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第二章 王子様を探しますわ
17話 国境に到着ですわ
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「今度こそ出発、だな」
ペロリと熱すぎるオムライスを食べたトリネの横で身支度を終えたレイが立ち上がる。そしてカウンターの方へ行ってマスターといくつか言葉を交わして、勘定を済ませてから出るぞと手で合図してくる。
ありがとうございましたとマスターに頭を下げれば丁寧な会釈が返ってきた。その後自分で食べたものを自分で払っていなかったことに気がつき、レイに値段を聞こうとするも良いのあれくらいと相手にしてもらえなかった。
また国境へ向けて私たちの旅が再開された。さっき、レイが余計なことを言ったせいか二人きりの馬車の中、居心地は決して良くなかった。
「眠かったら寝ちゃいなね」
うとうとし始めた私にトリネが気を遣ってくれる。思い返せば長くて濃厚な一日だったなと振り返る。トリネにしろ、レイにしろ、どうしたって会えないような人ばかりだ。馬車なんて生きてて初めて乗った。逆を言えばここ最近で普通だと思った、日常的なものは一切なかったんだと思う。
少し目を閉じてしまえば睡魔はすぐに襲ってきて、どんどん重くなってしまった瞼は真っ暗な月夜とそれを憂鬱そうに眺めるトリネ最後にを映して眠りにつこうとした。
「ほんと、無防備だな」
意識を手放すほんの数秒前。頬に暖かい感触があって、目を開けようとも思ったが、睡魔には勝てずに、突然のことに体も頭も追いつけずに、私は眠ってしまった。
朝日が昇り、月がうっすらと空に映るころ。体はずしんと重くて何事かと目を覚ます。座ったまま寝ていたようで、膝にはありがたいことにブランケットがかけられている。
でも一番に膝の上に見えたのはそんな優しいものではなかった。少し触れるだけで割ってしまうのでは無いかと思うほどに透き通った肌。規則よく立てられている寝息に迷惑をかけないようにと思いながらも出来心で頭を撫でてしまう。
ううんと唸ったトリネが寝返りをうつ。起こさなくて良かったという気持ちと愛おしさと、ちょっと重いななんてことも思う。いつからこんなに彼に好意を抱くようになってしまったのだろう。
「んん…あ、おはよう」
起きるまで気を紛らわせようと思って朝日を窓越しから浴びていると、トリネは焦った素振りを寝起きながらにも見せて私から急いで離れた。そこから顔を真っ赤にさせて、何も喋らずただ座っていた。
ほんの数分経てば馬車は止まった。レイが私たちの方へ来てドアを開けるとトリネは気まずいこの環境がもう無理だったのか飛び出して行った。
「さあ、お嬢様、国境周辺でございます」
レイの仕事口調の一言で私は外へ出ると、スラム街とは違う豊かな街並みに目を奪われていた。
ペロリと熱すぎるオムライスを食べたトリネの横で身支度を終えたレイが立ち上がる。そしてカウンターの方へ行ってマスターといくつか言葉を交わして、勘定を済ませてから出るぞと手で合図してくる。
ありがとうございましたとマスターに頭を下げれば丁寧な会釈が返ってきた。その後自分で食べたものを自分で払っていなかったことに気がつき、レイに値段を聞こうとするも良いのあれくらいと相手にしてもらえなかった。
また国境へ向けて私たちの旅が再開された。さっき、レイが余計なことを言ったせいか二人きりの馬車の中、居心地は決して良くなかった。
「眠かったら寝ちゃいなね」
うとうとし始めた私にトリネが気を遣ってくれる。思い返せば長くて濃厚な一日だったなと振り返る。トリネにしろ、レイにしろ、どうしたって会えないような人ばかりだ。馬車なんて生きてて初めて乗った。逆を言えばここ最近で普通だと思った、日常的なものは一切なかったんだと思う。
少し目を閉じてしまえば睡魔はすぐに襲ってきて、どんどん重くなってしまった瞼は真っ暗な月夜とそれを憂鬱そうに眺めるトリネ最後にを映して眠りにつこうとした。
「ほんと、無防備だな」
意識を手放すほんの数秒前。頬に暖かい感触があって、目を開けようとも思ったが、睡魔には勝てずに、突然のことに体も頭も追いつけずに、私は眠ってしまった。
朝日が昇り、月がうっすらと空に映るころ。体はずしんと重くて何事かと目を覚ます。座ったまま寝ていたようで、膝にはありがたいことにブランケットがかけられている。
でも一番に膝の上に見えたのはそんな優しいものではなかった。少し触れるだけで割ってしまうのでは無いかと思うほどに透き通った肌。規則よく立てられている寝息に迷惑をかけないようにと思いながらも出来心で頭を撫でてしまう。
ううんと唸ったトリネが寝返りをうつ。起こさなくて良かったという気持ちと愛おしさと、ちょっと重いななんてことも思う。いつからこんなに彼に好意を抱くようになってしまったのだろう。
「んん…あ、おはよう」
起きるまで気を紛らわせようと思って朝日を窓越しから浴びていると、トリネは焦った素振りを寝起きながらにも見せて私から急いで離れた。そこから顔を真っ赤にさせて、何も喋らずただ座っていた。
ほんの数分経てば馬車は止まった。レイが私たちの方へ来てドアを開けるとトリネは気まずいこの環境がもう無理だったのか飛び出して行った。
「さあ、お嬢様、国境周辺でございます」
レイの仕事口調の一言で私は外へ出ると、スラム街とは違う豊かな街並みに目を奪われていた。
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