7 / 11
7
しおりを挟む実は恐々入学してきたけど、やってきたヒロインちゃんは普通にいい子だった。
ミアナ・リリアンタールはリリアンタール伯爵家に養子入りしたけれど、慣れずに困っている感じだった。あー、庶民ルールと貴族ルールって違うもんね。
彼女は俺にコスパ最強の美味しいレシピを教えてくれた。しかも、行き倒れているエリーを助けてくれたいい子だった。何か奢るよ、と言ったら「お肉! できればうっすいのじゃなくてガッツリ塊の!!」って。
可愛らしい女の子なんだが、嗜好は結構ガッツリ系らしい。
だがそんなもん、王侯貴族基準が染みついた学園の学食にそうそうない。基本、メニューがお貴族向けのお上品なもんばっかだから。
なのでリクエストにお応えして、スペアリブや漫画肉みたいなのを作ったら大はしゃぎしていた。可愛いなー。うちの妹たちって俺のこと見下して高飛車だからなー。
……ガチ目にルッツと肉戦争してなければ、もっと可愛かったんだ。
ちなみにエリーはすぐに負けて、俺の皿から大人しく盗っていた。ちがくねー?
まあいいか。いっぱいおあがり。でも野菜も食べなさい。ぷいってしない! 口を開けなさい!
だが二年に入ると変な女がやってきた。うっわ、テンプレ電波ヒロイン過ぎ? みたいなあざとい感じ。あれだな、ちょっと恋に恋する女の子の持っていた小説そっくり。
巷というか、平民に流行っているシンデレラ系ロマンス小説だよな。
実は貴族の隠し子でしたってのが発覚して令嬢デビュー。そこで見初められるシンデレラガールって感じの。えーっと、タイトル何だっけ?
「『星乙女は運命に溺愛される』通称、ホシデキです」
ちょっとミアナちゃんの出生と被るもんがあるが、ミアナちゃんは恋にキラキラってタイプじゃない。肉にギラギラはしているけど。
そんな肉天使ミアナちゃんはルッツの恋人になった。解せぬ。俺はエリーとちっともラブラブできていないのに、デリカシーも甲斐性もないルッツに先に春が来るなんて。
しかも! なんで俺が他所のカップルの弁当作ってんだよ!? アーンしてんじゃねえ! そこのバカップル! エリー! ご飯食べるか寝るかどっちかにしなさい! こぼすぞ!
その頃、電波ちゃんは兄上たちの婚約者と修羅場っていた。
おい、あーいうロマンスノベルは娯楽ならいいが、リアルでアウトだ。
電波ちゃんは俺にも粉掛けてきたけど「俺、王位継承権低いし金ないよ」っていったらすぐ消えた。わかり易い。
俺に金があると母上が全部使っちまうから、キルシュタイン翁に預けてる。まあ、ほぼほぼエリーのプレゼントにしか使わない。
応援ありがとうございます!
38
お気に入りに追加
2,645
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる