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第三章 本当の気持ちですわ
18話 手伝って頂きますわ
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「凄い綺麗…」
森の中に佇む神秘的な街に目を奪われつい口に漏らす。ここは城下町より美しい。そうと簡単に言えてしまうほどで国境なのに全く他国への牽制をする役割のものがなかったり、関所のようなものも無い。
だが、風景はとても豊かだった。それと同時に全く他国への関心がないこの国の王族たちは終わっているなとも思う。
「聞き込み始めますかー」
トリネは背伸びをして楽しそうにしている。ここに来た目的は私が王子様を探すためだった。二人にはそのことを伝えてないけど、どちらにしろ人探しをしているのは一緒だ。あっちもあっちで探さなくてはならないのでと別行動を取る事にした。
ここはどこから回ろうかな。広すぎる訳では無いのだが、慣れない土地というものは悩む。あの二人はどうやって探してるのかとても気になるが気を取られていては自分の王子様探しの時間はどんどん減っていって、大変なことになってしまう。
ここに着いたのが朝だったおかげで出歩いている人も多い。他所の私たちがいてもあまり気にしないのはスラム街と似ているし、国境は元を言えば人が出入りする場所なのでそういう風潮なのかもしれない。
声をかけるのには困らないが、やっぱりどうやって頼みを言えばいいのか悩んでしまう。ストレートに王子様を探してるなんて言えたもんじゃない。
男の人を探しているというのが妥当だろうか。どんなのだと聞かれたら変わってるやつだと、ただそう答えよう。自問自答をやめて、たまたま近くを通った青年に話しかけてみる。
「あの、私、人を探してて……」
「すみません、俺、忙しいんで…それにこの街は人の出入りが激しいので探すのは相当無理がありますよ」
それじゃあ、と軽く頭を下げると青年は早足で去っていった。そんなの分かってる!青年が付け足した最後の言葉に心の中で叫ぶ。口を尖らせながらも次の話を聞く相手を探すべく練り歩く。
「お嬢さん、良かったらいかがですか?」
控えめなブティックの女性に声を掛けられる。正直な話をしていればこんな場所で時間を潰す訳にはいかない。だが何日間かお世話になるこの街に悪印象をつけたくはない。それに可愛いものが見れて話が聞ければ一石二鳥なのでそのまま店内にお邪魔する。
「人を探しているんですよね?」
店の中に散らばる数多の色とりどりな衣装に目を輝かせていたら、思いもよらぬことを店員さんから言われて、困惑する。しかし、次に放たれた彼女の言葉によって私の脳内は鮮明になった。
「私、お力添えしたくて…スラム街であなたに尋ねられた者です、覚えてらっしゃいますか?」
森の中に佇む神秘的な街に目を奪われつい口に漏らす。ここは城下町より美しい。そうと簡単に言えてしまうほどで国境なのに全く他国への牽制をする役割のものがなかったり、関所のようなものも無い。
だが、風景はとても豊かだった。それと同時に全く他国への関心がないこの国の王族たちは終わっているなとも思う。
「聞き込み始めますかー」
トリネは背伸びをして楽しそうにしている。ここに来た目的は私が王子様を探すためだった。二人にはそのことを伝えてないけど、どちらにしろ人探しをしているのは一緒だ。あっちもあっちで探さなくてはならないのでと別行動を取る事にした。
ここはどこから回ろうかな。広すぎる訳では無いのだが、慣れない土地というものは悩む。あの二人はどうやって探してるのかとても気になるが気を取られていては自分の王子様探しの時間はどんどん減っていって、大変なことになってしまう。
ここに着いたのが朝だったおかげで出歩いている人も多い。他所の私たちがいてもあまり気にしないのはスラム街と似ているし、国境は元を言えば人が出入りする場所なのでそういう風潮なのかもしれない。
声をかけるのには困らないが、やっぱりどうやって頼みを言えばいいのか悩んでしまう。ストレートに王子様を探してるなんて言えたもんじゃない。
男の人を探しているというのが妥当だろうか。どんなのだと聞かれたら変わってるやつだと、ただそう答えよう。自問自答をやめて、たまたま近くを通った青年に話しかけてみる。
「あの、私、人を探してて……」
「すみません、俺、忙しいんで…それにこの街は人の出入りが激しいので探すのは相当無理がありますよ」
それじゃあ、と軽く頭を下げると青年は早足で去っていった。そんなの分かってる!青年が付け足した最後の言葉に心の中で叫ぶ。口を尖らせながらも次の話を聞く相手を探すべく練り歩く。
「お嬢さん、良かったらいかがですか?」
控えめなブティックの女性に声を掛けられる。正直な話をしていればこんな場所で時間を潰す訳にはいかない。だが何日間かお世話になるこの街に悪印象をつけたくはない。それに可愛いものが見れて話が聞ければ一石二鳥なのでそのまま店内にお邪魔する。
「人を探しているんですよね?」
店の中に散らばる数多の色とりどりな衣装に目を輝かせていたら、思いもよらぬことを店員さんから言われて、困惑する。しかし、次に放たれた彼女の言葉によって私の脳内は鮮明になった。
「私、お力添えしたくて…スラム街であなたに尋ねられた者です、覚えてらっしゃいますか?」
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