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アンニュイな時もあるのですわ!

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 待ちに待ったクロード様とのお茶会。
 ですが、今日の私はちょっとしょんぼりです。
 どれもこれもセシリアが汚物のような言動を繰り返すからですわ。

「というわけで、ごめんなさい。クロード様。あの時、金髪を頭皮事毟り取ってでも引き摺ってくれば良かった。
 そのまま各所に謝罪に向かわせれば、クロード様のお手を煩わせなかったのに。
 不出来なベアトリーゼをお許しください」

「貴女があの非常識な小娘をことあるごとに窘めているは知っています。
 貴女は頑張っていますよ、ベアトリーゼ」

「クロードしゃま……っ」

 クロード様やさしいいいいい!!
 この大人の余裕というべきお優しさを、セシリアや糞親父が半匙でも持っていれば私の世界はもっと優しかったと思うの!
 クロード様が素晴らしすぎて私の中が愛に溢れている。しゅきぃ……っ!

「そういえば、マルセルの居所を見つけてくださりありがとうございます。
 あとはこちらに任せていただいてよろしいのですか?」

「タチアナごと煮るなり焼くなり好きになさって。クロード様」

 タチアナがまたうちの金を持ち逃げして、どっかに逃げようとしたので簀巻きにして差し出しました。二度目はなくってよ。
 マルセルはタチアナと駆け落ちをした、ケッテンベル家の使用人です。クロード様に恥をかかせた社会のゴミですわ。
 うちのお金は私の物。私の物はクロード様の物。
 そしてクロード様のものに手を出した者は万死なので、タチアナがどーなろうが知ったことじゃねーですわ。





 クロード様へ会いに行くと、時々王太子様もいらっしゃる。
 王太子様はクロード様と幼馴染でもいらっしゃるそうなの。そういえば、同じ年ですわね。
 非常に気さくな方とお聞きするのですが私の前では真顔が多い。
 何か失礼なことをしてしまったかと不安になると「笑いを堪えているだけです」とのこと。
 朗らかさから微笑プリンスと呼ばれる方なのですから、我慢せずに良いと思います。
 私、そんなに面白い顔をしているかしら? ほっぺたをもちもちモニモニしてみますが良くわからない。

「クロード様、私のお顔は変ですか?」

「可愛らしいと思いますが」

「神よ! クロード様の審美眼に感謝を!」

 両手を振り上げてガッツポーズですわ。あ、クロード様の前ではしたない!
 ちなみに最近のクロード様の嵌っている食べ物はベーグルから、パスタに変わりました。
 良い小麦粉を収穫する土地にお邪魔して、そこでおすすめのパスタを教わりました。
 なんか大型トラック並みのイナゴが出てきたけど、とりあえずピッチフォークでめった刺しにして炙っておきました。
 あの畜生! 農場の倉庫裏にどでかい卵を産みまくりやがって! 焼き尽くすのに三日かかりましたわ!
 もう! 刈り取りに忙しい繫盛期にやってくるなんて邪魔です!






 後日、私の訪れた農場で蝗害を起こすインセクトクイーンなるものが現れたと新聞で見ました。
 その魔物が現れると、その国の作物や植物は根絶やしされて不毛の大地と化すそうです。
 幸い、初期の状態でクイーンを討伐成功したので配下は羽化をするまえに溶けて消えたそうです。
 へー、魔物の仕組みってよくわからないですわ。
 幻の巨大蟲っていうくらいだからジャンボジェット機やお城くらいあるのかしら?





 別れとは時に愛を試すもの。
 そして日々に埋没する何気ない幸せを教えてくださるのです。
 食堂の一角にあるカフェテリアで、ローゼスを捕まえて駄弁っております。

「クロード様が、王太子殿下と外交に出られてしまわれましたわ……寂しゅうございます」

「いや、義姉さん毎日小冊子並みの手紙書いているじゃん」

「ローゼス! 外国産のメス猫がもし私のクロード様にちょっかい掛けたらどうしますの!? 国内の泥棒猫はすべて三味線にしてやりましたが、野猫や国外はまだですのよ!」

「安心しろ。クロード兄様は国際問題を起こしたくないだろうし絶対浮気はしない」

「蛮族だろうが魔族だろうが王族だろうが神族だろうが、クロード様に何かしやがったアマはブチ転がしますわ」

「真顔やめて下さい」

 どうやら、ガンギマリの顔をしていたようです。いけないいけなーい。





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