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第51話 プディに相談。デンは拗ね気味。(ホロ視点)

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 俺が、ガツガツご飯を食べているのを緩み切った顔で幸太郎が見ている。


 どうしたんだ?

 遊んでほしくても俺は、今は食べる事で忙しいんだ。

 俺のケージの前では目の前に幸太郎が居て、俺が起きた後、真横に居たプディが、幸太郎のすぐ横で毛づくろいをしている。

 俺のすぐ側には、ケージ内のスペースいっぱいになってしまいそうなくらい狭いのにデンが居座り俺の匂いを嗅いでいる。

 俺はご飯中なんだ。
 ん? なんだ? こんなところに入ってまでご飯をねらっっているのか?

 デン、そんなに近いと食べにくいだろう?

 俺じゃなかったら引っ搔かれている所だぞ?

 デンからガン見され、かなり食べにくかったが何とか全部、咀嚼し終わりお腹もふくれ満足した俺は、幸太郎やデンは無視してプディをソファーに誘った。


 ちょっとデンと幸太郎が哀愁漂う目で見ていたが俺はそれどころではない。


 俺は、あの夢でミーとおばあさんといっぱい、いっぱい遊んだんだ。



 ミーとおばあさんと……。本当に楽しかったんだ。時間も忘れるくらい。


 絶対、あの夢に戻ると俺は決めたんだ。

 しんどい、しんどいけど。
 面倒くさがりで不器用な俺が、何ができるか分からないけど……。

 あんな辛い状態にはしておけない。
 俺がした行動で何も変わらないかもしれない。

 だけどやってみないと分からない。


 それに、お嫁さんが主人公の夢には、結局まだ入ってもいない。

 あんな穏やかそうな控え目な感じだったお嫁さんが……。
 もう生きていくことが辛そうというか、日々の生活に疲れ切っている感じだった。





 ソファ―に俺とプディが並んで座る。

 デンもかまってほしそうに見ているが二匹だけで話したいと俺が言ったから、少し離れた所で横になりながらこちらをチラチラ見ている。哀愁漂う目をしているが尻尾はゆらゆら揺れている。


「ニャニャ(デンちゃんかわいそう)」

 ちっともかわいそうとは思っていない口ぶりで言うプディに俺は少しだけ困った表情を浮かべた。(猫なのでちゃんと困った顔になっているか分からないが……)

「にゃにゃにゃ、ニャーゴ(デンはちゃんと後でフォローするよ。幸太郎はあんまり気にして無いみたいだ。幸太郎なんであんなに顔が緩んでいるんだ?)」

 もしかして俺が夢で一生懸命だった時に雪と何か進展があったというのか?

「ナーン、ニャ(何言ってんの。幸太郎はあなたが起きて安心したんでしょ? 今回は手こずっているみたいね)」

「ニャニャ(俺、今回、そんなに長く寝てたのか?)」

 俺の驚いたような固まった表情にプディが呆れたように笑う。

「ナ―ネンニャ(暢気なものね、まあ、少し遅かったし私も心配していたのよ。この作業はかなり精神的にも肉体的にも疲れるから、で、どうなのよ)」

「にゃーにゃーんに(今回はさ、なんか画面が二つ出てきて主人公もそれぞれ一人づついてさ、ちょっと内容も深刻で……。俺なんかが入って行ってどうにかなる内容かは分からないんだけどさ)」

 プディは少し驚いたように耳をピクピクさせた。

 隣に幸太郎が座り俺とプディを撫でる。

「今日はホロもプディちゃんも良く喋るね。元気そうで安心したよ。」
 幸太郎は心底安心したように俺の頭をガシガシッと撫でた。

「ニャニャ(おい、幸太郎、俺は強く撫でられるのが苦手なんだ。それに俺達は今、大事な話をしてるんだ。ちょっとあっちに行っててくれ)」

 そう言っても幸太郎に伝わる訳はない。
 幸太郎はソファーの背もたれに身体を預け、目を閉じた。

「にゃーの?(幸太郎寝たのか?)」

「にんにゃよ(寝てるならいいじゃない。ほっときなさい)」


 それを見たデンも遠慮がちに俺達に近寄り、だけど話は聞こえないふりをしようと寝たふりをしている。

 チラチラ目を開けているからバレバレだが……。

 きっとデンはかまってほしいんだろうな。

 まあいい、話を戻そう。
 俺が再び口を開こうとした時、プディが神妙な顔つきでボソボソと呟いた。
「ニャンニャー(もう、二人同時に……。早いわね)」

「ニャ―ナーニ(えっ、何だって?)」

 俺の言葉に表情をいつもの無表情に戻したプディ。
「にゃーん(別に、何でもないわ。それで今回は無事解決したの?)」

「にんにゃよ(それがさ……。全然、解決してないのに夢から押し出されてしまって)」

「にんにゃーん(なるほどね。夢だからね。その人が起きちゃうと終わっちゃうよね)」

 俺は慌てたようにプディにつめ寄った。
「ニャンニャンナー(えっ、もう同じ夢には戻れないのかよ? 俺は今回全然ちゃんとできなかったんだ)」

「にゃーにゃね(ちょっと落ち着きなさいよ。まだ必要とされているなら、今晩もその夢に行けるわよ。だけどその夢を解決するまで何回も行けるわけじゃないの)」

「ニャンニャト(えっ、どういうことだ?)

 俺はまた、おばあさんやミーちゃんの所に行けるとホッとしたものの、何回も行けないと聞き慌てた。


 行くことに制限時間があるという事だろうか?
 ノンビリ屋で頭の悪い俺が……大丈夫だろうか?
 できるだろうか?


「にゃんにゃ~お、にゃあああんにい、にあにあにあいや(そんな深刻に考えないで。まだアナタがその段階ではないと判断されてパワーの進化が止まったり、少し後退するだけよ。アナタや私みたいなモノは実はまだ居るのよ。だからそのモノ達が救ってくれるわ。救われることが遅れる事にはなるだろうけど。悩んでいる方達は多くいるしね)」


「ニャンヤンニャンニャー(俺以外が助けてくれるのは安心だけど、……だけど俺は、時間がかかっても、俺が何とかしたいんだ。何回くらい同じ人の夢に行けるんだ?)」

 プディは少し話過ぎて疲れたのか幸太郎に少し寄りかかった。
 寝ぼけまなこに幸太郎がプディの頭を撫でる。
「にゃーんや(決まってないから分からないわ。駄目でも罪悪感を持つ必要はないと思うけどね)」

 俺も座っていたのだがソファーにもたれかかる様に身を預け一息をつく。

「にゃんにゃ(罪悪感とかそんなんじゃない。おばあさんやミー、そしてお嫁さんに何かしたい。それだけだ)」

「ニャンニャンン(まあ、とりあえず今夜は行けるだろうから頑張ってみなさい)」


 プディはそう喋った後に大きな欠伸をし、本格的に昼寝を始めた。


 おばあさん、ミー。
 今夜も行くからな。

 会いに、行くからな。

 

 デンがチラチラとまだこちらを見ている。

 さて俺はもう一眠りしたいところだが……。
 とりあえずデンと一走りしてくるかな。

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