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第二章 王子様を探しますわ

6話 とある方と王子様探しスタートですわ

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「本物の聖女は私なの!!」


そう口に出せたらどれほど簡単なものか。でも、それでは本当の復讐にはならない。まずまず誰もかもが私を信じてくれない。


そうやってプリプリしていればもうスラム街との境界まで来ていた。さっきの貿易センターと違って門があったりなんてことはない。だって放置されて荒れ果てた街なのだから。そんなところに門が整備されていて、全てが中身までキレイならこの国の全員がこっちに引っ越してくるに決まっている。


勇気をだして一歩踏みだす。スラム街は荒れていて普通の人が行ける場所ではないと知ってはいるつもりでいた。少しばかり舐めていたのかもしれないと今更後悔する。中ではガタイのいい男達が賭け事に夢中になっていて、子供が道の端で物乞いをするような状況だ。


決してキレイな場所では無いことなら一目瞭然だが、無理に王族をたてなければならないあの場所とどっちがマシかと聞かれれば私は迷わずこのスラム街だと言うだろう。


「にしてもよぉ、バカだよなあの王子も可愛い子が欲しいだかで聖女様を捨てちまうなんて」


「だよなぁ、悪女に騙されてんだぜ。俺もうこの国出てこうかな」


歩いながら男たちはガハハと勢いよく笑う。やっぱりこっちの人達は聡明だ。そうだ。と大きな声を返してやりたい。だけど私はぐっと我慢する。私こそ聖女なのだから。それを証明する日は近い。


「ねぇ、お姉さんスラムの人じゃないよね?」


男たちの話を聞いていい気分になっていた私は愉快な足取りで歩いているとだるそうにサイコロを振る男に声をかけられた。めんどくさい人だったら嫌だなと思うが、絡まれようが気を抜いていた私が悪い。


「あの、私急いでて…人を探してるんです…」


ここは退散させてもらおう。王子様探しに時間をかけたいし、早く探しに行きたいので今ここで時間を食う訳には行かない。


「へぇー!実は俺もなんだよねー!良かったら一緒に探さない?ここ、ひとりじゃ心細いじゃん?」


案外小心者なのかもしれないぞ、この男。いきなり声をかけてきたと思えばスラム街を一人で歩くのが心細いと。人を探すという目的は同じなら、一緒に探してもいいかもなと思う。正直に言えば私もこの街で一人は嫌だ。身の安全が思いやられるし、二人なら襲われることも少なくなりそうだ。


私が首を縦に降れば男は犬のように後ろを着いてくる。人を探してると言ってもこの人は誰を探しているのだろうか?賑わうスラム街で人を探すのがどれだけ大変なのか私たちが知るのは当分後のことになりそうだ。


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