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魅了対策の布陣

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 カミーユの危惧するところは共感できた。
 同時に、その布陣になった理由も分るから、シンの顔は複雑になる。
 チェスターとしても多感な十代の少年が女性多数の部屋に放り込まれる居心地の悪さは分かっているがリスクヘッジは絶対だ。
 エマの力は神々から警告が来るほどの危険度を持っている。

「安心して欲しい。招待客も心得ている。シン君はこの席だ。一番強い陣が施されている。ミリアたちが守ってくれるはずだ。変なのは来ない――それこそ招かれざる客や、余程の無作法者でなければ割ってこないだろう」

 チェスターの説得に、シンは渋々頷いた。
招かれざる客入ってこなければ超絶フェミニンフィールドにずっといるのだ。
 いくらミリアの知り合いで、良識のある人たちに囲まれていてもアウェイ感が半端ない。

「僕、女性を楽しませる話題なんてないですよ?」

「あるだろう?」

 当然のようにチェスターは言うが、思い当たらず項垂れるしかないシンである。

「どこに……」

「化粧水、美容液、入浴剤をはじめとした今までの贈り物の話題をちらりとでも出せば食いつく」

 確かに、その手の話題は大好物そうなミリアである。
 今まで渡してきた美容品の反応からして間違いない。シンはそれでミリアの好感度を荒稼ぎしていた。
 美容やお洒落に気を使う女性にとっては垂涎と言える話題だ。
 その話題を出せるくらいには、厳選されたレディだけが来ていると言うことでもある。
 しかし――それこそ、ピラニアだらけの川に落ちた肉塊のように食いつかれるだろう。

「それ、僕ごと食い尽くされません?」

「………………………………………………そんなことはない(はず)」

 超不安だ。
 チェスターの歯切れがとんでもなく悪く、絶妙に目を泳がせて逸らした。あと小声でなんか付け足していた。
 襲撃とは別の不安が残りながらも、作戦内容は行き渡ったのである。




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