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4章

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「けど、身体はどうなんだよ」
「サファリファスさんから許可もらったよ。やりすぎは厳禁って釘も刺されたけどね」

ついでに呆れた視線ももらってしまったけど。でも、おれもそろそろ限界なんだ。

「我慢してたのは、おれも一緒なんだよ? それに思ったんだ……」

ずっと、親になるってどういうことか考えていた。カーネリアン家。ガレイダス家。アレクシア家。ラディア王族。四ノ宮家。家族の数だけ、色んな形がある。

「おれも、おれの家族の形をつくりたい」
「それは……」

期待に満ちた目でおれを見つめるのに口で確認しないのは、おれがそんな意味で言っていないかもしれないと思っているからかな。自分の鈍感のせいだから自業自得だけどさ。
彼らを思ったよりも悩ませていたらしい鈍感な自分に苦笑した。

「恋人って関係も良いけど、夫婦になりたい。ダレスティア、ロイ、オウカ、おれ。四人で家族になりたいです」

まさかプロポーズが一妻多夫のものになるなんてなぁ。おれから言い出して、それも妻はおれだし。日本にいた頃のおれには、到底想像もできないだろうな。
なんだか感慨深い気持ちになっていたおれは、突然浮いた身体に一瞬反応が遅れた。

「え? えっ!?」
「タカト……今そんなことを言うなんて、やっぱり酷い奴だ」
「は……ちょっ、どこ行くの!?」

オウカはおれを肩に担ぎ上げたまま団長室を出て、廊下を歩いていく。こんな恥ずかしい状態を誰にも見られませんようにという願いが届いたのか、オウカが辿り着いた部屋に入るまで誰にも会うことはなかった。

「うわっ!?」

ようやく降ろされたのは、懐かしさを感じるベッドの上。見渡せば、そこは宿舎にあるおれの部屋だった。入るのは久しぶりだというのに、触れるベッドのシーツにも埃を被っている様子もなく、定期的に清掃されていることが窺える。
ギシッというベッドが軋む音で我に帰ったおれがオウカに目を戻すと、おれに覆いかぶさるようにおれの身体の両側に手をついてきた。
その勢いに圧されて完全に身体を横たわらせてしまったおれの腰に、オウカの下腹部が当たった。

「えっ!?」
「何をそんなに驚くことがある」
「だっ、だって……え、なんで?」

ズボンの生地の上からでもはっきりと分かるほど、オウカの男根は固く勃起していた。どこにこれほど興奮する場面があったのかと驚くおれに対して、オウカはこうなって当たり前だと言わんばかりの表情で服を脱ぎ、おれの着衣も乱していく。

「夫婦になりたいって言われて、喜ぶのは当たり前だろ」
「よっ、喜ぶどころか興奮してるじゃん!」

喜んでくれたのは嬉しいけど、こんなに興奮されるとは思わなかったよ!

「まさかタカトから、あんなに可愛い顔で結婚したいと言われるとは思わなかった。一か月、神竜にちょっかいかけられては竜王に睨まれてたことへのご褒美か?」

相変わらず不憫な目にあってたのか……神竜には後で苦情を言わなきゃな。

「もちろん、神竜に誘惑されても靡かなかったよね?」
「当たり前だろ。俺はずっと神竜に魅了されてたんじゃなくて、お前に惹かれてたんだ。神竜の魅了の力には負けたが、自分が誰を想っているかくらいは分かってたぞ」

ちょっとヤキモチの八つ当たりするつもりが、返り討ちにあってしまった。この狼は、何度惚れ直させれば気が済むのだろうか。

「おい、タカト」
「何……っ、んんッ!?」

頬が染まっているだろうおれの顔を見下ろしていたオウカが、噛みつくように口を塞いできた。引き出されたおれの舌に鋭い牙が軽く当てられて、チクチクと小さな痛みを与えてくる。その痛みが快楽に代わるのは時間の問題だ。
嘗め回すような舌の動きに口内を翻弄されて、ぐちゅぐちゅとした卑猥な音が耳に入ってくる。荒々しいキスに快感を覚え始めた舌を取り戻したくても、絡みついた長くて大きな舌が離してくれない。

「んぅッ! んぁっ、ぁん、む、んんっーッ!! ッは、ぁ、っ……」

やっと口を解放された頃には、口の中がでろでろに溶けてしまったような感覚で、唇は腫れたのか軽く熱を持っているようだった。
締まらない口の端から零れ落ちる唾液を、おれを蕩けさせた熱い舌が舐めとる。
快楽の涙で潤んだ目を瞬いて、おれは文字通り狼になったオウカを睨みつけた。

「オウカっ!」
「そんな目で睨んできても、余計に興奮させるだけだぞ。……あー、本当はダレスティアとロイが来るまで待っていてやろうと思ってたが、無理だな」
「ひゃァっ!?」
「今すぐ抱きたくてたまんねぇわ」

勢いよく乳首に噛みつかれて、剥ぎ取るようにズボンとパンツを一緒に脱がされた。思わず悲鳴のような嬌声が出てしまい、咄嗟に口を手で押さえる。羞恥の熱でおれの顔は真っ赤に染まっているだろう。
頭をおれの胸に埋めて、噛みついた乳首を労わるように舐めていたオウカは、獰猛な目でおれをの顔を見上げると口を押えていた手を取り上げてしまった。

「隠すなよ。声も抑えるな。全部見せて、聞かせろ」
「やっ……」
「お前、少し乱暴にされるのも好きだろ? ここ噛んだ瞬間、ここも一気に硬くなったからな。丸わかりだ」

ぎゅっと握りしめられた男根は、既に快楽の蜜でドロドロだ。
力強い雄に組み敷かれている。そのことに興奮してしまうようになったのは、神竜による竜の雌としての影響か、それともおれの潜在的な性癖か……
どちらにしろ、雌堕ちしたと感じさせられているようなこの状況に、おれがとてつもなく興奮してしまっていることは事実だ。

「ああッ!!」

大きなゴツゴツとした手で握りしめられて上下に扱かれる。すでに絶頂してしまいそうだった陰茎は更に濡れそぼり、今にも弾けてしまいそうだ。

「まだ出すなよ。無理は禁物って坊ちゃんから釘を刺されてるんだからな。あまり出して体力消耗しない方がいいだろ」
「んぅッ! そ、そんなことッ、言ったって……はぁ、ぁあッぐ、ぅーッ!!」

我慢なんて無理だと思った瞬間、達する寸前だったその雁首をぎゅっと指の輪で絞めつけられた。根本を絞めつけて止められるよりも強い、出せない苦しみがおれを襲った。思わず足がシーツを蹴り、指が攣りそうなほど力が入る。
制御できない、今にも破裂しそうな水風船のような感情がおれの胸に渦巻く。

「やだ……うぅっ、出したい……」

胸の奥から滲む焦燥感に突き動かされるように、腰が勝手に動いてしまう。まるでオウカの手を使って自分で扱いているような、そんな卑猥な腰使い。

「タカト……」

ゴクッと唾を飲み込む音が聞こえたと思った次の瞬間には、おれの脳はもう思考力を失っていた。

「あっ――――ッ!!」

抱かれ慣れて柔らかくなった後蕾に、指が二本突き立てられた。中を広げるように指が動き、ぬかるんだ肉壁の中に沈んでいる神経の塊を発見すると、すぐに指がその快楽の実を遠慮なく押し込んだ。
まるで脳内でスパークが起こったかのようだ。目の奥もチカチカと光が瞬いているような錯覚を感じる。
強すぎる快楽はおれを内側から破壊するようだった。
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