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番外編

その狼の愛は止まることを知らない 6

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「先日父上と一緒に宿舎に来られたのだが、ラシュド様が夫人を溺愛なさっていることは周知の事実だったからな。これまで何度も夫人の自慢を聞かされてきた父上は耳が溶けそうだと悪態をついていらしたが……今の私はラシュド様の気持ちがよく分かる」

目が合うだけで心臓が高鳴りそうなほどの熱い視線を向けられて、おれは照れに視線をうろつかせた。
近頃、ダレスティアが熱烈な愛を向けてくれる。それがまた、こちらが赤くなってしまうほど甘い愛情なのだ。

「ダレスティア、最近なんだか、その……」

どう言えばいいか分からずただ照れて悶えているだけのおれを見つめていたダレスティアは、ふっと笑うとおれの頬を指の背で優しく撫でた。

「我慢することをやめただけだ。愛は隠すことではないと、理解した」
「そ、そう……」
「嫌か?」
「嫌じゃないよ! 嫌じゃないけど、ちょっと照れる……」
「それは慣れてもらうしかないな」

一生慣れることはないと思う……。
ダレスティアのこの微笑みを見慣れる人なんていないと思う。おれは知ってるぞ。ダレスティアがちょっと微笑んだだけでリュシアンが猫みたいに目を真ん丸に見開いてガン見するほど驚いてたってこと。

「……努力するね」

家族でも見慣れていないのに、おれが慣れる日は絶対に来ない。そう思ったことは内緒にして、おれはへらっと笑って誤魔化すことにした。ダレスティアは苦笑して、おれの下手な誤魔化しに乗ってくれた。

「それで、カーネリアン夫人について気になっていたことは分かったか?」
「あ、うん。教えてくれてありがとう」
「鷹人の力になれたのなら、いい」
「めちゃくちゃ助かりました!」

そうか、と微笑むダレスティアに、おれはまた顔を手で覆った。
だから! かっこよすぎるんだってば!!

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