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神のみぞ知る?

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「ヴァンパイアウルフの時もですが、神子様は御身をもっと大事になさってください! そのうち国の宮殿じゃなくて、神々の住まいに閉じ込められてしまいますよ?」

「何それ怖い」

 ぷんすかしながらアンジェリカが言うと、シンがちょっと引いた顔をする。
 彼女の前で椅子に座り、大人しく聞いているシンーー一応は自分が悪かったと反省しているのだ。

「シン君。たまーにやけどあるで。お気に入りが死んじゃうのイヤや~って自分の神域に閉じ込めんのや、眷属にするの」

「なんだよ、その神隠しっぽいの。ヤンデレの精神に基づいていそうな行動は」

 ビャクヤの嬉しくない説明に、シンがますます嫌そうな顔をする。
 この愛嬌も糞もないが神子様であるが、これが意外と神々におモテになるらしい。
 この世には神の寵愛を得たいと懇願する人間がごまんといるのに、世の中分らないものだ。

「相手は人外やで? 人の普通を求めんほうがええよ」

 ビャクヤの生家ナインテイルは、そういった人外と交流を交わすこともあり、ある意味この手の話には慣れていた。
 シンはちょっと考えながら、自分を拉致監禁しそうな神様を思い浮かべる。
 主神フォルミアルカはなさそうだ。ファウラルジットや四季の四女神は言動の端々から滲むゴッドメンタルがあるのでちょっと怪しい。獣神キマイラはとらえどころがなさ過ぎて不明だ。
 そもそもシンは自分に加護を与えた存在を把握していないので何とも言い難い。
 何度かスマホを見たのだが「はいはい同期同期」とスキル統合ぽちぽちでスルーしていた。
 だって数が多すぎる。見ても絶対覚えきれない。指出ずらせばどんどん下に続く名前が精神衛生に悪い。
 一通りお説教を受けたところで、タイミングを見払ってシンは口を開いた。

「アンジェリカさん、予定は変わったりします?」

「いえ、予定通りに。儀式の決行日は変わりないでしょう」

 神託の後、念には念をと再度儀式日を占ったが変わりなかったそうだ。
 たまーに変わることがあるらしい。それはたまたまなのか、人ならざる存在の思し召しなのかは知らないが占い師泣かせである。
 なんとなくだが、シンの脳裏に一柱の姿が浮かんだ。
間延びした声をしたモフモフの神が、もいんもいんと跳ねている。

『だって、そーいう気分になったからさ~』

 なんて言いそうな気がした。
 ティンパイン王国で祀られる天狼フェンリル。きっと、大なり小なりキマイラと関係があるだろう。

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