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初恋は暴走しがちなものなのです!2

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「それでね! それでね! クロード様がすごく! カッコ! いいの!!! 私の息の根が止まりそう!」

「うぐっ! ぶっ! い、いきが……っ! くる、タイが絞まって! 俺の、息の根が、止まるぅ……っ!」

 クロード様が、急な会議が入り定期のお茶会が午後になりました。
 お手紙と入れ違いで来てしまい、午後には来るはずだからとローゼス様がお相手をしてくださることに。
 鑑賞に値するような美少年っぷりは相変わらずですが、私のラブ・パッションがはじけるのはやはりクロード様だけ!! ラブイズジャスティース!!!
 そんな訳で、クロード様の素晴らしさを称えるべきだということに、そして貴方はクロード様という素敵な殿方を兄上に持っているというシチュエーションロマンに乾杯するべきだとローゼス様に演説しまくった。
 別名、のろけとも言いますわ!
 途中、何度か逃げようとしたローゼス様に足払いをかけ、サブミッションで仕留めて落ちたところで椅子に座り直させたところでエンドレスのろけ。
 水量増量中のマーライオンのようにクロード様への賛美がやめられないとまらない!
 往生際が悪いローゼス様は、話の途中でも逃げようとしますの! 将来の義姉の、実兄への愛の雄叫びを聞けないというの!?
 もうめんどくさいので首輪のように、タイをひっつかんでぶんぶん首ごと振り回しながらお話することにしました。

「ベアトリーゼ嬢、クロードが戻ってきたよ。サロンルームで待っていてくれるかな?」

「っしゃあオラアア! 勿論ですわ! お義父様!!!」

 淑女が走っていけないのですわ! なので、競歩で向かいます!
 ローゼス様をうっかり引き摺ってしまいましたが、途中でちゃんとリリースしました!
 髪型ヨシ! ドレスヨシ! 笑顔ヨシ! アクセル全開出発ですわぁ!
 マーカスお義父様が「ベアトリーゼ嬢は今日も元気だなぁ」と朗らかに笑っておいでです。そんなお義父様に泣きついて離れないローゼス様。
 まだまだ父親に甘えたい、可愛いお年頃なのね。これくらいの年頃の男の子って女の子より、心が幼いって聞くし。
 今日はクロード様の金髪をイメージしたクリームイエローのドレスにしましたの!
 宝石はついていませんが、繊細なレースと細いリボンがあしらわれた可愛らしいの!
 クロード様、気付いてくれるかしら?
 思わずクロード様に褒めていただけることを想像してしまいます。

『可愛いですよ、ベアトリーゼ』


「なんちゃって! なんちゃってええええ!!!」

 思わず傍にあった木をペチンと叩いてしまいました。
 その木はメシャアアアアと音を立てて折れて吹っ飛んで、広大なケッテンベルの外庭の悠々と通過し、外壁を超えていった。あっという間に針より小さくなって遠ざかっていく。
 私はぶんぶんと手を振って妄想の中のクロード様に照れまくってそれどころじゃなかった。
 

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