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23話 カフェの少女
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「にしても、どうしますかね」
リアムは完全に悩みこんでしまった。この街に来たのは私の勝手だし、彼に策がある訳が無い。そして、誰もが知るこの観光地で彼の顔はバレバレだ。もしかしたら私が私を誰であるか知らないだけでここではバレてしまうかもしれないので単独行動は簡単には計れない。
「この街の人は誰もが親切です。表面上はね。観光客の相手ばかりしているからでしょう」
元々居た世界でもそんなことは西の京では有名だった。どこもかしこもそうなのかと夢の国の夢を全て握りつぶされたような気になる。だったら、ここの人は頼りにくいかもしれない。まず駆け落ちをした王子とどこぞの悪女を相手する善人なんて、偽善だろう。私が、匿う側ならごめんだ。
「なら、ここは諦めますか…?」
そう、お淑やかに言ったつもりだった。もちろん、リアムに向かって。だけど、俯いた私が返答がなくて顔を上げると、彼はそこにいなかった。私が何かの手違いでこの地に飛んできた少し離れた茂みからすり抜けて、街へ飛びこんで行ってしまっていた。天然どころでは済まされないけど、計画性のなさは過ごしてきたほんの短い日々でもわかる気がする。
仕方なく、彼のあとをつけて着いていく。やっぱり、私の服装はここでは目立つようで、人の目をとんでもない量感じた。でも、気にしていたら負けだ。さすがは、国内一の観光地。人は多い。まず、今日が休日か平日かも知らないが、客引きや観光地独特のお土産や、お食事処を見れば、この国に親近感が湧いてくる。
何も言わずにスタスタ歩いてしまうリアムの影を追いかける。だが、ここで私と彼が堂々と話していればそれはより注目を集めるだろう。そう考えてみれば彼が話しかけてこない理由も曖昧には理解出来る。私も彼と出来るだけ離れて関係の無い赤の他人を演じられるように努める。
「ねーねー、お姉さん、寄ってかない?」
ムスッとした顔で歩いていたら、私より若い、基準として言うなら女子高生くらいの、あどけなさを残す女の子が私の元まで近づいてきた。この街で観光客向けにカフェでもやっているのだろうか。店員の制服らしきものはシックでオシャレで可愛い。
「ごめんなさい、今忙しいからまたの機会に」
こんな可愛い子を無視できなくて、つい言葉を返した。リアムはこちらを気にして振り返って止まった。客引きは出来るだけ無視して、関わらないようにしようと心に決めてはいたのだが。でも、その決断を守らなかった自分が悪い。その少女に手を引かれてしまった。
「ここで暮らせば?」
彼女は私の耳元で囁いた。やっぱ、この世界の人は異常だ。
リアムは完全に悩みこんでしまった。この街に来たのは私の勝手だし、彼に策がある訳が無い。そして、誰もが知るこの観光地で彼の顔はバレバレだ。もしかしたら私が私を誰であるか知らないだけでここではバレてしまうかもしれないので単独行動は簡単には計れない。
「この街の人は誰もが親切です。表面上はね。観光客の相手ばかりしているからでしょう」
元々居た世界でもそんなことは西の京では有名だった。どこもかしこもそうなのかと夢の国の夢を全て握りつぶされたような気になる。だったら、ここの人は頼りにくいかもしれない。まず駆け落ちをした王子とどこぞの悪女を相手する善人なんて、偽善だろう。私が、匿う側ならごめんだ。
「なら、ここは諦めますか…?」
そう、お淑やかに言ったつもりだった。もちろん、リアムに向かって。だけど、俯いた私が返答がなくて顔を上げると、彼はそこにいなかった。私が何かの手違いでこの地に飛んできた少し離れた茂みからすり抜けて、街へ飛びこんで行ってしまっていた。天然どころでは済まされないけど、計画性のなさは過ごしてきたほんの短い日々でもわかる気がする。
仕方なく、彼のあとをつけて着いていく。やっぱり、私の服装はここでは目立つようで、人の目をとんでもない量感じた。でも、気にしていたら負けだ。さすがは、国内一の観光地。人は多い。まず、今日が休日か平日かも知らないが、客引きや観光地独特のお土産や、お食事処を見れば、この国に親近感が湧いてくる。
何も言わずにスタスタ歩いてしまうリアムの影を追いかける。だが、ここで私と彼が堂々と話していればそれはより注目を集めるだろう。そう考えてみれば彼が話しかけてこない理由も曖昧には理解出来る。私も彼と出来るだけ離れて関係の無い赤の他人を演じられるように努める。
「ねーねー、お姉さん、寄ってかない?」
ムスッとした顔で歩いていたら、私より若い、基準として言うなら女子高生くらいの、あどけなさを残す女の子が私の元まで近づいてきた。この街で観光客向けにカフェでもやっているのだろうか。店員の制服らしきものはシックでオシャレで可愛い。
「ごめんなさい、今忙しいからまたの機会に」
こんな可愛い子を無視できなくて、つい言葉を返した。リアムはこちらを気にして振り返って止まった。客引きは出来るだけ無視して、関わらないようにしようと心に決めてはいたのだが。でも、その決断を守らなかった自分が悪い。その少女に手を引かれてしまった。
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