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神々とのなれそめ

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「そこでのご縁から気にかけてくれたらしく、他の神々からもご加護をいただいたようなんですよ」

 面識のある神々はフォルミアルカと四季の女神姉妹、そして獣神のキマイラだ。
 しかもその気に入った理由が、戦神バロスを嵌めて失墜させる策を授けたこと。
 ある種の神殺しである。
 言えない。絶対に言えない。
 実行犯は恨み節が炸裂した女神連合だし、契約をちゃんと確認しなかったバロスも悪い。
 唆したのはシンだが「運よく弱体化したらいいな~。生きている間は大人しくしてほしいな~」くらいの考えだった。それがまさかの消滅である。

「……テイラン王国、本当に見る目ないんやな」

 ドン引きした顔で、呆れ交じりに本音を漏らすビャクヤ。
 今のシンは、どの国も喉から手が出るほど欲しい強力な加護持ちの神子様だ。

「巻き込まれってことは、他にもいたんだろう? 全然噂は聞かないけど」

 意外と鋭いところを付いてくるのはティルレインだ。怪訝そうに首を傾げている。

「正確な人数は知らないけど、十人はいたかな? でも、目当ての勇者は召喚事故で死んじゃってたけど」

「事故って? 魔王を打ち倒し、最強と呼ばれる勇者がそう簡単に死ぬとは思えないんだぞぅ?」

「時空やらの狭間でミンチというか、引き裂かれたというか……」

 最初からチート爆裂して強かったならともかく、初期の初期は一般人より少し頑丈で強い程度だったのかもしれない。
 もしくは、完全に召喚済みの時点で能力付加がされる場合だった可能性もある。
 シンは子供になっていたからむしろ能力ダウンだったかもしれない。若さゆえの健康や疲労回復や吸収力の速さはあったが筋力は低下していただろう。
 しかも、シンが持つ『成長力』は、時間経過という経験とともに真骨頂を発揮するタイプである。

(そう考えると、子供化との相性はよかったのか? あの幼女女神がそこまで計算したとは思えないけど)

 幼く見られることはあったものの、ぎりぎり冒険者登録はできたし、周囲に質問しても不自然でない年齢だったので動きやすかった。
 話題から思考がそれ始めていることに気づいて、シンは口を開く。

「フォルミアルカ様によれば、異世界人の召喚は世界と世界に穴を空けるそうなんだ。テイランは異世界人を騙して戦わせようとしていた。戦争兵器目当てだから、やり方が乱雑になっていたと思うよ」

 本来、異世界召喚は世界を滅ぼすような魔王を倒すための最終手段。
 世界の存続に一縷の望みをかけた大魔法を、戦争を有利に進めるために頻繁に行っていた。
 最初はまっとうに使われていたようだが、魔王の危機が過ぎた後は便利魔法扱いされていて、フォルミアルカも頭を抱えていた。
 現在は様々な処置を施し、二度と召喚できないようにしてある。
 なんかもう対応が遅いとか、今更だとは思う。フォルミアルカ的には、自主的に慎んでほしかったそうだが、テイラン王国は弱肉強食の思想。国力が下がることは絶対しなかった。
 シンはティーカップを持ち上げて、一口飲む。
 しゃべり続けて喉が渇いていたし、自信を落ち着かせるためでもあった。
 紅茶の良し悪しはよくわからないシンでも、高級なお味であると感じられた。
 視線だけで周囲を見ると、ティルレインは「へー」とワクワク顔をしている。ルクスは真っ青になってやや挙動不審。多分、上層部へ報告などを考えているのだろう。アンジェリカとレニも驚愕を隠せていない。カミーユとビャクヤは虚無だ。きっと「あの国ならやる」と出身者は分っているのだろう。

「相変わらずだね、あの国は。こっちに逃げてきて正解だよ!!」

 深く深く頷き、首肯しすぎて首がもげそうなカリン。

「あの国にそのままいたら、死ぬまで騙されるか、搾取され続けるからね!」

「カリンさんは聖女様ですからヒーラー要員ですか?」

「そうだよ! 私が治せば不死身の戦団ができるとか笑ってたんだ! あそこの王族はゴミクズさ!」

 嫌なことを思い出して憤慨しているカリン。
 シンはすぐにテイラン王国を出たが、カリンは長く滞在していたようだ。
 『聖女カリン』は、利用価値があるものだったのだろう。
 騙されて引き止められていた可能性も十分あった。
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