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登場人物
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卒業時基準
ベアトリーゼ・マルベリー 十八歳
亜麻色の髪と、若草色の瞳。目立つタイプではないが、野の花のように可憐。
マルベリー伯爵家。六歳の時に女伯爵だった母親が亡くなって以来、不遇の立場に。
本来ならマルベリー伯爵家の正統なる当主。
おどおどして気弱だったが、クロードに一目惚れしてからパワフル恋愛体質に激変。
クロード至上主義で、それを基準に物事を考えるようになった。
恋する乙女は最強を地で走る。我が道を作り、アスファルトで舗装するレベル。
実は転移型の勇者の子孫であり子孫は異世界転生した魂もちが多い。
物理:魔法が5:5のバランス型勇者であるが、魔法は強化系なので5+5ではなく5×5か5の5乗。えっぐいほどの感情の暴走ブーストがついている。
別名恋愛ゴリラ、もしくは恋愛ヤクザ。
初代勇者はダーリンの賢者(ちょっと根暗なシャイボーイ)との初ちゅーを邪魔した魔王と裏ボスを釘バットで殴殺した。
数多の災厄を鏖殺した『聖棍エクスカリバット』は王家の宝物庫にある。
デート中に魔王が軍勢を引き連れて襲撃したのだが、タイミングが悪すぎた。
その日、王家は恋愛中の勇者(のちに子孫も)は敵に回したらいけないと学ぶ。極秘の王室典範に乗るレベル。
代々一目惚れをしてはメンタルゴリラと化す恋愛暴走列車。たまーにしない人もいる。
本人自覚はないが、数多の暗殺や謀略を未然に防止したと叙勲を受けている。
また、騎士団の大半を自分の舎弟にしているのでクロードと王太子に大変役に立っている。
数年後『クロード様の為に握った貴族たちの弱みのリスト』が猛威を振るうこととなる。
初恋、不倫、借金歴、危ない性癖から人生の暗黒点が満載。
クロードから見れば、それは貴族たちの秘密の裏人脈を網羅した禁書に近い。
クロード・ケッテンベル 三十歳
金髪に水色の瞳。目つきが悪く、端正だが冷たく強面だという印象の方が強い。
ケッテンベル公爵家次男。王宮で文官をする出世頭。王太子の右腕であり、背格好が近いので影武者をすることもある。
次期宰相として有力視されている。
非常に優秀だが冷静、冷徹といわれ血の通わない機械人形と揶揄されるほど。
当初はタチアナと婚約し、マルベリー家に婿入りする予定だった。
タチアナは親が言うから婚約をした。貴族としての義務。そうでなければ会話もしない。
マルベリー家は(功績や褒賞に興味がない故に恋愛ゴリラゆえに)中堅だが、領地はマルベリー関係者しか統治できない場所が多く、(忠誠心は兎も角、伴侶や恋人にまともなのを据えれば)武力勢力として非常に優秀な一族なのでダニエルやルビアナに食い散らかされてはならないと、立て直すよう王命が下りていた。
クロードとタチアナの婚約は陽動で、実は本当の狙いはそこからベアトリーゼと接触してローゼスとの縁談を狙っていた。
だが、ダニエル達がベアトリーゼを家族としても紹介しなかったせいで会えずじまい。
その後、ベアトリーゼがまさかのクロードに一発逆転ホームラン張りのフォーリンラブ。
戸惑いつつもゴリッゴリに押されて婚約することに。非常に丸く収まる。
一回り年下のベアトリーゼには頻繁に驚かされているが、自分をとても慕い真っすぐな好意を伝え続けるひたむきさは好印象。なんだかんだでベアトリーゼは悪からず思っている。
問題も起こすが、誰かがベアトリーゼの地雷を踏まなければ大人しい子なのは解っているから、ベアトリーゼに対しては優しい。
婚約当初からじわじわとマルベリー家を掌握しており、結婚と同時に伯爵となった。実権も、使用人たちの心もしっかり握っている。
ベアトリーゼの暴走を唯一鎮静化できる人物。
ベアトリーゼを有効活用しつつ、きちんと守っている。
実はベアトリーゼが卒業か十八歳になるのを待つよりもっと早く結婚する予定だった。だが、プロポーズ→結婚が順当だろうとプロポーズするとベアトリーゼが狂喜のあまり失神して流れ続けていた。起きたベアトリーゼは「いい夢を見た気がする」とスポーンと忘れている。
