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卒業式ですわ!2
しおりを挟む「酷いわ、お異母姉様はいつもそう! どうしてそんなに私に冷たいの!?」
「セシリアがよその家に迷惑をかけるのに謝らないから、菓子折りを持って謝罪しに行っても水をぶっかけられたり罵倒されたり、運が悪いと足蹴にされたり扇子や平手で引っぱたかれるから。
セシリアの尻拭いには疲れた。もう自分でやって」
謝罪の様子が想像を絶していたのか、セシリアのひきつれていたキラキラオールスターズが引いたのが分かった。
クロード様の顔が険しくなった。しかめっ面もゴチです。
クロード様がうちを引き継ぐ前に何とか収めたかったけど、間に合わなかったわ。クロード様は頑張っていると慰めて下さらなかったらきっと今の私はセシリアを出合い頭にぶん殴っていたくらい荒んでいたでしょう。
キラキラオールスターズの数人は、セシリアと私を見比べて困惑している。そうじゃないものもだいぶ視線が柔らかくなったのが分かった。
そりゃそーだわ。セシリアの引っかけたところは特に女性に優しい文化をもつお国柄だもの。
「私がいつ、どの家に迷惑をかけたの!?」
「両手足で足りないわよ。漸く示談がだいぶまとまってきたのに、また男ひっかけて……
王子殿下を諦めたのは良い判断だけれど、留学中の公子を引っかけるのは如何かと思うわ。
セシリアが引っ搔き回したせいで破談になったところもあるのよ。
貴女をこの学園と卒業と同時にマルベリー家から一切援助せず、貴族籍を剥奪することでお咎めなしに何とか出来たんだけど。
というより、今日が卒業式だからもうセシリア・マルベリーじゃなくて、ただのセシリアね」
「セシリアはマルベリー家から離縁されるのか!?」
ぎょっとしたようにセシリアの腰を抱いていた黒髪俺様系イケメンが詰め寄ってくるが、それを払うクロード様。
呆れたように口を開く。
「というより、セシリアという娘はもともとマルベリー家の娘ではありません。
現当主のダニエルは子爵家からの婿入りで、ベアトリーゼの母であるエチェカリーナ様がお亡くなりになっていなければ彼女が今も女伯爵であり当主でした。
正当な継承権を持つのはベアトリーゼでしたが、エチェカリーナ様がお亡くなりになった時の彼女は六歳。引き継ぐには早すぎる。ダニエルはそれまでの暫定当主です。
ベアトリーゼも成人し、私とまもなく結婚するので爵位を返すことが決定しています。
セシリアは、戸籍上はダニエルとルビアナの娘という形になっています」
戸籍上って、なんか引っかかる。
え? ちがうの? ちょっと一人だらだらしていると、くすりと冷酷に笑うクロード様。
いやーん、私の性癖を容赦なくクリティカル!
周囲の男たちは茫然としている。
え、普通知ってるよね? うちの馬鹿親父が婿養子で、お母様が亡くなった途端に恥部野郎の放蕩婿殿になったことは。
仕事は使用人たちが回してくれていたから、それほど切られなかったけどさー……
しかも、私の婚約者はクロード様やで? クールでインテリジェンスで王太子付きの侍従から最近補佐官になったんやで? 生まれはケッテンベル公爵家で、次期マルベリー伯爵家当主だし。
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