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レニとの再会

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 シンたちがドーベルマン伯爵邸に戻ると、そこには来客が来ていた。
 黒をメインとした制服ではなく、白を基調とした軽装の鎧を身に着けた金髪美少女――レニ・ハチワレである。

「お久しぶりです。三人とも」

 三人に気づくと、笑顔を浮かべて出迎えた。

「あ、レニ! ごめん、会いに行こうとはしていたんだけど……」

 なんだかんだと自分の都合を優先して、後回しにしてしまった。
 ちょっとだけ気まずさを感じるシンだが、レニは気にした様子はない。

「えーと、その。お城というか離宮と言いますか、ちょっとトラブルが発生したのでこちらから出向いたんです。お気になさらず」

 あちらはあちらで都合が悪かったらしい。
 その都合が悪い理由が、やんごとなき馬鹿が騒いでいたというしょうもない理由なので、レニはレニで言いにくかった。
 そもそも、シンは王侯貴族を面倒だと思っている節がある。面倒見が良いので、なんだかんだ言って相手をしたり手助けをしたりするが、基本自分から接触を図ることはない 
 どう説明したものかと考えてたが、ふと違和感を感じたレニは思わず口に出す。

「あれ? 少し背が伸びました?」

 久々に会ったレニは夏の間に伸びた身長に気づいたようだ。
 シンとレニの身長が近かった分、余計に変化を感じ取ったのだろう。

「うん、伸びた。制服も新調することになったんだ」

「それがいいですね。制服は勝負な素材ですけど、学園生活は結構ハードなので」

 特にシンは望んでもいないトラブルが、あっちからダッシュ&タックルしてくる。
 それ以外でも、決闘騒ぎや、他所の生徒の流れ矢や流れ魔法が飛んでくることもあれば、魔法生物や植物がどっかから逃げ出して闊歩していることもある。
 前期だけでも短くとも濃厚な時間を過ごした。
 ちょっと遠い目になる。
 埋没しながら普通の学園生活を送りたいのに、なぜかトラブルが頻発するのだ。
 シンは気を取り直して、レニ改めて見た。彼女はシンほど身長は伸びていないが、少し変化があった。
 

「レニは……夏なのに、肌白くなっていない?」

「シン君の身代わり人形は基本屋内ですし、ミリア様から外見もきっちり磨くようにお達しがありますので」

 護衛職であろうと、ぱさぱさな髪や荒れた肌は論外だという。
 シンの身分は王族相当なので、もし会談の席が設けられれば相応の高貴な身の上や、重役がやってくる。
 そこでごろつきのような荒れた姿の護衛がいたら、それだけで失笑の対象になる可能性があった。
 お国柄にもよるが女性は美しくあれと求められることが多い。
 外見を入念に磨いておけば側付きの聖騎士はあくまで秘書や侍女に近い、華を添えるような立場と誤認する人間もいる――敵の油断を誘いやすいのだ。
 それ以外にも印象の問題もある。神子の傍にいる人間に粗野や不衛生といったイメージはは厳禁である。


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