仕方ないので「学園を卒業したら結婚しましょう」と当初の取り決め通りとなった。
ロリコンではない。
タチアナ・マルベリー 二十四歳
金髪にダークブルーの青い瞳。豊満なスタイルで芳しく匂い立つ百合のような美しさ。だが、間違っても白百合ではない。
異母姉。クロードが好みではないと嫌っていた
自由奔放で、クロードの従僕のマルセルを誘惑して駆け落ちをした。
その際に、ケッテンベル公爵家の宝石やマルベリー家の資産を持ち逃げした。
実は売り払った宝石の中に、セシリアがなくしたと思った一級品のスタールビーがあり、そこから遅かれ早かれ足がついていた。
実は金だけではなく、セシリアが善意という独善で巻き上げていた品をいくつか着服している。
本当の父親はモーリッツ男爵であり、マルベリー家の娘ではない。
今は貴族籍を剥奪され、ケッテンベルの僻地領の使用人をしている。
ダニエル達はまた駆け落ちしたと思っている。
セシリア・マルベリー 十八歳
大輪の赤薔薇のように美しい。ベアトリーゼの異母妹。半年違い。
外見だけはまさに天使のような正統派の金髪碧眼の美少女。
天真爛漫で、勉強やお作法はちょっと苦手。
悪気なくナチュラルにベアトリーゼを貶し、自分を持ち上げる。そしてそれは当たり前のことだと思っている。
家ではそれがいい子扱いだが、外では……?
幼い頃は貧しく、異性関係が派手なルビアナやタチアナを見て育ったため貞操観念が緩い。
幼い頃の貧しさから貴族であることに執着が激しく、もともと貴族であるベアトリーゼより優位でありたいと歪んだ対抗意識が根底にある。
その割には貴族としての教養が疎かであり、自分に厳しい教師や使用人から耳を背け続けていた。逆に優しい――むしろ毒砂糖のように甘ったるいダニエルやルビアナ、タチアナばかりに傾倒していた。
社交界や学校では、苦言を呈す女子生徒やまともな男子より、自分をチヤホヤしてくれる異性ばかりにばかり関わっていた。
ダニエルではなく、数いる愛人との子。
マルベリー伯爵家との縁が切れた途端、チヤホヤしていた男子たちも手のひらを返した。
地味で質素な修道女は断固拒否。
素行の悪さから縁談がなく貴族の愛人になるか、娼婦になるしかない状態。
学園中退後、地獄へのカウントダウンが始まる。
ダニエル・マルベリー 四十五歳
優男風の褐色の髪に青い瞳。別に有能ではない凡庸な人間。美人に弱い。
マルベリー伯爵。ただし、ベアトリーゼが成人するか結婚するまでだったがはっちゃけた。
タチアナにクロードを婿入りさせて、実権を握り続けようとしたがまさかの逃亡。
最初ベアトリーゼは嫌いではないが、タチアナやセシリアを溺愛するに従ってどうでもよくなり雑に扱うようになった。
婿養子であり、元はバティス子爵家の三男坊。成績が微妙過ぎて武官にも文官にもなれなかったが、父親が当時のマルベリー家当主に泣きついて何とか婿入りをさせることができた。
婿入り当初は真面目だったが、エチェカリーナが死んでから急激に下衆くなった。
本人は悪気はない。というより『非常識な事や悪いことをしている自覚がない』というさらにたちが悪い状態。
ベアトリーゼが勝手にクロードにのぼせ上っていると高をくくっていたら、気づけば八方塞がり。
恋愛に有頂天になっている間に好き放題やろうとしたら、ベアトリーゼはクロードに不利益な事は全拒否で、クロードの掌握が猛追を見せていた。使用人はダニエルだけには万年反抗期で、心の拠り所が後妻とその娘たち――そして周囲の視線はもっと冷たくなる負のスパイラル。
悪事がばれて、ベアトリーゼの結婚式にも出ることなく蟄居どころかマルベリー領地から追い出されて実家に返品された。
バティス子爵家も、折角格上に婿入りさせることができたのにその奔放な振る舞いで酌量の余地なしと叩きだす。
ローゼス・ケッテンベル 十八歳
ケッテンベル公爵家三男。
金髪に水色の瞳の紅顔の美少年。華やかで、幼い頃はまさに天使。
幼少期は正義感が強いと言えば聞こえがいいが、やや我儘だった。しかし、ベアトリーゼに振り回されて思慮深く忍耐強い性格になった。
