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番外編
その狼の愛は止まることを知らない 10
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「あ~、オウカもアリスもダレスティアもリノウ王子にも、タカトみたいな可愛げが欲しかったわ!!」
「奥様、あまり興奮されてはいけませんよ」
「クーちゃんとタカトだけが私の癒しよ……!」
「聞いておりませんな」
尻尾をぶんぶん振っている夫人の喜びようは、どことなくクーロに似ていた。
ダレスティア……夫人がこんなにお茶目な人だって聞いてないよ?
「オウカは昔からやんちゃで、アリスは魔法にしか興味無し。ダレスティアとリノウ王子は逆に凄く良い子だけど、優秀すぎて大人びてたわ」
もの凄く想像できる。昔から変わってないんだな、みんな……。
「幼い頃のあの子達は、みんなそれはそれは愛らしかったけれど……子どもらしい可愛げだけはどこかに置いてきてしまっていたのよねぇ……。ミシュラもそう思うでしょう?」
「皆様とても立派に成長されましたので、私としましてはあの頃の皆様も微笑ましい限りです」
当然だけど、夫人とミシュラさんはみんなの幼い頃を知っているんだよな……見てみたかったなぁ。
「だからクーちゃんはもうすっごく可愛いのよね! タカトも素直な感じは凄く可愛らしいわ! タカトもうちの子になってくれたらよかったのに……ラシュドが無理って言うのよ」
「あはは……おれが養子になるのは、神子の兄という立場からして特定の家の権力が上がる可能性があるから難しいって聞きました」
「そうなのよねぇ……でも、オウカのお嫁さんとしてきてくれるのなら何も問題は無いわよね?」
「へ?」
にっこりと笑う夫人の顔をぽかんと見つめ返すと、ガゼポのドアが急に開かれた。
「母さん! その話はしないって約束だっただろ!?」
焦った表情のオウカが慌ただしい足取りで入ってきて、俺の座る椅子の横に立った。
「あら、オウカ。ラシュドとのお話は終わったの?」
「終わったよ。もう少ししたら親父の書類仕事も終わるから、子犬を連れてくるってさ」
「そう。それで貴方はタカトちゃんが私に虐められていないか心配して先にこっちに来たってことね?」
「タカト……ちゃん?」
「タカトちゃんって可愛いわね! 私この少しの間でも好きになっちゃったもの~! 貴方が惚れるのも分かるわ!」
「ああ……うん……タカトちゃん……ね」
哀れみの目で見られた。俺がそう呼ばれるのを恥ずかしがっているの分かってるなら夫人を止めてくれ……
「だからね? タカトちゃんがお嫁に来てくれたら嬉しいなぁって私は思ったのだけれど。ミシュラもそう思うでしょ?」
「そうですなぁ。確かに坊ちゃんの恋人のままではもったいないお方だと思います」
「そうよねぇ!」
「はぁ……二人とも、タカトが困ってるだろ? 悪いなタカト。ミシュラは母さんの生家から一緒にカーネリアン家に来た昔からのお世話係で悪友なんだ。二人揃うと調子に乗ってあれこれしでかす」
「まぁ人聞きの悪い!」
オウカの言葉に心外だとばかりに声を高める夫人だが、オウカの目が語っている……この二人に相当いろんな目にあわされたと。
「貴方が悪戯ばかりする悪ガキだったからでしょう? 私とミシュラはお仕置きをしたにすぎません!」
「……オウカ?」
「いやえっと……」
心当たりが多いようだ。目を逸らすオウカの脇腹を、笑いを堪えながらつついてやった。
「奥様、あまり興奮されてはいけませんよ」
「クーちゃんとタカトだけが私の癒しよ……!」
「聞いておりませんな」
尻尾をぶんぶん振っている夫人の喜びようは、どことなくクーロに似ていた。
ダレスティア……夫人がこんなにお茶目な人だって聞いてないよ?
「オウカは昔からやんちゃで、アリスは魔法にしか興味無し。ダレスティアとリノウ王子は逆に凄く良い子だけど、優秀すぎて大人びてたわ」
もの凄く想像できる。昔から変わってないんだな、みんな……。
「幼い頃のあの子達は、みんなそれはそれは愛らしかったけれど……子どもらしい可愛げだけはどこかに置いてきてしまっていたのよねぇ……。ミシュラもそう思うでしょう?」
「皆様とても立派に成長されましたので、私としましてはあの頃の皆様も微笑ましい限りです」
当然だけど、夫人とミシュラさんはみんなの幼い頃を知っているんだよな……見てみたかったなぁ。
「だからクーちゃんはもうすっごく可愛いのよね! タカトも素直な感じは凄く可愛らしいわ! タカトもうちの子になってくれたらよかったのに……ラシュドが無理って言うのよ」
「あはは……おれが養子になるのは、神子の兄という立場からして特定の家の権力が上がる可能性があるから難しいって聞きました」
「そうなのよねぇ……でも、オウカのお嫁さんとしてきてくれるのなら何も問題は無いわよね?」
「へ?」
にっこりと笑う夫人の顔をぽかんと見つめ返すと、ガゼポのドアが急に開かれた。
「母さん! その話はしないって約束だっただろ!?」
焦った表情のオウカが慌ただしい足取りで入ってきて、俺の座る椅子の横に立った。
「あら、オウカ。ラシュドとのお話は終わったの?」
「終わったよ。もう少ししたら親父の書類仕事も終わるから、子犬を連れてくるってさ」
「そう。それで貴方はタカトちゃんが私に虐められていないか心配して先にこっちに来たってことね?」
「タカト……ちゃん?」
「タカトちゃんって可愛いわね! 私この少しの間でも好きになっちゃったもの~! 貴方が惚れるのも分かるわ!」
「ああ……うん……タカトちゃん……ね」
哀れみの目で見られた。俺がそう呼ばれるのを恥ずかしがっているの分かってるなら夫人を止めてくれ……
「だからね? タカトちゃんがお嫁に来てくれたら嬉しいなぁって私は思ったのだけれど。ミシュラもそう思うでしょ?」
「そうですなぁ。確かに坊ちゃんの恋人のままではもったいないお方だと思います」
「そうよねぇ!」
「はぁ……二人とも、タカトが困ってるだろ? 悪いなタカト。ミシュラは母さんの生家から一緒にカーネリアン家に来た昔からのお世話係で悪友なんだ。二人揃うと調子に乗ってあれこれしでかす」
「まぁ人聞きの悪い!」
オウカの言葉に心外だとばかりに声を高める夫人だが、オウカの目が語っている……この二人に相当いろんな目にあわされたと。
「貴方が悪戯ばかりする悪ガキだったからでしょう? 私とミシュラはお仕置きをしたにすぎません!」
「……オウカ?」
「いやえっと……」
心当たりが多いようだ。目を逸らすオウカの脇腹を、笑いを堪えながらつついてやった。
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