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連載
白マンドレイク対策係(臨時)の結成
しおりを挟む一人の教師と四人の生徒たちに対し、温室にいる白マンドレイクは目算だけでも百オーバーである。最低でも、一人当たり二十匹は捕まえないとならない。
何も対策せず闇雲に突っ込んでも返り討ちになるので、五人で作戦会議である。
三人寄れば文殊の知恵。五人集まれば、さらなる叡智が期待できるはず。
そう、はず。期待と希望を込めた予想であり、楽観手視であった。
「小さいのはともかく、あの大きい白マンドレイクは危ないですよね。思い切り叩かれたら、こちらが吹っ飛んじゃいます」
「そうだな。私の助手たちもアレのビンタには何人もやられた」
レニの杞憂に、グレゴリオは頷く。彼の助手は数人いたが、全員マンドレイクに負けたそうだ。
基本、書物とお友達なデスクワーク系が多かったのもあり、フィジカルは弱かったのだ。
命の危険と言うレベルではないが、マンドレイにトラウマを持つ者や、しばらく動けないぎっくり腰になった負傷者が多い。
「いっそ飛び道具で仕留めるとか……飛び道具なら持ってますよ」
シンの愛用武器は遠距離。対獣や魔物でも通用する魔弓グローブだ。
数が多い小さいマンドレイクの狙いを定めるのは難しいが、大物だけに絞ればそこまで難しくない。
「ダメだ! あの大物は大事な実験サンプルとして、必ず捕まえねばならない!」
「せやかて、先生? 実害出とるんやし、サクッとシン君に射てもろたほうが安全やとおもうんですけど」
クワッと眼光鋭く、何なら眼球が飛び出そうなほど目を見開いて抗議するグレゴリオに、冷静なツッコミを入れるビャクヤ。
すでに過去にやり合った経験者としては、近づきたくないのだ。
「せめて植物らしく静かにしていたのなら捕まえるのも楽なのでござるが」
残念ながら、植物にあるまじき俊敏さと柔軟さでぬるぬる動く連中なのだ。
カミーユがその時、ふと何かに気づいた表情になる。
「動くと言うことは、麻痺や睡眠のような状態にもなるのでござるか?」
それは純粋な疑問だったのだろう。
その言葉に、皆は顔を見合わせた。
相手は植物だが、あそこまで動くなら何かしら効く可能性はある。
「薬……いや、動物とは肉体構造が違う。あくまで植物だから、魔法のほうが効果はあるだろう」
色々と自分の経験や知識をもとに想像するグレゴリオ。魔法植物に、それら魔法を掛けるという前例がないが、悪い発想ではないと頷いた。
体が動かない状態なら、安全に収穫できる。
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