強者に敏感で、生存本能が高い。危険な時ほど勘が鋭く頭が回る。
未来の義姉に心身ともにバチボコにされて、大人になった。
痛みとは人を時に成長させる。
義姉さんと呼ぶことにより、多少はベアトリーゼの態度が優しくなることを知った。
ベアトリーゼに稽古を頼み、メキメキと剣の腕を上げている。
ローゼスが太ると、大体ベアトリーゼが原因。
恋愛暴走列車のベアトリーゼと、それを操縦しきるクロードには頭が上がらない。
ベアトリーゼの人生における舎弟一号は、この人。
フリード・ケッテンベル 三十二歳
ケッテンベル次期当主。そろそろ継ぐが、弟の縁談が色々あって延び延びに。
優し気で端正な顔立ちで金髪に水色の瞳。物腰の柔らかそうなクロードとローゼスの兄。腹黒いところがある。
ベアトリーゼを嫁にと云ったのは、本来正当な後継ぎだから。
色々と悪い噂の多いダニエルとその後妻たちを追い払う様に王命が下っていたため、クロードを使いタチアナとの縁談を結んだ。
隙を見て、ローゼスとベアトリーゼを顔を繋いで、のちに婚姻を入れ替えるつもりがまさかのクロードで一本釣りが成功。
あと年齢を理由に多少は罪を緩めるべきかと思っていたセシリアだが、悪意無き悪癖は足手まといにしかならないと判断。年々悪化し、エスカレートするので慈悲は断捨離決定。
思ったよりたちの悪い娘だったし、その判断は正解。
クロードにベタ惚れのベアトリーゼは面白いがその逆鱗に触れるのが正直怖くて、クロード以外には手綱が握れないと英断を下した。
マーカス・ケッテンベル 五十三歳
クロード達の父親。様子がおかしいマルベリー家に危機感を抱くハルステッド王国の重鎮。
娼婦の娘に次男をやむおえず差し出すしかないかと思いきや、使用人と駆け落ちしたので棚ぼた。
愉快なベアトリーゼはなんだかんだで可愛く思っている。
未来の義娘はよく愛のシャウトが猛っている。激しいが、そういう時は三男のローゼスを差し出す。
ローゼスの優秀という天狗鼻も女の子のボロクソにされるということで青春的な反抗期が早期サービスを迎える。
ある意味一番ベアトリーゼを上手く利用した人。
にっこにこでベアトリーゼとバージンロードを歩いた。
サマンサ・ケッテンベル 五十歳
新しい嫁候補が、次男が好きすぎてバチクソに笑える。
色々問題児だった三男はとても大人しくなった。ラブパワーの圧がすごい。
クロードが関わらなければ、ちょっと内気な可愛らしい女の子のベアトリーゼ。
ちゃんと真面目に花嫁修業もしているので暖かく見守っている。
一度庭木をへし折ったのはちょっとびっくり。のちに王太子妃の窮地を救ったのと判明したので今までどころかその後の暴走も一切不問とした。
これをきっかけに国王や王妃から感謝されてケッテンベルの勢力は急拡大し、むしろ棚ぼた。
ルビアナ・マルベリー 四十八歳
金髪にダークブルーの瞳。タチアナとよく似た色気ある美女。
タチアナとセシリアの母親。元は娼婦で、篭絡したモーリッツ男爵家に何とか正妻として嫁いだが、不細工な夫に愛想を尽かせて一年足らずで別居。
タチアナはその男との娘だが、同時進行でダニエルと浮気をしていたので嘘をついた。
その後、ダニエルに偽造戸籍を作ってもらい再婚したが実際はメッテルニヒ・モーリッツ男爵との婚姻関係が続いている。
セシリアは誰の娘だかわからないが、一番爵位が高く財産もある中で色味が近いダニエルの子供ということにした。
実際は馬丁との子供。つまりセシリアはどっちにしろ貴族ではない。
エチェカリーナ・マルベリー 享年二十六歳 ※ベアトリーゼ6歳の時
馬車の滑落事故により死亡。マルベリー女伯爵だった。
ベアトリーゼの母親でもあった。
別にダニエルは嫌いでもないが好きでもなく、よくある政略結婚だと納得していた。
だが、自分の死後のベアトリーゼへの対応を知っていたらバチボコにして追い出していた。
おっとりして見えて、国一番の剣豪だった。強化魔法で全てを無に帰す。
多分、ダニエルあたりにはヤシの実を目の前で粉砕して、次はテメーの頭だ位云う。
残念ながら、運命の人とは巡り合えなかった。でも強かった。
ティトス・フィン・ハルステッド 三十歳
ハルステッド王国の王太子にして第一王子。
