71 / 78
番外編
その狼の愛は止まることを知らない 6
しおりを挟む
「先日父上と一緒に宿舎に来られたのだが、ラシュド様が夫人を溺愛なさっていることは周知の事実だったからな。これまで何度も夫人の自慢を聞かされてきた父上は耳が溶けそうだと悪態をついていらしたが……今の私はラシュド様の気持ちがよく分かる」
目が合うだけで心臓が高鳴りそうなほどの熱い視線を向けられて、おれは照れに視線をうろつかせた。
近頃、ダレスティアが熱烈な愛を向けてくれる。それがまた、こちらが赤くなってしまうほど甘い愛情なのだ。
「ダレスティア、最近なんだか、その……」
どう言えばいいか分からずただ照れて悶えているだけのおれを見つめていたダレスティアは、ふっと笑うとおれの頬を指の背で優しく撫でた。
「我慢することをやめただけだ。愛は隠すことではないと、理解した」
「そ、そう……」
「嫌か?」
「嫌じゃないよ! 嫌じゃないけど、ちょっと照れる……」
「それは慣れてもらうしかないな」
一生慣れることはないと思う……。
ダレスティアのこの微笑みを見慣れる人なんていないと思う。おれは知ってるぞ。ダレスティアがちょっと微笑んだだけでリュシアンが猫みたいに目を真ん丸に見開いてガン見するほど驚いてたってこと。
「……努力するね」
家族でも見慣れていないのに、おれが慣れる日は絶対に来ない。そう思ったことは内緒にして、おれはへらっと笑って誤魔化すことにした。ダレスティアは苦笑して、おれの下手な誤魔化しに乗ってくれた。
「それで、カーネリアン夫人について気になっていたことは分かったか?」
「あ、うん。教えてくれてありがとう」
「鷹人の力になれたのなら、いい」
「めちゃくちゃ助かりました!」
そうか、と微笑むダレスティアに、おれはまた顔を手で覆った。
だから! かっこよすぎるんだってば!!
目が合うだけで心臓が高鳴りそうなほどの熱い視線を向けられて、おれは照れに視線をうろつかせた。
近頃、ダレスティアが熱烈な愛を向けてくれる。それがまた、こちらが赤くなってしまうほど甘い愛情なのだ。
「ダレスティア、最近なんだか、その……」
どう言えばいいか分からずただ照れて悶えているだけのおれを見つめていたダレスティアは、ふっと笑うとおれの頬を指の背で優しく撫でた。
「我慢することをやめただけだ。愛は隠すことではないと、理解した」
「そ、そう……」
「嫌か?」
「嫌じゃないよ! 嫌じゃないけど、ちょっと照れる……」
「それは慣れてもらうしかないな」
一生慣れることはないと思う……。
ダレスティアのこの微笑みを見慣れる人なんていないと思う。おれは知ってるぞ。ダレスティアがちょっと微笑んだだけでリュシアンが猫みたいに目を真ん丸に見開いてガン見するほど驚いてたってこと。
「……努力するね」
家族でも見慣れていないのに、おれが慣れる日は絶対に来ない。そう思ったことは内緒にして、おれはへらっと笑って誤魔化すことにした。ダレスティアは苦笑して、おれの下手な誤魔化しに乗ってくれた。
「それで、カーネリアン夫人について気になっていたことは分かったか?」
「あ、うん。教えてくれてありがとう」
「鷹人の力になれたのなら、いい」
「めちゃくちゃ助かりました!」
そうか、と微笑むダレスティアに、おれはまた顔を手で覆った。
だから! かっこよすぎるんだってば!!
231
お気に入りに追加
8,768
あなたにおすすめの小説
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。