫でる。
それを見たお嫁さんの麻沙子さんは心底安心した様に、少し涙目になりながら見守る様に微笑んでいた。
やっとだ。
時間かかったし、俺が何かしたのか?
と問われると疑問だけど、まあ、いいや。
おばあさん、お嫁さん、ミーちゃんが嬉しそうだから、良いや。
はー、長かった。
雪? 仕事は、終わったかな?
駄目だ。
俺、もう眠い。
安心した俺は眠くなってきて、その場で身体を丸くした。
お嫁さんも前向きになれてきている様に感じる。
後はおばあさん。
俺の見た夢ではおばあさんはかなり身体が低下してしまっていて、眠ってばかりだった。
身体が低下してしまったおばあさん、夢のおばあさんの記憶に入った時の事を思い出してみよう。
夢の中に入る前の空間の中で、星空の様に記憶のかけら達が流れていた。
時おり方向を変えて、漂う様に。
そしてゆっくり漂う記憶の欠片がいくつも重なり合って山の様になっていた。
頭の中で、記憶を塞き止めてしまっている、そんな様にも感じた。
お嫁さんの夢の中で、お嫁さんの記憶も見た。
おばあさんはミーに庇われて、車に轢かれなかった。
もし、自分がおばあさんの立場だったらどうだろう?
自分のせいで、ミーちゃんが轢かれてしまった。
そう思うんじゃないだろうか?
よく人は自分自身を守る為、嫌な記憶を自分で消す、忘れる事で、自分自身の心を守ると聞いた事がある。
つまり、おばあさんはミーちゃんが自分のせいで轢かれてしまった事実、それが辛すぎて重すぎて、その記憶を消し去ってしまったんじゃないだろうか?
と言っても、それは俺の勝手な推測にすぎない。
おばあさん、今、どうしているのかな?
そうじゃなくても夢の中のおばあさんは高齢に見えた。
ミーちゃんとおばあさんと遊んだ夢のおばあさんは本当に同じ人? って言うぐらい若々しかったけど。
笑う事って大事だとそう思うよ。
取り敢えず、おばあさんの元に行こう。
俺はリビングの扉の前まで歩き、扉をカリカリして開けようと心みた。
それを見ていたミーちゃんが俺の側まできた。
「ニャンナーオ? ニャンニャンニャ(どうしたの? 向こうの部屋に行きたいの? 分かったわ。こっちよ)」
ミーちゃんが俺の隣に来て扉の下の方、俺がカリカリしていた、もうちょっと右にある猫用出入り口の扉を潜った。
そ、そうか、べ便利だな。
扉を開けなくても簡単に他の部屋に行けるんだな。
それにしてもミーちゃん。
なんだか明るいと言うか、顔つきが生き生きしている。
やはり愛は最強だな。
なかった自信も取り戻したと言う事だろうか?
俺もミーちゃんを習って猫用出入り口の扉を潜る。
少し廊下を歩くと、ある扉のドアからお嫁さんと雪の話し声が先程よりはっきり聞こえてきた。
ココにおばあさんが居るのかな?
俺はおばあさんが居るであろう扉にも猫用出入り口がある事に気がついた。
俺はミーちゃんを見た。
「にゃん、ニャ?(ミーちゃん。行こう?)」
おばあさん、雪、お嫁さんの居る部屋のドアとミーちゃんを交互に見ながら俺は言った。
ミーちゃんは途端に顔色を悪くし震え出した。
「ニャンニャ、にゃん(い、嫌よ。だ、だって……)」
「ミーちゃん?」
そうお嫁さんの声がしたと同時に扉が開いた。
部屋の中にはベッドが置いてあって、おばあさんはベッドの横にある手すりを持ちながらそのベッドに腰かけていた。
表情は穏やかだった。
雪が俺を見て少し慌てている様だった。
「た、えっとホロちゃん、大人しくしてなきゃ駄目だよ。おいで?」
そう雪が俺を呼ぶ、俺は雪の側に行くフリをしながらおばあさんの足元まで歩いた。
俺を見ておばあさんが反応した。
「ん? 可愛らしいニャンコちゃんだね。あれ? 何処かであった事があったかい?」
なんだかお嫁さんだけじゃなくおばあさんも夢の中より改善されていると言うか、なんだか調子が良さそうに見えた。
「山岡さん、表情も随分良くなりましたね」
雪の声に嬉しそうにお嫁さんが反応する。
「朝峰さんが根気よく、声をかけて下さって、少しだけ変化が見えてきたから、旦那とも話し合って、少し弱目のお薬にお医者さんに言って変えて頂いたの。そうしたら表情も少しずつだけど戻ってきて、まあ元気になっただけ、転ぶ可能性も増えるから気は抜けないんですけどね」
そう言ってお嫁さんが嬉しそうに話す。
そ、そうか。
そうなんだ。良かった。
ミーちゃんは柔らかく笑うおばあさんを久しぶりに見たのか驚いていた。
少しビクつきながらも、でももしかしたらという気持ちを持っているのか、ゆっくりとおばあさんの元まで歩いた。
そして、ミーちゃんはおばあさんの足に擦り寄った。
またおばあさんが反応し、ゆっくりミーちゃんを見た。
おばあさんの表情が驚きに変わり、でも嬉しそうにくしゃっと笑った。
「ミー、ミーちゃん? ミーちゃん? 帰ってきてくれたのかい? 今まで何処に行ってたんだい? 探したんだよ?」
おばあさんの優しい声に安心したのか、ミーがおばあさんの膝に飛び乗った。
おばあさんは優しい目でミーを撫でる。
それを見たお嫁さんの麻沙子さんは心底安心した様に、少し涙目になりながら見守る様に微笑んでいた。
やっとだ。
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