文武両道で気さくな性格。だからといってマナーはどぶに捨ててはいない。
冷静沈着な侍従にパワフルすぎる幼い婚約者ができて、その奇行・珍行動の報告が常に楽しい。
ベアトリーゼを目の前にすると、目の前の大人しそうな少女と報告に上がる世紀末覇者っぷりに笑いを堪えすぎて真顔になる。
ほったらかしにすると、クロードや自分にとって害悪である存在を駆逐してくれる可愛い破壊神。
アルテナ・クレア・バルトロメロイ 二十四歳
プラチナピンクの髪に菫色の瞳。凛とした美人。
王太子の婚約者→王太子妃。この国を知りたいと時々市井に降りたり、魔物狩りをしたりするアクティブ王女。
陽気で芯の強い性格。王太子と並んで人気が高い。
ベアトリーゼ・マルベリー 十八歳
亜麻色の髪と、若草色の瞳。目立つタイプではないが、野の花のように可憐。
マルベリー伯爵家。六歳の時に女伯爵だった母親が亡くなって以来、不遇の立場に。
本来ならマルベリー伯爵家の正統なる当主。
おどおどして気弱だったが、クロードに一目惚れしてからパワフル恋愛体質に激変。
クロード至上主義で、それを基準に物事を考えるようになった。
恋する乙女は最強を地で走る。我が道を作り、アスファルトで舗装するレベル。
実は転移型の勇者の子孫であり子孫は異世界転生した魂もちが多い。
物理:魔法が5:5のバランス型勇者であるが、魔法は強化系なので5+5ではなく5×5か5の5乗。えっぐいほどの感情の暴走ブーストがついている。
別名恋愛ゴリラ、もしくは恋愛ヤクザ。
初代勇者はダーリンの賢者(ちょっと根暗なシャイボーイ)との初ちゅーを邪魔した魔王と裏ボスを釘バットで殴殺した。
数多の災厄を鏖殺した『聖棍エクスカリバット』は王家の宝物庫にある。
デート中に魔王が軍勢を引き連れて襲撃したのだが、タイミングが悪すぎた。
その日、王家は恋愛中の勇者(のちに子孫も)は敵に回したらいけないと学ぶ。極秘の王室典範に乗るレベル。
代々一目惚れをしてはメンタルゴリラと化す恋愛暴走列車。たまーにしない人もいる。
本人自覚はないが、数多の暗殺や謀略を未然に防止したと叙勲を受けている。
また、騎士団の大半を自分の舎弟にしているのでクロードと王太子に大変役に立っている。
数年後『クロード様の為に握った貴族たちの弱みのリスト』が猛威を振るうこととなる。
初恋、不倫、借金歴、危ない性癖から人生の暗黒点が満載。
クロードから見れば、それは貴族たちの秘密の裏人脈を網羅した禁書に近い。
クロード・ケッテンベル 三十歳
金髪に水色の瞳。目つきが悪く、端正だが冷たく強面だという印象の方が強い。
ケッテンベル公爵家次男。王宮で文官をする出世頭。王太子の右腕であり、背格好が近いので影武者をすることもある。
次期宰相として有力視されている。
非常に優秀だが冷静、冷徹といわれ血の通わない機械人形と揶揄されるほど。
当初はタチアナと婚約し、マルベリー家に婿入りする予定だった。
タチアナは親が言うから婚約をした。貴族としての義務。そうでなければ会話もしない。
マルベリー家は(功績や褒賞に興味がない故に恋愛ゴリラゆえに)中堅だが、領地はマルベリー関係者しか統治できない場所が多く、(忠誠心は兎も角、伴侶や恋人にまともなのを据えれば)武力勢力として非常に優秀な一族なのでダニエルやルビアナに食い散らかされてはならないと、立て直すよう王命が下りていた。
クロードとタチアナの婚約は陽動で、実は本当の狙いはそこからベアトリーゼと接触してローゼスとの縁談を狙っていた。
だが、ダニエル達がベアトリーゼを家族としても紹介しなかったせいで会えずじまい。
その後、ベアトリーゼがまさかのクロードに一発逆転ホームラン張りのフォーリンラブ。
戸惑いつつもゴリッゴリに押されて婚約することに。非常に丸く収まる。
一回り年下のベアトリーゼには頻繁に驚かされているが、自分をとても慕い真っすぐな好意を伝え続けるひたむきさは好印象。なんだかんだでベアトリーゼは悪からず思っている。
問題も起こすが、誰かがベアトリーゼの地雷を踏まなければ大人しい子なのは解っているから、ベアトリーゼに対しては優しい。
婚約当初からじわじわとマルベリー家を掌握しており、結婚と同時に伯爵となった。実権も、使用人たちの心もしっかり握っている。
ベアトリーゼの暴走を唯一鎮静化できる人物。
ベアトリーゼを有効活用しつつ、きちんと守っている。
実はベアトリーゼが卒業か十八歳になるのを待つよりもっと早く結婚する予定だった。だが、プロポーズ→結婚が順当だろうとプロポーズするとベアトリーゼが狂喜のあまり失神して流れ続けていた。起きたベアトリーゼは「いい夢を見た気がする」とスポーンと忘れている。
仕方ないので「学園を卒業したら結婚しましょう」と当初の取り決め通りとなった。
ロリコンではない。
タチアナ・マルベリー 二十四歳
金髪にダークブルーの青い瞳。豊満なスタイルで芳しく匂い立つ百合のような美しさ。だが、間違っても白百合ではない。
異母姉。クロードが好みではないと嫌っていた
自由奔放で、クロードの従僕のマルセルを誘惑して駆け落ちをした。
その際に、ケッテンベル公爵家の宝石やマルベリー家の資産を持ち逃げした。
実は売り払った宝石の中に、セシリアがなくしたと思った一級品のスタールビーがあり、そこから遅かれ早かれ足がついていた。
実は金だけではなく、セシリアが善意という独善で巻き上げていた品をいくつか着服している。
本当の父親はモーリッツ男爵であり、マルベリー家の娘ではない。
今は貴族籍を剥奪され、ケッテンベルの僻地領の使用人をしている。
ダニエル達はまた駆け落ちしたと思っている。
セシリア・マルベリー 十八歳
大輪の赤薔薇のように美しい。ベアトリーゼの異母妹。半年違い。
外見だけはまさに天使のような正統派の金髪碧眼の美少女。
天真爛漫で、勉強やお作法はちょっと苦手。
悪気なくナチュラルにベアトリーゼを貶し、自分を持ち上げる。そしてそれは当たり前のことだと思っている。
家ではそれがいい子扱いだが、外では……?
幼い頃は貧しく、異性関係が派手なルビアナやタチアナを見て育ったため貞操観念が緩い。
幼い頃の貧しさから貴族であることに執着が激しく、もともと貴族であるベアトリーゼより優位でありたいと歪んだ対抗意識が根底にある。
その割には貴族としての教養が疎かであり、自分に厳しい教師や使用人から耳を背け続けていた。逆に優しい――むしろ毒砂糖のように甘ったるいダニエルやルビアナ、タチアナばかりに傾倒していた。
社交界や学校では、苦言を呈す女子生徒やまともな男子より、自分をチヤホヤしてくれる異性ばかりにばかり関わっていた。
ダニエルではなく、数いる愛人との子。
マルベリー伯爵家との縁が切れた途端、チヤホヤしていた男子たちも手のひらを返した。
地味で質素な修道女は断固拒否。
素行の悪さから縁談がなく貴族の愛人になるか、娼婦になるしかない状態。
学園中退後、地獄へのカウントダウンが始まる。
ダニエル・マルベリー 四十五歳
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マルベリー伯爵。ただし、ベアトリーゼが成人するか結婚するまでだったがはっちゃけた。
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最初ベアトリーゼは嫌いではないが、タチアナやセシリアを溺愛するに従ってどうでもよくなり雑に扱うようになった。
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本人は悪気はない。というより『非常識な事や悪いことをしている自覚がない』というさらにたちが悪い状態。
ベアトリーゼが勝手にクロードにのぼせ上っていると高をくくっていたら、気づけば八方塞がり。
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悪事がばれて、ベアトリーゼの結婚式にも出ることなく蟄居どころかマルベリー領地から追い出されて実家に返品された。
バティス子爵家も、折角格上に婿入りさせることができたのにその奔放な振る舞いで酌量の余地なしと叩きだす。
ローゼス・ケッテンベル 十八歳
ケッテンベル公爵家三男。
金髪に水色の瞳の紅顔の美少年。華やかで、幼い頃はまさに天使。
幼少期は正義感が強いと言えば聞こえがいいが、やや我儘だった。しかし、ベアトリーゼに振り回されて思慮深く忍耐強い性格になった。
強者に敏感で、生存本能が高い。危険な時ほど勘が鋭く頭が回る。
未来の義姉に心身ともにバチボコにされて、大人になった。
痛みとは人を時に成長させる。
義姉さんと呼ぶことにより、多少はベアトリーゼの態度が優しくなることを知った。
ベアトリーゼに稽古を頼み、メキメキと剣の腕を上げている。
ローゼスが太ると、大体ベアトリーゼが原因。
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ベアトリーゼを嫁にと云ったのは、本来正当な後継ぎだから。
色々と悪い噂の多いダニエルとその後妻たちを追い払う様に王命が下っていたため、クロードを使いタチアナとの縁談を結んだ。
隙を見て、ローゼスとベアトリーゼを顔を繋いで、のちに婚姻を入れ替えるつもりがまさかのクロードで一本釣りが成功。
あと年齢を理由に多少は罪を緩めるべきかと思っていたセシリアだが、悪意無き悪癖は足手まといにしかならないと判断。年々悪化し、エスカレートするので慈悲は断捨離決定。
思ったよりたちの悪い娘だったし、その判断は正解。
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これをきっかけに国王や王妃から感謝されてケッテンベルの勢力は急拡大し、むしろ棚ぼた。
ルビアナ・マルベリー 四十八歳
金髪にダークブルーの瞳。タチアナとよく似た色気ある美女。
タチアナとセシリアの母親。元は娼婦で、篭絡したモーリッツ男爵家に何とか正妻として嫁いだが、不細工な夫に愛想を尽かせて一年足らずで別居。
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その後、ダニエルに偽造戸籍を作ってもらい再婚したが実際はメッテルニヒ・モーリッツ男爵との婚姻関係が続いている。
セシリアは誰の娘だかわからないが、一番爵位が高く財産もある中で色味が近いダニエルの子供ということにした。
実際は馬丁との子供。つまりセシリアはどっちにしろ貴族ではない。
エチェカリーナ・マルベリー 享年二十六歳 ※ベアトリーゼ6歳の時
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ベアトリーゼの母親でもあった。
別にダニエルは嫌いでもないが好きでもなく、よくある政略結婚だと納得していた。
だが、自分の死後のベアトリーゼへの対応を知っていたらバチボコにして追い出していた。
おっとりして見えて、国一番の剣豪だった。強化魔法で全てを無に帰す。
多分、ダニエルあたりにはヤシの実を目の前で粉砕して、次はテメーの頭だ位云う。
残念ながら、運命の人とは巡り合えなかった。でも強かった。
ティトス・フィン・ハルステッド 三十歳
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文武両道で気さくな性格。だからといってマナーはどぶに捨ててはいない。
冷静沈着な侍従にパワフルすぎる幼い婚約者ができて、その奇行・珍行動の報告が常に楽しい。
ベアトリーゼを目の前にすると、目の前の大人しそうな少女と報告に上がる世紀末覇者っぷりに笑いを堪えすぎて真顔になる。
ほったらかしにすると、クロードや自分にとって害悪である存在を駆逐してくれる可愛い破壊神。
アルテナ・クレア・バルトロメロイ 二十四歳
プラチナピンクの髪に菫色の瞳。凛とした美人。
王太子の婚約者→王太子妃。この国を知りたいと時々市井に降りたり、魔物狩りをしたりするアクティブ王女。
陽気で芯の強い性格。王太子と並んで人気が高い。
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嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)
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